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第156話 逃げられました

「じゃあ、行って来る」


「「「行ってらっしゃいませ」」」


 今日は国父ガウル様に招待されたお茶会の日。


 王城まではアニエスさんとソフィアさんが同行する事に。


「ガウル様はお優しい方だから心配は要らないだろうが…本当にその格好で良いのか?」


「だって招待状にそう書いてるんですもん」


 今日の俺の服装…冒険者活動する時と同じだ。


 黒のサーコートに軽鎧にミスリルの宝剣…今は夏なので正直暑苦しい。


 お茶会のドレスコードなんてよく知らないけれど、これは普通じゃないよな、どう考えても。


「私はガウル様とお話しした事はあまりないのですが…普段は何をされているのですか?」


「レーンベルク団長は知らないのか。私も大した事は知らないが、何でも男だけを集めて熱心に何かを語り合うのだとか」


「男性だけを?」


 …警備が大変そうだなぁ。


 だってアレだろ?ガウル様以外も貴族の男とかだろ?


 ある意味、上級貴族よりもVIPじゃん。


「なら、今回のお茶会はジュン君を……」


「その集まりに呼ぶ為の布石…或いは今回のお茶会からして、その集まりなのかもな。ジュン、招待状には服装以外に何が書いてある?」


「特にこれといって…強いて言えば少人数の集まりになるから気楽に参加して欲しいと」


「少人数の集まり…ならばやはり今回から男性だけの集まりのようだな」


 …名前があるのか知らないが、そのナントカ会に俺を引き入れたいのがガウル様の目的か。


 …よっぽど変な集まりじゃなきゃ入会してもいいけど…なんでだろう。


 既にそこはかとなく嫌な予感がするんだよなぁ。


 男性だけの集まりで何かを語り合う…恐らくは王国の重鎮の旦那さんが。


 語り合う内容が不穏な内容じゃなきゃ良いけど…って、女王陛下は知ってる筈だよな、陛下が俺に招待状渡したんだし。


 不安に思う事はないか?


「着いたぞ、ジュン」


「行きましょ」


 王城に着くと、そこには出迎えの騎士が。


 本来なら執事かメイドに言って取り次いでもらってから迎えが来るのだが…


「ノワール侯爵様、お待ちしておりました」


「…青薔薇騎士団が出迎えか」


「…それじゃ、私達は仕事して待ってるわね。大丈夫だと思うけど、気を付けて」


 青薔薇騎士団…確かアインハルト王国の男性貴族、及び外国からの男性客の護衛が主任務の騎士団か。


 その任務の性質上、男性を襲ったり誘惑したりしない、自制心のある人物のみが入団出来る騎士団。


 確か先代ブルーリンク辺境伯…つまりヒルダさんとカミーユさんの母親が団長だった筈だ。


 そんな青薔薇騎士団がガウル様の使いとして出迎えに来るという事は…今回のお茶会の警備を担当するのは青薔薇騎士団か。


 当然と言えば当然。その事に不満はない。不満は無いが…不安はある。


「さっ、こちらですノワール侯爵様」


「危険ですので私と手を繋ぎましょう」


「では反対側は私と」


 ほんとーに貴女方は青薔薇騎士団の騎士なんですよね?


 今の所、他の女性達と大差無い行動してますけど?


 手を繋ぐどころか腕を組んでますし。


「あ、ノワール侯爵様!」「あ、あの!ノワール侯爵様!今度、私の屋敷でお茶会でも!」「ドラゴンゾンビを倒した時のお話しを是非!」


 と、早速城内の女性達が俺に近付いて…おお?


「きゃあ!」「かっ、壁?!」「結界だわ!」


「お前達、それ以上近付く事は赦されない」


「我らはガウル様よりノワール侯爵様を安全に案内するよう仰せつかっている」


「故に不用意に近付く人物は、例え斬り殺しても罪に問われる事はない」


「わかったなら道を開けるように。警告は一度だけだ」


「「「……」」」


 ……誰?


 さっきまでの浮ついた人物とほんとーに同一人物?


 えらい変わりようですやん。


『同感やけど、それがプロってもんなんちゃうか。いざって時はちゃんとデキるって事や』


 おう…それがデキるなら最初から最後までそうして欲しいと思うのは贅沢なのだろうか。


 ん?アレは…


「クオンさん?」


「はい。おはようございます、ノワール侯爵様」


 少し歩いているとクオンさんが道を塞ぐように待っていた。


 アイのメイドであるクオンさんが何用…って、そう言えばアイの姿が見えないな。


 ガウル様のお茶会に呼ばれた事はアイも知ってると思うのだが。


「アイ様…アイシャ殿下よりノワール侯爵様への言伝がありります」


「言伝?…ああ、騎士の方、クオンさんは近付けても大丈夫です」


「「「「はっ」」」」


 やけに遠くから話すと思ったら青薔薇騎士団が牽制してたからか。


 ソソソ、といった感じで近付いて来たクオンさんは耳元で囁くように一言。


「『ごめん』以上が姫様からの言伝になります」


 …何やったアイツ。姿を見せないのは何かやらかして、俺に被害が出るからか。


 そしてこのタイミングで謝るって事は…ガウル様絡みか。


「確かにお伝えしました。それでは」


「あ、クオンさん。アイ…シャ殿下に後で会いに行くと伝えてください」


「それは難しいかと。姫様は今日は戻らないと仰って出掛けられましたので」


「……」


 あんにゃろう!それって間違い無くとんでもないやらかしをしてるって事じゃねぇか!


「…じゃあ次に会った時にお仕置きを覚悟しておくようにと」


「畏まりました。ノワール侯爵様はそういうプレイがお好きなのですね」


「プレイの話じゃありません…」


 誰がプレイ内容の伝言なんか頼むか。


 誤解されたらどうする。


「…ノワール侯爵様はドSなので?」


「違います」


「ではドM――」


「違います!もういいから進んでください!」


 ああ、もう…この短時間で一気に疲れたわ。


 足取りが重い…

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