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第142話 暴露してきました

「そうか、明日出立するか」


「ええ。お世話になりました」


 レッドフィールド公爵家での晩餐会…パーティーの最中、今日も女性陣のアピール攻撃をなんとか躱した後、現地に向かう事を公爵に話した。


 それを周りで聞いていた令嬢、使用人達から落胆の声…仮に後一ヶ月居たとしても何も無いからね?


 初対面の侯爵(俺)とのラブロマンスなんて起きないからね?


「ノワール侯爵も森に入るつもりなのか?」


「ええ、勿論」


「ウチも一緒にね」


「当然、わたくしもですわ!」


「本当は私達に任せて欲しいのだけどね…」


 そうは言ってもベルナデッタ殿下の予言を信じるならば俺は行かなければダメなわけで。


 そして魔獣が居るならば俺Tueeeeeのチャンスが待ってるかもしれないし。


『ブレへんなぁ…希望を抱いてるとこ悪いけど、今回は無さそうやで。魔獣は赤いのにばっかりってだけで別に強いわけやないし』


 ソンナバカナ!


 赤くなれば通常の三倍のスピードで突っ込んで来たりするんじゃないのか?!


『…なんや、それ。この森の魔獣は最初から赤いんやろ。途中から赤くなったわけやのうて。仮に赤に変色したんやとしてもスピードが三倍になる理屈がわからんわ』


 …アイなら理解してくれるだろうけどな。流石にデウス・エクス・マキナにそんなデータは入っていないらしい。


「ならば我が公爵家の騎士団と兵士も派遣して―――」


「必要無いわ」


 間髪入れずに断ったのはアイだ。俺かソフィアさんなら強く言えたかもしれないが王女相手では公爵も口を閉じてしまった。


 並の貴族なら、そのまま黙ったまま引き下がるのだろうが公爵は違った。


 すぐに気持ちを立て直した公爵は再び口を開いた。少し眉間にしわを作りながら。


「…何故でしょうか。あの森は広大です。僅か二十名弱ではとても調べられるモノではありませんぞ」


「人数が多ければ良いというものではないの。それにジュンは犠牲者が出る事を望んでいない。だから少数精鋭で行くの。わかったかしら?レッドフィールド公爵」


「…御意。では道案内に私の娘を―――」


「それも不要よ。貴女の欲を満たす事には今日まで付き合ってあげたでしょう。これ以上は欲張り過ぎよ。控えなさい」


 お、おう?なんかアイが王女っぽい雰囲気を…欲を満たす事に付き合った?


 何の話だ?


『さっき公爵が言ってたやつやろ。周辺領主に貸しを作ったってな』


 ああ、それか。んで、俺に娘達を押し付けてレッドフィールド家も縁を結ぼうとしてる、と。


 確かに欲張り過ぎかもな。


「…参りましたな。確かに私はノワール侯爵に娘達を娶って欲しいと考えています。ですがそれは娘達の幸せを願っての事。レッドフィールド家として益のある事なのも認めますが」


 おう…遂にハッキリと言いよった。


 何でだよ、ジーク殿下の婚約者候補なんだろ、三つ子は。


「ジークにしなさいよ。実際そのつもりだったんでしょ。ウチからも言ってあげようか?」


「それは有り難いお話しですがジーク殿下にその御積りがございませんでしょう?あの方は娘達に教育係以上の関心を寄せていない。嫌ってはいないようですが、それだけです」


「それはジュンも同じでしょ。ねぇ?」


「あ、うん、はい」


 少なくとも今は厄介な人の娘さんとしか。


 友人にもなっていない、というのが正直な感想。


「ノワール侯爵からすればそうでしょうな。まだ知り合って僅かな時間しか過ごしていない。だが娘達はノワール侯爵…君に惚れてしまったのだよ。ならば親としては応援したい。家としても有益な相手なら尚更な」


 …俺に惚れてる?…ナンデヤネン。


 特にそんな要素有ったか?何回か屋敷に訪ねて来て、他愛ない話しただげじゃん。


「ミスリルの宝剣を渡した時の事、覚えているかね」


「…それは、はい。覚えてますが」


「娘達はそっくりだろう?親の私でさえ見分けるのは困難なほどに。だから娘達は探していたのだ。自分達を見分ける事が出来る男を。三つ子と一括りに見るのではなく、イザベラ、イザベリ、イザベルと、分けて見てくれる男をな」


 おう…あのクイズにそんな意図が。


 あの時は深く考えずに宝剣が貰えてラッキー程度にしか思ってなかったが…迂闊だったか。


「えっ。ジュンってば、あのクイズ正解したの?凄くない?」


「…まぐれな、まぐれ」


「まぐれなどではないだろう。君は確信を持って答えていた。それぐらいは娘達にもわかる事だ」


 …誤魔化しても無駄だと言いたいのか。


 しかし、その娘達の気持ちを勝手に伝えていいのかね。それに家臣達の娘を紹介する機会を作ったりして…ライバル増やすだけじゃん。


「構わん。どうやら君にはハッキリと言わないと伝わらないようだし、婚約者の数も既に千人以上居るのだろ。今更じゃないか」


 …どちらも反論の余地はなし。グゥの音も出ませんな。


「しかしですよ。聞いた話では戦功の褒賞に娘達をジーク殿下の婚約者候補にするよう望んだのでしょう?周りはもう決まったも同然と見ているとも聞いてます。それを捨ててしまって良いのですか」


「勘違いしないで欲しいのだがね。娘をジーク殿下の婚約者にするのを諦めたわけではない。私にはもう一人、娘がいるのでな」


 はぁ、そっスか。


 …その娘さんの事は聞かないでおこう。藪蛇になりそうだ。


「因みに長女の名はアウレリア・ブリジット・レッドフィールド。赤薔薇騎士団の現団長で他国に遠征中だ。もう半年は帰っていない。いつ帰って来るかわからんが、帰って来たら会ってやってくれ。…正直、アイツをジーク殿下の婚約者候補にするのはかなり不安があるのだがね」


 聞かないでおくと決めたのに…しかし、赤薔薇騎士団の団長と来たか。


 じゃ、遅かれ早かれ会ってたんだろうな。あと、後半に何かボソボソとなんか言ってた?


「話が逸れたな。兎に角、明日はイザベラ達に道案内させる。他にも何かあればイザベラ達に使ってやって欲しい。あの子達はああ見えてこき使われる事に喜びを感じるマゾヒストだ。ハードな内容ほど喜ぶぞ」


「…なんて?」


 サラっと娘の性癖暴露しやがったそ、このオバサン!

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