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第128話 早々に絡んで来ました

「ほうほう。これは美味しいね。新たな人気商品になるね」


「こっちも美味しいですわ!でも、これはお菓子っぽいですわね」


 ジャイアントフロッグ討伐時にブルーリンク辺境伯に狙ってる宣言された日から二日後。


 唐揚げとポテトチップス…ポテチを屋敷で皆に振舞っている。


 唐揚げは蛙肉では無く鶏肉で。残ったジャイアントフロッグの肉はブルーリンク辺境伯が全て持ち帰ったから手持ちは無い。


 思ったより美味かったのは認めるが、俺はやはり鶏肉の方が好き。


「それでジュン、これは私に任せてくれるのかい?」


「うん。特許登録出来そうならそれも頼むよ」


「任せてくれたまえよ。ちゃんとノワール侯爵家の収入源にしてみせるよ」


 上手く行けばそれなりの収入源になるだろう。でも侯爵家の収入としてはまだまだ不足なんだろうな。


 ヒモ男卒業はまだ先になりそうだ。


 ところでイーナ、ポテチの食べかすをこぼすんじゃない。貴族令嬢らしくもう少し綺麗に食べなさい。


「ジュン君はいるかしら」


「こんちゃっスよ~って、なんかいい匂いがするっスね」


 そこにソフィアさんとナヴィさんの御登場だ。今日は何やら話があるとの事で、冒険に行かずに待っていたわけで。


 ナヴィさん、食べるなとは言わないけど一人で全部食べるのはナシですからね。


「それで、話とは?」


「モグモグ…美味しいわね、これ……あ、コホン。話というのはね――」


 話の内容は例のミスリル鉱山。鉱山を本格的に運営するには鉱山近くの街を治める貴族に協力を取り付ける必要がある。


 鉱山の麓に鉱石の集積所を建築、運搬。鉱夫達の家、鉱山管理を任せる家臣の屋敷の用意etcetc…その全てをアニエスさんやソフィアさんらに丸投げしていたわけだが、一度は俺も顔を出して欲しいのだとか。


「その街を治める領主、シーダン男爵は元々はノワール侯爵の家臣でね。侯爵家が断絶した後は独立。鉱山近くの街、トランを治める領主になってるの」


「それから三十年。今は独立してから三代目の当主なんっスけどね。その当主が一度ジュン君に会いたいって言ってんスよ」


 三十年も前の話とはいえ、元は主家だったノワール侯爵家を再興した当主。しかも男。


 彗星の如く現れ第一王女アイシャ殿下の婚約者にまでなった俺に会いたいと。そう言ってるらしい。


 まぁ、それで協力体制がスムーズに構築出来るならいいんだけども。


 それだけで済まないような予感がするのは何故。


「済まないでしょうね」


「というのも、ちょっと面倒な事になってるんスよね」


 というのも。トランは鉱山あってこそ栄えた街だったが廃鉱山になってユーバー商会が撤退してからは衰退の一途。シーダン男爵の実入りは一気に減り、借金をするしかない状態が続いた。


 ミスリルドラゴンが棲み付き、ミスリル鉱山になってから少しの間は王家直轄となり援助金が出ていたがノワール侯爵家の物となった事でそれもストップ。


 再び経済的困窮状態に陥ってしまったらしい。


「多分、シーダン男爵の狙いは再びノワール侯爵の家臣に戻って借金を何とかして欲しい…というのが狙いの一つじゃないかしら」


「…それって可能なんですか?」


 借金の方は金額を聞いてみないと何とも言えないが、ミスリル鉱山の運営が軌道に乗れば何とかなると思う。特許を増やしてもいいし。


 ただ、今はノワール侯爵家から独立した貴族という事は王家に仕える貴族となっている筈。


 ノワール侯爵家の家臣になるという事は王家から鞍替えする、という事になる訳で。


 王家は勿論、他の貴族達も良い顔しないのではないだろうか。


「そうでもないわね。主家を変える、なんてよくある話だもの。今回で言えば元の鞘に戻るだけだし。勿論、それでも騒ぎ立てる輩はいるのだけど」


「貴族なんて相手の揚げ足をとってなんぼって考えてる奴、多いっスもんね。因みにあたしのカモンド男爵家も元々はノワール侯爵の家臣だったんスよ」


「へ?そうだったんですか」


「そっス。何十年か前にノワール侯爵家の血も入ってるらしいっスね」


 ほう。確かに、ナヴィさんも黒髪だしな。


 ………まさかとは思うが、黒髪な人は皆ノワール侯爵家の血を引いてるとか言わないよな。


 そんな事になってるから俺がノワール侯爵家の血筋の人間だと受け入れやすかったし、貴族達も納得したとか?


 ハハ…まさかね。もしそうなら、それを利用して俺に近づこうとする輩が後を絶たなくなるぞ。


 なんて恐ろしい未来予想図だ。


「…それで、そのシーダン男爵が抱えてる借金というのが面倒ごとですか?」


「あ~いや、それで間違いでもないんスっけどね」


「シーダン男爵が借金をした相手が問題なの。ジュン君はカラーヌ子爵は知っているかしら」


 …つい最近耳にしましたなぁ。男好きで悪名高いアーメイ・ヨー・カラーヌ子爵、三十二歳だっけか。


 早々に絡んで来ましたな……関わって来なくていいのに。


「悪巧みが得意な奴って耳が早かったりするっスっからね~」


「ミスリル鉱山の件はカラーヌ子爵は叙爵の儀の日に初めて聞いた筈だけど、ミスリル鉱山の場所からシーダン男爵が絡んで来るのを読んでいたのでしょうね。最近、頻繁に連絡してるみたいなの」


 つまり…シーダン男爵が俺に絡んで来るのを読んでいて、借金があるのを盾にシーダン男爵に言う事を聞かせ何かさせようと。そういう事か。


 しかし、カラーヌ子爵の動向を掴んでいるあたりブルーリンク辺境伯の言うように何らかの手は打っていたらしい。


「ま、カラーヌ子爵が余計な事してくる前に動きたいんスよ」


「シーダン男爵の狙いがなんであれ、こちらはミスリル鉱山の運営に関して協力をお願いする立場だから。ジュン君に会いたいと言われれば突っぱねるわけにもね」


「いくら団長が伯爵だって言っても礼儀に反すれば叩かれるのはこっちっスっから。余計な隙は見せない方がいいっス」


 権力を笠に着て上から目線で物を言って言う事聞かせるのは宜しくない、と。そりゃそうだろうな。


「というわけで、明後日にトランに向けて出発する予定でお願いっス」


 明後日か…今日一日は休んで明日は冒険者やるとするか。


 明後日からまた暫くは冒険者出来そうにないしな。


「それから当日はユーバー商会のゼニータ会長も同行するから。そのつもりでね」


 ………なんで?

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