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第271話 開戦しました

~~マイケル~~




『僕はアインハルト王国王太子ジーク・エルム・アインハルト!そちらに勇者が居る事はわかっている!話がしたい!前に出て来てもらいたい!』


「…ああ言ってますが、如何なさいますか御主人様」


「五月蠅い!今考えている!黙ってろ!」


「……」


「ブツブツ…ブチブチ…」


 くそ!なぜ俺様の事がバレている!俺様が勇者であると知っているのはあの化け物以外にいない筈だぞ!


 他に居るとしたら俺に力をくれた神…まさか女神エロースが教皇に神託でも下したか?あの神は女神エロースの使徒を殺して欲しいようだったからな。


 ならば女神エロースと敵対しているのだろう。そこで使徒を護る為に教皇を通じ警告したか。それしか考えられん。


 よく見ればエロース教の司祭のような女が数名見えるし、間違いないだろう。


 ふっふっふっ…やはり俺様の頭脳は冴えている。俺様ならばこの窮地も脱する事が出来る!


 そうだ…俺様はこんなところで終わる訳にはいかん。


 この十年…奴のせいで俺様はどん底まで堕ち惨めな生活を強要されて来た。


 本部に送還され、神子教育施設に再び入れられる前になんとか脱し、何処かの貴族に取り入ろうと旅に出た。


 しかしすぐさま盗賊団に捕まり慰み者にされる日々…挙げ句根無し草の盗賊団に連れ回されエロース教本部から遠く離れたアインハルト王国の辺境まで来てしまった。


 そんな生活が突然終わったのが昨年。


 神が俺様に力を与えてくれた。やはり、俺様は選ばれし人間。人の上に立つべく生まれた選ばれし者。


 この力を用いて奴に復讐する。そしてアインハルト王国を手中に収める。使徒に関してはその後だ。


 その為にもこの場を切り抜けなくては。


 アインハルト王国が誇る五大騎士団。いきなりその全てを相手にするとは想定外だが逆に言えば此処をなんとかすれば後は大した障害も無く目的を果たせるというもの。


 そして奴らの大半は当然ながら女だ。男はジークとかいう王子と子供と老人の三人くらいしか見えん。


 例え男が大勢いたとしても、あの女共を支配すればどうとでもなる。


 そうだ…この状況でも俺様がやる事は変わらん。あの女共を支配すればいい。そうすれば全ては俺様の思うがままだ。


「となれば…おい、対談に行くぞ。何人か付いて来い」


「はい、御主人様」


 完全に支配するには抱く必要があるが一時的に支配下に置くだけなら触れるだけで良い。一時的にでも支配下に置けば後で時間をかけて支配すればいい。こいつらのように。


「そう…俺様は『色欲の勇者』…この力で女共を支配し、世界の王になるのだ」





~~ジーク~~



「―――だそうです、ジーク殿下」


「馬鹿なのかな?」


 聞こえないと思ったんだろうけど。自分から目的と能力をベラベラと…それともブラフ?


 ローエングリーン伯爵の能力を知ってて誤認させる為にブツブツと独り言を言ってたなら知恵者だと認めてもいいけれど。


「いえ、間違いなく阿呆なだけでしょう。十年前と変わっていません」


「ですね。……ふむ、わかった。伯爵様、教皇猊下から確認が取れました。アレが神子マイケルかは確証は無いが確か十年前に一人の神子が行方不明になる事件があった、との事です。今、ジーニ司祭を呼びに行かせてます」


「そうか。まぁ、間違いないだろう。それっぽい事呟いてたしな」


「阿呆なんだ……と、動き出したね」


 神子の…マイケルだったか。マイケルとマイケルを囲むようにして一、二、三…七人の女が此方に向かって来る。


 七人の女は武装してるけどマイケルは無手。男だし神子だったなら自身が戦う術は無いだろう。


 だけど…


「なんか厭らしい顔してるね。それに自信たっぷりに見えるけど。勝ち目があると思ってるのかな」


「触れるだけで支配出来るそうですから。恐らくはベルムバッハ伯爵らのように」


 ベルムバッハ伯爵…ああ、王国会議でおかしくなった。


 我が友を狙った行動らしいけど…そうさせたのがアイツだと言いたいのかな。


「恐らくは。どうやってかは知りませんがベルムバッハ伯爵らに接触した奴はジュンを孤立させろとか、自分の前に連れて来いとか命令したんでしょう。具体的な指示は出さずに。自分の能力の実験を兼ねていたのかもしれませんが結果的に自分の首を絞めてますね」


 本命の作戦を前に能力を知られちゃってるからね。


 そして対策もされてるとなれば…うん、阿呆だね。


「それでもジュンとベルナデッタ殿下の御力が無けれはここまでの対策は取れなかったでしょうが…ジーク殿下、そろそろ止めしょう」


「うん。…そこで止まれ!それ以上許可無く近付けば容赦無く攻撃する!」


 …見るからに動揺してるね。そこは弓と魔法は射程内だけど触れるほどに近付くには遠い。


 この距離を一瞬で詰める身体能力は無いんだろうね。


「…で。此処からどうすればいいのかな、ローエングリーン伯爵」


「そうですね…もう自白も聞けたようなものですし、降伏勧告をしましょう。従うならば生かしてやっても構いません。歯向かうならば殺して構わないでしょう。女達は…支配されているのでしょうから出来るだけ殺さない方針で」


 まぁ、そうだね、そうじゃないと我が友は怒りそうだ。


 使徒を狙っているというのはまだしも我が友を狙うならば、あの男は容赦無しだ。


「ジーク殿下でよろしかったですかな!此処からでは話もし辛いでしょう!もう少し近くに行かせて―――」


「それは許可出来ない!君は触れるだけで他人を支配出来るんだろう!」


 …さっきよりも更にわかりやすく動揺してる。これが演技なら大したものだけど。それはなさそう。


「な、何を仰っているのかわかりませんな!私はただ――」


「無駄だよ!君の目的もわかっている!母上を始め王国上層部の女性を支配し王国を乗っ取る!そして我が友を狙っている!そうだろう!」


「なっ…そ、ん…」


 口をパクパクさせて何も言えないでいる。


 やはりブツブツと独り言を言ったのはブラフでもなんでもなく只の真実か。


 …のこのこと近付いて来てるし、やっぱり馬鹿?いや彼女達に言わせれば阿呆か。


「クッ……クックックッ…クハーハハハハ!」


 …狂ったかな?何も出来ないままに追い詰められておかしくなったかな。


「バレているなら仕方ない!大方神託を受けた教皇から警告を受けていたとかだろう!そうなんだろう!そこの司祭!」


「「「……」」」


 いや教皇だけどね、その人。神子の癖になんで知らな…ああ、教皇が代替わりする前に失踪したから知らないのか。


「フン、図星か。おいジークとやら!取引だ!」


「…取引?」


「アイツを…ノワール侯爵になって調子に乗ってるアイツを差し出せ!そうすれば今日の所は引いてや、ヒィッ!」


「チィッ!」


 …何やってんのイエローレイダー団長。僕の命令を待たずに飛び出して先制攻撃なんて。防がれてるし。


 でもいい、許す。我が友を差し出せなんて巫山戯た事抜かす阿呆は処刑だ。


「だがイエローレイダー団長!奴に触れられる前に下がるんだ!」


「…ハッ!」


 …速い。あっという間に行って戻って来た。


 そこは流石は黄薔薇騎士団団長と言うべきかな。


「その黄薔薇騎士団団長の攻撃をあの女は防いだわけだけど…何者だい?」


「…わかりません。ですが並の戦士ではなさそうです」


 …もしかしてアイツの周りに居る女、全員が同じくらいに強い?


 だとしたら…いや、それでも戦力差は圧倒的にこちらが有利。


「フ、フハハハハ!不思議だろう!わからないだろう!たかが盗賊団の女が騎士の攻撃を防げた事が!知りたいか?ん?知りたいか!知りたいなら教えてやろう!」


 …自分から暴露するのか。本当に阿呆だな。


「俺様は『色欲の勇者』!その能力は女を支配する!そして完全に支配出来た女は…こうなる!」


 勇者が…マイケルが指を鳴らすと女達に変化が。


 全員ではないが八割方の女に蝙蝠のような羽と黒い尻尾。それに頭に角が生えた。


 …どうやら彼女達は人間じゃなかったらしい。


「驚いたか!そうだ、恐れ慄け!俺様の忠実なる下僕!サキュバスウォリアーズにな!」


「サキュバス?」


 サキュバスって…確か歴史の授業で習ったな。


「サキュバス…男の精を吸って生きる亜人種。故に男が激減した世界では生きて行けず大幅にその数を減らす。今ではエロース教本部で極上数が保護されているだけの種族…だったかな」


「その通りです。流石はジーク殿下。勤勉でいらっしゃる」


 問題はそのサキュバスが何故此処に居て奴に従っているのか、だけど…それにサキュバスだから強いってわけじゃないよね。


「俺様のサキュバスはこの世界のサキュバスとは違う!俺様の力で人間からサキュバスに変わった存在!俺様の力で人間だった頃より何倍も強くなっているのだ!特にこの七人はな!」


 …元がどの程度だったか知らないけど、全員がイエローレイダー団長と同程度になってるとしたなら…まずい?


「ローエングリーン伯爵……どうすれば良い」


「だ、だだ、大丈夫ですジーク殿下!僕が居ますから!」


 君には聞いてないよ、シルヴァン君。怖いなら下がってなよ。


 かっこつけるなら足の震えをなんとかした方がいい。


「…やるしかないでしょう。なに、負けはしません。シルヴァンの能力とジーク殿下の能力もあるのですから」


 僕の…勇者の能力か。ぶっつけ本番過ぎて不安ばかりなんだけど。


「ベルは危ないから下がってなさい」


「ううん!大丈夫!だって私が此処居ないと…なんだっけ?」


 …ベルが此処に居ないとまずい予知でも見たのかな。


 仕方ない…


「あの男は王国を乗っ取ろうと画策する賊だ!全軍!攻撃開始!」


「フン!サキュバスウォリアーズの力を甘く見るな!やれ!」

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― 新着の感想 ―
[一言] 要するにモンスター化やんけ(゜д゜) こりゃもう去勢だな
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