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第277話 ラストバトル、始めました

「……」


「「「「「「「……」」」」」」


 まぁ…相手の意図に乗って横並びになって歩くのはいいんだけど、さ。


 なんていうか、こう…無言で歩いていると、ついくだらない事考えちゃうって言うか。そんな場合じゃないってのはわかっているんだけども。


 だって七人で横並びになって歩くって、どっかで見た事あるシーンな気がしない?何だっけ、なんとかセヴン?それかナントカの七人?


『なんのこっちゃ。余裕があるんはええことやけど、油断しとったらあかんでマスター。相手はルールとかモラルとか御約束とか通用せぇへん、化けもんやねんから』


 わかってる。でも無言で歩いてると、ついな。


「ねぇねぇ、ジュン。こうやって七人で横並びに歩いてるとさ。なんとかセブンとか連想しちゃわない?」


「なんの事ですか、アイシャ殿下」


「確かに我々は七人ですが…」


 ………苦笑いしか出来ないな、うん。


 それよりも、そろそろ装備を整えようか、メーティス。


『はいな。かつてない程に人の眼があるけど、ええんやな?』


 …仕方ないだろう。アイツは流石にデウス・エクス・マキナを使わないと厳しい。


 いくらジーク殿下にシルヴァン、エルリックらが居る事で能力が上がっているとはいえ、な。


 ドミニーさん作の装備があっさりとオシャカにされた事から考えるに、今のアイツにはこの世界の武具は通用しないと思った方がいい。


『了解や。メイン武器は何にする?』


 ビームサーベルだな。二本出せ。防具はプロテクターでいい。


『パワードスーツの方がええんやない?』


 …いや、やめておこう。後先を考えるべきじゃないかもしれないが、アレを人前で使うと後々面倒臭い。


 ブラック=俺ってなると本当に後々面倒臭い事になる。


『ああ~……せやな。ほな、出すでぇ』


 帝国の闘技大会で俺とブラック(メーティス)は別人だと認知されているが、だからって此処でパワードスーツを着るとな。


 それにパワードスーツをとっておけばいざという時にメーティスが使える。プロテクターも十二分な防御力を得られるし問題はない。


「お喋りは終わりにしましょう、殿下。さぁ、お前達。一人一殺、五大騎士団の団長ならば簡単にやって見せ……って、いつの間に装備を変えたノワール侯爵!」


「か、かっこいい……素敵ですノワール侯!」


 装備してた防具を空間収納でしまい、デウス・エクス・マキナと交換。


 今回選んだプロテクターは胸や肩、手足など一見して軽装鎧と同程度にしか護ってないように見えるが各部位に仕掛けが有って防御力は見た目より遥かに高い。


 ていうかぶっちゃけ、その仕掛けが俺的に大好物だったりする。


『ああ~好きそうやなぁ。マスター、中二病やし』


 中二病言うな!


 ほれ、次は強化魔法だ!俺は自分にかけるから、お前はアイと団長達にかけちゃって!


『はいはい。えんやこらさっさ~てな』


 …何処で覚えた、そんな言葉。


「む…この強化魔法はお前の仕業か、ノワール侯爵。余計な事を。自分で使えるというのに…って、多いな!」


「……なんか、気持ちいい」


 俺のオリジナルも含まれてるからな。ポラセク団長の知らない強化魔法は一つや二つじゃおまへんで。


 …だけど気持ちよくなる効果はありませんぜ、レッドフィールド団長。


「お~い。準備は終った?そろそろこっちに来なよぉ」


 …見た目が人間になっただけじゃなく、声も人間と同じになったな。しかも妙に色っぽい。


「は?どなたですか?」


「何言ってるの。アンラ・マンユだよ。見てたでしょ」


「あらやだ」「そんな、声まで変わって」


 グッといい顔でサムズアップして来るアイに同じくサムズアップで返す俺。


 今のネタ、理解してくれる人は日本でもあんまりいなさそうだなぁ…あ、ポラセク団長。その氷の眼差しはやめてください。貴女の見た目も相まって結構深く刺さります。


『今のネタなんや…アホな事やってんと気ぃ引き締めんかいな』


 わかってる。此処からはシリアスで行くぞ。


「さて…戦う前に幾つか質問いいか」


「ん~?何かな」


「お前がアンラ・マンユなのは見てたからわかる。その姿になったのは勇者を喰らったから、でいいのか。元々お前が持っていた能力ではなく」


「うん、多分ね。完全に外側(・・)は人間だよね、僕もびっくり」


 内側は違うって言いたいのな。そして俺に対する恐怖も克服したように見える。それだけ強くなったと確信してるという事か。


「元々女だった…なんて事はないよな。性別があるわけじゃなさそうだったし」


「アハハ、そりゃそうだよ。あんな醜い化け物、肉の塊に性別なんてあるわけないじゃん。女になったのは…この世界で食べてた物が女の子の心臓ばっかりだったからじゃないかなぁ。元居た世界じゃ食事なんて殆どしなかったし」


「心臓を……食べた?」


「化け物め…」


 赤ん坊の心臓を食べていたのが影響して、か。やはり暴食の紋とやらは食べた分だけ強くなる、だけの能力じゃないって事か。


 相手の力や経験、知識、能力。他にも色々…様々な物を取り込んでいく能力…危険だな。此処で確実に仕留めないと、いずれは俺の手にも負えなくなるぞ。


「……あの男はお前の仲間だったんだろ。醜い化け物にはなかったろうが、今でも何も感じないのか。罪悪感とか」


「ん~…別に?お互いがお互いの目的の為に利用してただけだしぃ。エロースの使徒を喰らう、殺すって共通目的はあったけどぉ」


「…そうか」


 …惨めだな。何処の誰か知らないが化け物に利用されて喰われて終わる、か。死んでも死にきれないだろう。


 もっとも化け物に赤ん坊を差し出すような奴だ。同情する気は全くない。ないが……正直不愉快だ。


「何を不愉快そうな顔してんの?アイツってどう考えても下衆でクズじゃん。アイツはお前に復讐する事が目的だったみたいだし。感謝しろとは言わないけど、喜んでくれてもいいんじゃないかなぁ」


「……俺に復讐?」


 アイツ……今はもう、一部分……地面に転がってる脚だけしか残ってない勇者だった男。


 俺に復讐……知り合い、なのか。俺に恨みを持つ男になんて心当たりはまるでないんだが…一体誰だ?


「僕に取り込まれたんだから、僕の中で生きてるとも言えるけど。まぁ、そんな事はどうでもいいよね。それより僕からも一つ提案があるんだけど、いいかな」


「……なんだ。一応聞いてやる」


「お前の事は諦めるからさぁ。僕の事は見逃してくんない?」


「……は?」


 まさかの停戦の申し込みだと?停戦してどうするってんだ。元の世界に帰るとでも?


「お前はエロースの使徒じゃないんでしょ?だったら僕が狙う理由は無いしぃ。一応、アイツとの契約、約束でお前を殺す事になってるけどぉ…ま、もういっかなって。別に破ってもペナルティないしぃ」


「……少年から青年くらいには成長したのかと思ったが。やはりお前も大概だな。それともゲスでクズの勇者を喰ったからお前もゲスでクズになったか?」


「え~、ひどいなぁ。今では僕にも傷付く心ってのがあるんだけどなぁ。あ、今ならお前達が赤ちゃんの心臓を食べる事に怒ってた事も何となくだけどわかるよ。同族愛ってやつでしょ」


「……的外れとは言わないがな」


 今、此処で戦う事にリスクを感じてるのか?本気で言ってるようだな。


 この場を脱しさえすれば、何処かで力を蓄えて再度…ってあたりか。それをさせると本当に厄介なんだよな。


「で、どーう?心配しなくても人間はもう殺さないであげるよ。襲って来れば別だけど、僕から殺しにいったりしない。街も壊さないよ。エロースの使徒だけは殺すけど」


 …ああ、そうか。使徒を殺して喰えば神になれるから俺は後回しでいいって考えか。神になれば俺なんて怖くない、と。


『それで正解やろ。つまり、どっちゃにしろ見逃す事はできんっちゅうわけや。そろそろ始めようや、マスター。院長先生やアムらも心配しとるやろし』


 ああ、そうだな…早く迎えに行かないとな。


「というわけで答えはNOだ。お前は此処で確実に滅する」


「……チェ。じゃ、やろうか。今度は一対一で、さ。一対一なら負けないよぉ」


「そうだといいな。……ラストバトル、開始だ!」

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