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第163話 やっぱり最高でした

 森の中の道(オーガやオーク達亜人が昔作ったらしい)を馬車で抜けて荒野へ。


 荒野は歩くしかないかと思ったが岩山が密集してる地帯があるだけで、そこ以外は馬車でいけるそうだ。


 そして目撃情報のあったドラゴンのようなシルエットの魔獣は岩山が密集してる地帯にいるだろう、というのが全員の意見であり冒険者ギルドの見解だ。


「此処にはそこ以外に隠れられるような場所はありませんからね」


「巨体なら尚更…方角はアッチですよ」


「案内しましょう」


「…案内するんじゃねぇよ。前はあたいら、後ろはあんたら。速攻で約束を忘れてんじゃねぇよ」


 森を出て直ぐの場所で馬車を降り、方針を相談していたのだが。直ぐに『ファミリー』の連中が前を行こうとする。


 アムの言う通り、貴女達は後ろだってばさ。


「で?実際どうするのよ。あーしが空から見てやろうか?」


「これだけ見晴らしがよければ岩山も良く見えるだろ。岩山が見える位置までは馬車で行けばいいだろ」


 俺の意見に特に反対も無かったのでそのまま馬車で進む事に。


 岩山の密集地帯は荒野の中央付近にあり、荒野に棲む魔獣も大体はそこにいる。


「つまり、そこまでは魔獣に襲われないって事か」


「油断は禁物だよ…って言いたいとこだけど、此処に来るまでも全然襲われなかったねぇ」


「あーしが居るのに襲ってくるわけないじゃん。襲って来るとしたらかなり知能の低いバカか、あーしより強いナニか、ね。ま、あーしより強い奴なんて早々いないけどぉ」


「わふわふ!」


 …なるほど。リヴァが一種の魔除けになってるのか。人化してもアダマンタイトドラゴン。強者の気配を敏感に察知して魔獣達は近付いて来ない、と。


 …つまり俺Tueeeeeのチャンスが激減するわけだ。…リストラかな。


『あ、酷い。リヴァはマスターに好意を持ってるから付いて来てるのに。あ~あ、かわいそー』


 やめろや!だってしょうがないだろうが!俺の最優先目標なんだから!


『いやいや。リストラする前に気配を抑えるように言ってみいや。無理でも魔法で気配を遮断すればいいやん』


 ………………………それもそうだな。いかんいかん、俺とした事が。そんな基本的な事を忘れていたとは――


『ま、リヴァは飽きっぽいみたいやからな。次回はもう付いて来ぃへんかもな』


 ……お前、最近俺をからかう事が増えて来てない?なんなの、何か不満でもあんの?


『…だぁって~。せっかくわてのボディが完成したのにやで。使用機会が無いんやもん。いっそわてもマスターを護る会に入会してやろかな』


 やめなさい。間違いなくややこしい事になるから。少なくともメーティス=ブラックだってすぐにバレるから。


『ああ~…謎のヒーローブラックの正体がバレるんわ………別にええんちゃう?』


 やめなさい。その内に機会は作るから…全く。


「あ~、リヴァ?気配を抑えるって出来るか?」


「ん?出来るけど、なんでよ」


「リヴァの気配にビビッて魔獣が近付いて来ないなら、目的の魔獣も隠れちゃうかもだろ。そしたら探し出すの面倒くさいし」


「ああ~…んっ、コレでどう?あ、ついでにあんたも抑えなさいよ、ハティ」


「わふっ」


 ……ふむ?何となくリヴァとハティの存在感が薄れたような。


 眼の前にいるせいか、実感は今一つないな。様子を見るしかないか。


「………」


「ん?何よ…って、ああ、魔獣ね。早速効果が出て来たんじゃない?」


 御者をするドミニーさんが空を指差し、何かを伝えて来る。それに気付いたリヴァが魔獣だと言う。


 魔獣…何処だ?


「アレよ、アレ」


「アレって…空かよ。高いなぁ」


「わたしの弓じゃ届かないよ」


「魔法も届かない」


 ああ、アレか。アレは…鳥型の魔獣みたいだな。


『アレはロックコンドルやな。身体の一部が堅い岩で覆われとる。Dランクの魔獣やけど、高い位置からの急降下での奇襲が厄介とされとる魔獣やな。因みに肉は美味らしいで』


 ほう。つまり俺Tueeeeeの相手としては不足だが俺の出番というわけだな。


 クックック…任せなさい!


「じゃ、あーしがやっちゃおうか。ちょっと行って――」


「待った、待ちなさい。俺がやる!俺がやるから!」


「あんたが?…どうやってよ?魔法も届かないんでしょ?」


「俺なら届くよ。見てな」


 御者台、ドミニーさんの隣に行き、構える。横目にドミニーさんが凄く嫌そうな顔した後に、俺との間に盾を置いたが気にしない。…気にしないったら気にしない!


「おい、ジュン。本当に届くのかよ?」


「ジュンならやっちゃいそうな気もするけど~…あの高さだよ?」


「ジュンはデキる子」


 …ファウはいちいちニュアンスが妖しいんだよな…っと、そろそろ来るかな。


 先ずは土魔法で岩の弾丸を生成。両手を砲に見立てて雷魔法を使用する。


 擬似電磁砲の完成だ。


「名付けて!俺式レールガン!発射!」


「レールガンって何…ふわあああ!眩しっ!」


「魔獣の頭が吹き飛んじゃったよ!?」


 ふっ。土魔法と雷魔法の同時使用によるレールガンの再現。簡単にやっているようで実に高度な技術を要する魔法なんだぜ?


 ふっふっふっ…俺Tueeeeeとは言えないが、結構いい気分―――


「こ、侯爵様!?なんですか今のは!?」


「今のってまさか岩山を消し去った謎の光ですか!」


「岩山を消したのって侯爵様だったんですか!?」


 ………………Oh。後ろに『ファミリー』の連中が居るの忘れてたな。


「違いますー。今のは俺のオリジナル魔法ですー。例え岩山に撃っても穴を空ける程度の魔法で消し去るなんて出来ませんー」


「いや、岩山に穴空けるってどんだけですか!」


「それはそれで凄すぎませんかー!?」


「…魔獣に気付かれちゃうかもですから、これ以上は後にしてくださーい」


 お互い少し離れた位置で違う馬車に乗っての会話だからな。必然、声が大きくなる。


 謎の魔獣とやらに気付かれて隠れられても面倒―――


『あー…その心配は要らなそうやで、マスター。何かが近付いて来るわ、岩山の方から』


 え?何かって…もしかして目的の魔獣か?


「ドミニーさんよ、ジュンが仕留めた魔獣を回収したいから、そっちへ…って何か来るな」


「凄い大きな足音…大きいのが来るよ!」


「わふ!」


「!!!」


「えっ、逃げる?何でよって、うわわわ!」


 向かって来る何かに気付いたのかドミニーさんは馬車を急旋回。


 大きく弧を描いて森に戻る進路をとった。


「ちょっ、ちょっと侯爵様!?どーしたんです!」


「よくわかりませんけど、そちらも付いて来てください!」


 ドミニーさんの急旋回に『ファミリ―』が乗る馬車も慌てて付いて来る。


 岩山から迫って来る何かが『ファミリー』の馬車の後方に居るという形になってしまった。


「ドミニーさんよ!何がどーしたんだよ!説明してくれよ!」


「!!!!!!」


「ええっと…アレはタイラントバジリスクだ!アレとやり合うには準備が足りない!って言ってるわよ」


「げっ!マジかよ!」


 タイラントバジリスク?…メーティス、解説をどうぞ。


『はいはい。タイラントバジリスクはバジリスクの最上位存在やな。通常のバジリスクがCランク。タイラントバジリスクがSランクの魔獣やな。バジリスク系の魔獣に共通してるんが石化毒を持っとるちゅう事。特にタイラントバジリスクの石化毒は強力で、爪・牙・尻尾・血、全てに石化毒が含まれとる上に石化の邪眼も持っとる。性格も凶暴極まりない上に食欲旺盛。眼についた奴は何でも襲うで』


 ほうほう!Sランク魔獣!それはそれは!思いがけずビッグな獲物じゃあ~りませんか!


 因みにその石化毒は俺に効くのか?


『マスターに効く毒なんてあらへんわ。当然石化の邪眼も無効や。ただしやな――』


 よっしゃ!ならば何の心配も無く俺Tueeeee出来るな!


「ぎゃあああああ!アレはバジリスクじゃん!」


「しかも大きさからしてタイラントバジリスク!」


「ヤバいよ!アレはヤバいよ!」


「今のあたしらの装備じゃ石化攻撃は防げないよ!」


「コズミ、飛ばして!フルスピード出してって、きゃああああ!」


「ブヒヒヒヒヒヒィィィ!!!」


 おおう!岩を飛ばして『ファミリー』が乗る馬車の車輪を破壊しよった。


 そこそこ知恵も回るみたいだな。横転した馬車に巻き込まれるように馬も倒れてしまった。後で治してやるからな!


「というわけで救けて来る!」


「!!!!」


「やめろ!あいつらはもうダメだって言ってるわよ。って、聞きなさいよ!」


 ドミニーさん…えらくアッサリと見捨てるのな。


 そりゃドミニーさんにとっては会ったばかりの他人…って、それは俺も変わらないけど、薄情じゃない?


 普通の冒険者なら、こういう場面ではそうするべきなのかもしれないけどさ。


「おい、ジュン!マジかよ!マジで行きやがった!」


「ジュン!戻って!ああ、もう!」


「心配ない心配ない。おじいちゃんを倒したジュンなら余裕だって」


 なんか後ろで聞こえるけど、取り合えずは人命救助優先だな!


「あたたた…皆、無事かい!?」


「うぅ…は、早く逃げないと…」


「あたし、脚折れたかも、走れない…」


「フローラ!あたしがおぶってやるから、諦めんな!」


「早く立って…って、えええ!侯爵様!?」


 馬車の横転で怪我はしたみたいだけど、全員生きてるな。馬含め。


 後で治してあげるから結界内で大人しくしてなさい。


「け、結界魔法?こんな魔法まで…って、いやいや!タイラントバジリスクの邪眼には結界も効果無いですよ!聞いた話ですけど!」


「あたしらの事はいいから逃げてください!」


「大丈夫だから、大人しくしてなさい」


 さて、どうやって仕留めますか。さっきみたいに俺式レールガンで…土魔法には耐性ありそうだなぁ。


 じゃ、荒野だし火事の心配も無いしド派手な火魔法でドカンと一発!


『それすると素材の回収が出来へんくない?折角の大物やのに。タイラントバジリスクの素材とか高う売れるらしいで?』


 む…そうなのか。なら、院長先生の真似事と行きますか!


「いや逃げてくださいって、ちょっとおおお!」


「なんで向かって行くんですか!」


「まさか剣で戦うつもりですか!?」


「そんなのタイラントバジリスクの邪眼で簡単に…って、えええ!?」


「ひ、光の剣?」


「アッサリと首落としちゃった!?」


「しかも死体が消えたぞ!?」


 光魔法の付与魔法でミスリルの宝剣を強化。


 光の刀身を伸ばしてタイラントバジリスクの首を落とした。で、死体を即収納。これにてタイラントバジリスクの討伐完了だ。


 クククッ…クハーハッハッハッハッ!二回目!ようやく二回目の俺Tueeeee達成!


 やっぱ気持ちいぃぃぃ!やっぱり最高っ!!!止められない止まらない!二匹目が居たりしないかなぁ!………んあ?


「こ、侯爵様…しゅごい、しゅごすぎましゅ…」


「美しくて、超強い…男神様…」


「ドラゴンゾンビの単独討伐なんて、正直侯爵様に華を持たせるだけの出まかせかインチキ、やらせの類だと思ってたのに…」


「ほ、本当だったなんて…」


「……好き」


 …あ~…こっちはアッサリと片付きそうにないなぁ。どーすっかな…

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