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第139話 待ってました

「此処から先がレッドフィールド公爵領ですわね」


「じゃ、あの街がレッドフィールド公爵領最初の街になるのね。結構大きな街よね。ね~ハティ」


「わふっ」


 俺達は今、宰相ブロンシュ侯爵から聞いた迷子になった子供を助けたドラゴンが居るという噂のある森『赤の楽園(レッドガーデン)』目指し、レッドフィールド公爵領に入った所だ。


 面子は俺、アイ、イーナ、ハティ。そして護衛として白薔薇騎士団からソフィアさんとナヴィさん含む二十名。


 俺達は馬車で、ソフィアさん達は馬に乗って並走。馬車の外にソフィアさん達は居る為、会話には入れないわけだ。


 何故、今回はこんな面子なのかと言えば。宰相と話した後、一応ベルナデッタ殿下とも話をしたのだ。


 そしたら聞けたのだ、ドンピシャな内容の話が。


「お兄ちゃんとアイお姉ちゃん、あと知らない人とワンちゃんがね、赤い森の上をドラゴンに乗って飛んでたの!」


 という夢を見たのだとか。


 いつもなら現実とごっちゃになってるような言い方なのに、今回は夢と認識している事から未来視じゃないのでは?という意見もあったが、内容が内容だけに信じる事に。


 で、知らない人とワンちゃんの特徴を詳しく聞いた結果。イーナとハティで間違いないとなったのだ。


 ベルナデッタ殿下の未来視に従うのなら、白薔薇騎士団の護衛は見てないそうなので連れて行かないという選択肢もあるにはあったのだが、流石にそれは叶わず。


 俺だけでも護衛無しは通らないのにアイシャ殿下も一緒なら尚更ダメだと。


 それはそうだと思うので特に反論もせず。現在に至る…という訳だ。


「それで此処からどっちに向かうの?」


「『赤の楽園(レッドガーデン)』は公爵領の更に東部にありますの。途中に領都トレッドがありますわ。今日はあの街で一泊して、明日はトレッドで一泊する事になりますわね」


 あー…そうなるとレッドフィールド公爵と会うのは避けられなさそ。


 会うと面倒そうだからトレッドを避けて通れないものか…可能だけどかなり遠回りになる?そっスか…


「ウチが居るんだから平気でしょ。ウチの前でウチの婚約者に手を出そうなんて度胸のある――」


「居ると思いますわよ。ジュン様に婚約者が多数いる事は既に知られてますし、ならば自分もと考える人は多いですわ。なんとか紹介して欲しいとお願いの手紙がわたくしにも沢山届いてますし。殿下にも届いているのでは?」


「…そう言えば何通か来てたわね。途中でクオンに投げた後は任せっきりだけど」


 手紙は俺にも来てる…らしい。伯爵以上の上級貴族は直接俺に手紙を送っているそうだ。


 伝聞形の言い方なのは、そういう手紙は全てアニエスさん達が処理しているからだ。


 俺宛の手紙を何故と思わなくも無いが、どうせ貴族とのやり取りとなればアニエスさん達を頼らねばならないので任せる事にした。


 中には写真同封で送って来てる伯爵やら、金貨袋と一緒に送って来る侯爵なんかも居たらしいが…どういうつもりなんだか。いや、答えは一択なんだが。


「で、この街…アマリロだっけ。ウチは初めて来たんだけど、どういう街なの?」


「え?どう…とは?」


「何か特徴とかないの?他の街には無さそうな、珍しい特徴」


「そうですわね…公爵領から隣接する他領に行くのに利用する方が多いのですわ。行商人や傭兵団なども利用するので色んな人が集まる街、と言えるのですわ」


 …こう言ってはなんだけど、イーナって意外と博識?聞かれた事には大体答えてるし、此処に来るまでの道順も覚えているようだった。


 相変わらずのドジっぷりも発揮されていたが。


「行商人は兎も角、傭兵団ね。いざこざも多そうね」


「それがそうでもないのですわ。レッドフィールド公爵様もその辺りは理解されていますし、ご自身もアマリロを経由して他領へ赴きますもの。アマリロの治安の良さは確かですのよ」


 どうもそうらしい。街に入ってから巡回する衛兵を多く見る。ガラの悪そうな冒険者か傭兵っぽい女性も多く見るが乱闘騒ぎなんかは起きている様子は無い。


 で、御多分に漏れず衛兵もガラの悪い連中も美人揃いだったりするのだが。


 本当に女好きには天国だよな、この世界…


「ところで何処に向かってんの、これ。宿屋?」


「勿論、この街を治める代官の屋敷ですわ。殿下がいらっしゃるのですから当然でしてよ」


「ウチは普通の宿でいいだけどね。でも白薔薇騎士団の護衛なんて連れてちゃどうしても目立つし、嫌でも代官の耳に入っちゃうもん」


 遅かれ早かれ代官の屋敷に招かれるか代官が直接宿に来る事になる、か。それなら最初っから代官の屋敷に向かった方が早い、と。


 でも突然王女が来たってのに静かだよな。もっと大騒ぎしても良さそうだけど。


「先触れを出してる筈ですもの。レーンベルク団長なら抜かりない筈ですわ」


 なるほろ。悪目立ちしたくないという俺とアイの希望を何も言わずともくんでくれた訳ね。


『俺Tueeeeeがしたいくせに目立ちたくないて。なんや矛盾してへん?』


 メーティスよ、昔の人はこう言った。それはそれ!これはこれ!と。


『………さよか』


 不満そうな声だな。実際に違うんだからな。


 俺Tueeeeeで目立つのは仕方なしと割り切れるし身内の前でってパターンになる可能性が高いし。いや俺Tueeeeeが出来るなら赤の他人の前でも全然いいんだけども。でも他所の街を訪問しただけでお祭り騒ぎにされて目立つのは意味はないしだな。それに――


『わかったわかった。そないに早口でいいなや。マスターは俺Tueeeeeの事になると…おっと、着いたみたいやでって…何でおるんやろな』


 は?誰が居るって?


「着きましたわ。アマリロの代官、ロッソ子爵が出迎えて…え?」


「ようこそアマリロへ、そして我が領地へ。アイシャ殿下、ノワール侯爵。御待ちしてましたよ」


「レッドフィールド公爵…」


 何故此処に居て出迎えしてるんですかね…満面の笑顔で。

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