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第290話 確信してました

誤字脱字報告、ありがとうございます。とても助かります。


感想、ブックマーク、評価もありがとうございます。とても励みになります。

「荷馬車が~ゴトゴト~」


『マスター、それ以上はあかん。著作権に引っ掛かりかねんで』


 異世界で著作権も何もあるかい…まぁ、どうしても歌いたいわけじゃないから、やめろというのならやめておくが。


「なんだ?荷馬車?」


「私達以外の馬車と護衛の方々の馬以外の人も動物も見当たりませんが…」


「気にしないでください」


 ま、いきなりこんな歌を歌いだす俺も俺だが。だがしかし、しょうがないじゃない?行きたくもない帝国への道中で五日目なんだからさ。


 テンションも落ちるというものだろ?


「そんな俺よりもテンションミニマムな一団がいるけれど」


「ああ…あの方達ですね」


「気のせいか空気が澱んで見えるぞ」


「うっとおしい連中じゃのう。こっちまで陰気な空気が漂ってきそうじゃ。いっそ吹き飛ばしてやろうかい」


「ダメですよ、ファフニール様」


 あの一団とはカサンドラ様とその御仲間達。


 マイケルとアンラ・マンユを倒してから一月と少し。今はツヴァイドルフ帝国に皇帝主催のお茶会に参加するべく帝国へ移動の最中。そしてミネルヴァ様が帝国に帰る時でもあるわけだ。


 そうなるとミネルヴァ様のお目付け役カサンドラ様も我が家に来る理由が無くなるわけで。王都ノイスには残るみたいだが。


 同じ皇女のカサンドラ様が出来るならミネルヴァ様も出来るんじゃ、と思わなくもない。


 さて、もうわかったと思うが先程から会話しているのはエロース教教皇一行。俺と同じ馬車を希望し、道中ずっと一緒に居る。


 他の同行者は――


「退屈だな…よしジュン、抱かせろ」


「何度も言わせないで、ステラ。首、落とすわよ」


「マチルダもいい加減に慣れたら?毎度毎度過敏に反応しすぎよ…」


 院長先生、ジーニ司祭、ステラさん。ドミニーさんは御者をしてる。それと今は寝てるがアイも一緒だ。


 世話役として別の馬車にカミラ達元暗殺者メイドチームも来てる。後は護衛にノワール家の騎士達全員と白薔薇騎士団が二十名ほど。


 俺だけが行くならこんな大人数で移動する必要もないのだが、先のマイケル襲撃事件もあって院長先生の過保護に拍車がかかってしまった。


 元パーティーメンバーのステラさんとジーニさんを巻き込んだだけでは満足せず、もっと大人数を護衛に出せとソフィアさんに詰め寄った程だ。


 ステラさんとジーニさんは二つ返事でOKを出したし、ソフィアさんもノリノリで出そうとした。どうにかこうにか説得してこの人数に落ち着いたのだ。


「でも確かに退屈ですよね。そこで…いい加減に話してもらえませんか、教皇猊下。貴女方が俺に拘る理由を。この旅で話してくださるのでしょう?」


「……そう、ですね。できればこの話をする前に使徒様と認めて欲しかったのですけど」


「同情を誘いたいわけじゃなかったからな。出来るだけ粘ってみたが…仕方ない」


 …同情を誘うような事情があるの?だったらあまり聞きたくはないなぁ。


「では、御話します…ジュン様はエロース教の教義は御存知ですよね」


「エロが世界を救う、的な?」


「ま、まぁそうです…誤解を恐れずに言えばそうなります…」


「女は兎に角子作りに励めという事だからな。間違いじゃない。で、そんなエロース教のトップに求められる事とはなんだと思う?」


「…………模範となる事ですか?」


「その通りです。教皇とその側近、枢機卿以上の地位に居る女にはより多く子供を産む事が求められています」


「枢機卿で最低三人、教皇は五人。歴代教皇の平均は六人です」


「前代教皇のヨハンネ様が頑張って産んでましたものね。十二人も」


 はぁ、なるほど。だから今代の教皇にも同じくらい、最低でも平均の六人以上は産んでもらう事が求められている、と。


 でも、それが俺になんの関係が?


「教皇は夫を持てません…エロース教のトップが男性を独り占めなど出来ない、許されないのです」


「勿論、貴族のように家臣らと共有の夫とする事も出来るだろうがな。教皇が夫を持った事は無い。過去、一度もな」


 でも子供を沢山産んでるって事はつまり、男をとっかえひっかえしてるって事になるんじゃ…ああ、神子が相手をしてるわけね。


「結婚しなくてもいいのを良しとして、男漁りを積極的にやる教皇も居たがな。前代とか」


「ですが私は…私達は。出来れば一人の男性に愛を捧げたい…エロース教の信徒として、教皇として許されない事なのはわかってはいるのですが」


「結婚せずに同じ男性の子供を産み続ける…というのも教皇や枢機卿ともなれば難しいのです。政治的な絡みで」


 ああ…世界最大宗教のトップとその側近に男をあてがって権力を握りたいって連中が居るって事な。


 …前の世界じゃ逆だよな。権力者にあてがうのは女なわけで…宗教界でも逆転してましたか。


「ですが。どんな事にも例外が存在します。それがエロース様の使徒様です」


「使徒様の子を産んだとなれば誰もが認めるだろう。教皇は使徒様に身を捧げた。だから他の男の子を産む事は無い、と」


「勿論、枢機卿たる私も。そして他にも同じ考えの信徒達も」


 …………ああ。言葉通り使徒に身を捧げたから他の男に抱かれるつもりはない、と。まるで神に身を捧げた事で生涯不犯を誓ったシスターのよう…………いや違うな、うん。子供は産むつもりなんだから同じにしちゃダメだな。


「なるほど、理由はわかりました。見つかるといいですね。影ながら応援しておきます」


「……まだ認めてくださらないのですね」


「なぜそこまで頑ななんだ?自分で言うのもなんだが、わたし達は良い女だろう?嘘でも認めて抱いてしまえば良いじゃないか」


 それ、嘘だとバレたらえらいことになるヤツですやん。使徒を騙るって宗教裁判にかけられるやつですやん。


「質問に質問で返しますが。以前にも聞きましたが俺に拘る理由はなんです?使徒ではないと否定し続けている俺を使徒だと言い続ける理由は?」


「わしが確信しておるからじゃよ、御同輩」


「……はい?」


「わしはエロース教を護るように遣わされた者。遥か遠い昔にエロース様に直接お会いした事がある。そのわしがお主からエロース様の御力、加護を感じる、と言っておるんじゃ。これ以上ない証拠だと思わんか?」


 ……………………なんで黙ってたん?

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― 新着の感想 ―
[一言] 使徒でなくとも加護やら授かれるってお前さんの存在が証明してるじゃないかー(棒 使徒やないんやろ? ドラゴンくんや
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