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第183話 当てが外れました

 草原部隊の傭兵達を捕まえた事で焦って全部隊突撃!とかして来るかと思えば。


 敵は冷静に少しばかり後方に移動、距離を取るにとどめていた。完全に当てが外れてしまった。


 そして俺は現在、ブルーリンク辺境伯に呼ばれてある部屋に居るのだが……俺は何を見せられているのだろうか。


「ああ…やめてぇ、も、もうゆるしてぇ…」「気が狂いそうなのぉ…助けてぇ…」「せめて、手を、手を自由にしてぇ…」「なんでもするからぁ…御願い…」


 草原でヒャッハーと突っ込んで来たドライデンの傭兵部隊、凡そ三百名を捕虜にした後、ブルーリンク辺境伯に尋問に立ち会って欲しいと言われ、最初は断った。


 建前上は国境侵犯で捕まった罪人の尋問なんて拷問と何ら変わらない、そんなものを見て喜ぶ趣味も無い、見る必要はないと考えたからだ。


 しかし、ブルーリンク辺境伯は決して彼女らを傷付けない事、俺はその場に居るだけで何もしなくていい事を約束。アズゥ子爵と共に立ち会う事になったのだが…


「フフフ…なら私達の質問に答えなさい。嘘偽りなく」


「そうすれば慈悲をくれてやるぞ。ほら、お前達の恥ずかしい姿を男に見られてるぞ。それも最高の美男子に。どうする?どうするんだ?」


「喋る!何でも喋りますからぁ!」「御願い!早くして!」「早く、早くしてぇ!」「ああああ!早く、質問を、早くぅ!」


 尋問…いや、やはり拷問だな、これは。


 拷問部屋に入ると壁に大の字になるよう手足を繋がれた全裸の女性達が。


 そして彼女達を拷問…愛撫するブルーリンク辺境伯とその妹カミーユさんを含む拷問官達。


 床にはmade inエロース教と思しき大人の玩具と空の瓶。


 集団SMレズプレイが目の前で行われていた。


『う~ん…これはわての趣味やないなぁ。全然ときめかへんわ』


 ……そりゃ何よりだよ、本当に。


「な、な、な…なんだ、これは!ノワール侯爵!貴方はこんなモノ見てはいけない!」


「もう遅いですよ、アズゥ子爵…貴女が再起動するまでかなりの時間を要してますから」


 この部屋に入って何分経った?五分か、十分か?俺も一瞬固まってしまって正確にはわからない。


「ならば質問だ。お前達の雇い主、戦力、目的、作戦内容。わかる範囲で全て答えてもらおうか」


「あ、ああ~…や、雇い主は~―――」


 全てを聞き出した後、俺達は場所を変えて情報の共有を行う事に。


 目の前にはツヤツヤとしたブルーリンク辺境伯とカミーユさんが。


「さて。では奴らから聞き出した情報を――」


「いえその前にです!何ですか、アレは!あんなモノをノワール侯爵に…男性に見せるなんて!ナニを考えているのです!」


「まぁまぁ。御蔭で奴らの舌が軽くなった事だし」


「それにノワール侯爵様は見慣れてるでしょう?アレよりもっと激しいプレイもなさってるでしょうし」


「そ!…そうなのか?ノワール侯爵」


「言いがかりでーす」


 そりゃそんな事言われても仕方ないだけの婚約者…いや婚約者候補がいますけども。


 彼女達とはまだ何にも……………キスと混浴までしかしてませんよ、はい。


『まぁ確かにBまでしかとらんけども。野営で同衾もしとるやん。最後までヤってないだけで』


 お黙り!


「なんだよ、ジュンは何を見せられたんだ?」


「拷問じゃないの?」


「プレイ?」


「プレイじゃねぇ。……もうその話はいいから。話を進めてください」


「うん。奴らから聞き出した話はこうだ―――」


 傭兵達の雇い主は裏組織の人間。その上に誰が居るのかはわからない。


 戦力は草原の部隊が傭兵600人、魔獣200匹。森にいる部隊が傭兵400人、魔獣100匹。川の部隊は裏組織の人間のみで戦力は不明。


 作戦は雨の夜に草原と森からの二方向から要塞へ攻撃を仕掛け、その隙に川から裏組織の人間が船で王国奥地まで潜入する。


 潜入した奴らの目的は不明。


「目的は不明、とは言ったが裏組織の人間が妙な事を言っていたらしい。救い出す、とな」


「…救い出す?誰をだよ」


「そりゃあ御仲間じゃないのぉ?」


「誘拐事件の時の奴らとか」


 ああ…前に捕まった仲間を助けるって?結構仲間想いなんだな…でも、なんだって今更?それもこんな大掛かりな真似をしてまで。組織の重要人物でも混ざってたか?


「順当に考えるなら仲間の救出になるだろうが、奴らはそんなに強い仲間意識など持っていない。例え家族だろうが組織のボスだろうが捕まった時点で見捨てるよ。それが他国なら尚更だ」


 と、この中で最もドライデンをよく知るブルーリンク辺境伯は言う。


 まぁ裏組織…マフィアみたいな人間の集りなんてそんなもんだろうけど…じゃあ誰を救い出すってんだ?


『そりゃマスターとちゃうか。可能性として一番高いんわ』


 …は?俺ぇ?何でドライデンの救出対象が俺なんだよ…意味わからん。


『ただの推測、可能性の話やて。これまでに得た情報からドライデンの目的は男。で、マスターはアインハルト王国で最も有名な男やろ。エスカロンとかいうドライデンのお偉いさんも御執心みたいやし』


 …そのエスカロンが俺に御執心な理由もわからんがな。


『いやいや。エスカロンがマスターに御執心な理由はわかったやろ。ブルーリンク辺境伯の言う事に間違いが無いなら、やけど』


 …というと?まさか男を王にするって云々の話か?


『せやせや。マスターこそがドライデンの王に相応しい!とか考えたんやろ。救出どうたらの理屈はわからんけどな』


 そりゃあ…自分で言うのもなんだけど、そこら辺の男に比べたら俺は真っ当な人格をしてると思いますけど?少なくとも誘拐事件の時の男達に比べたら。


 でもエスカロンにしてみれば噂でしか知らない存在だろう、俺は。そんなんを王にしようなんて思うかね。


『傀儡にするつもりなんとちゃうか。シンボルとして存在してくれればええんやろ』


 シンボルって…そもそもにおいて他国の男を国民が国王として受け入れる訳ないだろうに。


 自国民の男だとしてもポッと出の……なるほどエスカロン派は少数なわけだ。当たり前だわ。


「ブルーリンク辺境伯、傭兵の他に魔獣が居るとの事ですが、奴らはどうやって魔獣を従えているのですか」


「うん。私もそれは疑問に思った。最初は魔獣を従えるようなギフト、スキル持ちを揃えたのかと思ったが、そうじゃない。奴らは魔獣を強制的に従える魔法道具を開発したそうだ」


 ただし、それを使用するには生け捕りにする必要がある為に弱い魔獣が殆ど。一番強くてBランクのレッサードラゴンでCランク以上は全体の一割程度。殆どがDランク以下の魔獣だとか。


 それでも一般兵士からすれば十分に脅威なのだが。


「草原に居る部隊傭兵600人の内約300人はノワール侯爵が―――」


「捕まえたのはアズゥ子爵ですよー」


「え」


 え、じゃねぇ。そういう約束だったでしょうが。約束は守ってもらいますぜ、アズゥ子爵。


「…アズゥ子爵の御手柄により約300人の傭兵を捕まえる事が出来、作戦の概要を知る事が出来た。しかし、こうなった以上は作戦を変えて来ると思われる。撤退する事も考えられるが油断しないように。十分な警戒を持って臨んで欲しい。全員に伝えるようにしてくれ」


 この場に居るのはブルーリンク辺境伯とカミーユさん。ブルーリンク辺境伯家の騎士団長に兵士長。青薔薇騎士団副団長のアズゥ子爵。


 そして冒険者代表として俺とアム達…表向きはSランク冒険者のドミニーさんが代表だが。


「こっちから攻めねぇのか?そりゃ要塞に籠って戦う方が有利だろうけどよ」


「アム殿の言う事もわかる。だがそれは出来ないんだよ。向こうはあくまで賊だからな」


「…なんだ、そりゃ?」


 つまり、だ。向こうは傭兵を雇っているとはいえあくまでドライデンの国軍では無い。対してこちらは正式な軍隊。いくら賊を討伐する為とはいえ、こちらから国境を越えるわけには行かない、という事だ。


「そんな事をすれば非難を受けるのはこちらだ。…業腹だがね」


「今回のように暴走した所を捕縛出来れば楽なのですけど…ところで、どうやって暴走させたのですか、ノワール侯爵様」


「…さぁ。それはアズゥ子爵に聞いてください」」


「「「ジー…」」」


 その眼はなんだ…言いたい事があるなら……いえ、やっぱり言わないでください。


 取り合えず会議はそこで終了。受け身ではあるが警戒を強める事で様子を見る事に。


 ただし低ランクの冒険者は要塞内で待機に。


 いよいよ本格的な戦闘になる事を感じ取ったアム達に俺だけでも帰るように言われたが拒否。


 ブルーリンク辺境伯もそうするように説得して来たが、此処で帰るようなら最初から来ていない。


 俺Tueeeeeしたいというのは勿論だが多少は親しくなったブルーリンク辺境伯らを見捨てるほど薄情でもないつもりだ。


 いや、負けると決まったわけでもないのだが。ただ、偵察機で連中の様子を探っていたメーティスから気になる報告が。


『な~んや残った部隊の代表が話合いをしとったんやけどな。裏組織の人間も含めて。増援を呼ぶみたいやで。なんや切札みたいやで』


 …切札を此処で急遽投入かぁ。なんだってそんな…俺のせい?…だよなぁ。やっぱり。

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