第152話 解決しました
「――以上の功績を持ってジュン・レイ・ノワール侯爵に王家より領地を与えるものとする。ノワール侯爵には更なる王国への貢献を期待する」
「はっ!陛下の期待に応えられるよう、より一層精進します」
俺は今、叙爵の儀と同じように大勢の貴族の前で女王陛下から恩賞を賜ったのだが…
「なんと巨大な魔石…本当にドラゴンゾンビを彼が倒したのか」「何でも全長200mはありそうな巨体だったそうですぞ」「災厄級の魔獣だったとか…」「それを単身、侯爵自ら倒したと言うのか…」
後悔はしてない。後悔はしてないが…少々派手にやり過ぎたかもしれないとは感じている。
アンデット化したひいじい様を倒した後、兄ドラゴンはミスリルドラゴンとお見合い。お互いがお互いを気に入り、無事に夫婦関係になった。
これでミスリル鉱山の一件は無事解決、今後も安定してミスリルを得る事が出来る…となったのだが。事はそれだけで終わらなかった。
アダマンタイトドラゴンである兄ドラゴンが棲み処とする事でアダマンタイト鉱石も採れるようになるらしい。そこまでは予想の範囲内だったのだが…
『我と旦那との魔力が混ざって影響を受けた鉱石が出来るようになる。それは即ちミスリルとアダマンタイト、両方の特性を持った鉱石。つまりはオリハルコン鉱石が出来るようになるだろうな』
という爆弾発言をミスリルドラゴンから頂いたのだ。
安定してミスリルとアダマンタイトを得る事が出来るだけでもかなりの貴重さなのに、そこへ更に超希少なオリハルコンまで採れるようになる。
オリハルコンはアインハルト王国はおろか世界的に見ても超希少。安定して採れる鉱山なんてほんの僅か。
それを手に入れたという功績は、それだけで陞爵するに値する価値のある事なのだが…ひいじい様を倒した事で得る事が出来た魔石。女王陛下に献上したアレも相当貴重な代物らしく。現在は使い道が決まっていないが国宝になるらしい。
アダマンタイト鉱山の入手とオリハルコン鉱山の入手。どちらもまだ未確認だがミスリルドラゴンという前例がある以上、確実と見られている。そして巨大魔石の献上。それらの功績を持って俺は領地を賜ったわけだ。
公爵へ陞爵という話も挙がったらしいが俺が侯爵になってから余りに期間が短すぎるという事で、今回は領地を下賜するのみに落ちついた。
領地は元シーダン男爵領と隣接する王家直轄領を割譲して下賜された。街二つと村四つ分の領地をだ。他の侯爵領と比べてもまだ小さいらしいが伯爵領くらいにはなったらしい。
俺的には領地なんてもらってもアニエスさんやソフィアさん達に任せるしかないので手に余るだけなのだが。
ただ領地運営に関する人材、文官や街の守備隊の指揮を執る武官等の募集をする際は俺も参加しなければならないらしい。
何せ俺の直属の家臣となる人物の募集なのだから当然と言えば当然なのだが、今から嫌な予感がしてならない。
そうそう。兄ドラゴン以外のアダマンタイトドラゴン一家がどうなったかのかも説明しよう。
親ドラゴンは息子が嫁を娶っての独り立ちを祝福。ひいじい様との約束は果たせなかったものの一応は自由の身になった。だがこれからも『赤の楽園』で暮らす事を選択。あの森を護って行くらしい。
偶に森を離れて息子夫婦に会いに行くくらいはすると言っていたが、アダマンタイトドラゴンが二匹も突然現れたらパニックが起きそうで怖い。
それから妹ドラゴンなのだが…家に住み着いてしまった。ドラゴンの姿では無く人化して。
てっきり兄ドラゴンに付いて行くか結婚に反対してミスリルドラゴンと喧嘩するとか予想していたのだが…アッサリと兄離れし実家を離れた。
「勘違いするんじゃないわよ。此処ならお兄ちゃんにすぐに会いに行けるし、人間の暮らしに興味があっただけなんだから。決してあんたを気に入ったとか、ましてや惚れたなんて事はないんだからね!フン!」
カタリナに次ぐツンデレの誕生である。人化した妹ドラゴンは角と小さくなったドラゴンの翼、尻尾のある…所謂竜人族と同じ姿になった。
竜人族の始まりは人化したドラゴンと人族との間に生まれた子供達の末裔らしい。もし彼女が人族と結婚すれば竜人族が生まれるわけだ。
…その相手は俺じゃないと思いたい。
それとレッドフィールド家の三つ子。彼女達は正式に…俺を護る会に入会してしまった。
何でも飛行魔法の使い手は少ないらしく、どこの国でも欲しがる人材。さらにひいじい様…ドラゴンゾンビを一撃で倒せる武力を持つ事が広まれば他国からも俺を欲しがる王家や貴族家が激増するのは間違いない。だから三つ子達に口止めを要求、その対価として入会を認めるしかなかった…らしい。
それでも俺が拒否すれば入会は断る事が出来たかもしれないらしいが…初の俺Tueeeeeを成し遂げた俺は上機嫌で了承したらしい。
王都に帰って屋敷で皆に武勇伝を語っている時に訪ねて来た三つ子に入会の許可を求められ認めたらしいが…正直覚えてない。
酒が入ってた事もあってか相当舌が軽かったのだろう…そういう事にしよう、うん。
ああ、忘れちゃいけないのが今回の発端となったドミニーさん。
彼女はノワール侯爵家のお抱え鍛冶師兼Sランク冒険者となった。
貴族家が鍛冶師や高位ランクの冒険者を召し抱える事はよくある事。それ自体は問題なく特に騒がれもしなかった。
しかし、男性恐怖症のドミニーさんが何故俺の元に来る事になったのかと言えば。当然アダマンタイトとオリハルコンが理由だ。
アダマンタイトとオリハルコン、どちらも彼女にとっては垂涎の素材。それらを優先的に回す事を条件に彼女は俺の家臣となった。
領地持ちとなった俺…ノワール侯爵家は騎士団も設立しなければならないし、領兵も組織し直さなければならない。まぁ、それらもほぼ丸投げになるだろうけど…ドミニーさんには騎士や領兵の装備を作ってもらうのが最初の仕事になるだろう。多分。
以上が今回の顛末だ。
王城でのパーティーも終わったし、余計な人に絡まれないうちに帰ろう。
「ノワール侯爵様。女王様が御呼びです。こちらへ」
…呼ばなくていいよぉ。




