表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゼムナ戦記 フルスキルトリガー  作者: 八波草三郎
捨てる神あれば拾う神あり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

447/471

恩讐の道(2)

『ロウザンガラク、ベクトル制御システム、アクセス成功、把握ぅー』

 接続から程なくしてティムニは宣言する。

『把握しつづけられるのは接続してる間だけー。システムソフトやパラメータをクラシュさせるのも簡単ー。バックアップも同時にクラッシュさせられるー』

「そこまでは僕も想像できたんですが、リバイバルさせるのも容易に可能ですよね」

『バックアップもクラッシュさせとけば短時間でのリバイバルはできなくなるー。でも、一時的にスタンドアローンを解除して地上とかに置いてあるバックアップでリバイバルはできちゃうー。軌道に戻せるねー』


 色々と推測はしていたものの、どんなシステム構造になっているか判明しないと継続的にベクトル制御を不可能にできるか方法がわからない。ゆえに、そのあたりはルオーに習ってどんぶり勘定でアクセスしたまで。


「それって人為的な操作ですよね? スタンドアローン解除する都度、ティムニが介入してクラッシュさせることは?」

 彼女のマスターが提案してくる。

『バックドア的なものを作っておくのもできるー。でも、それも対策されちゃうかなー』

「ですよね。君もそこまで万能ではないでしょうし」

『有線接触を続けられないとー』

 できることは限られる。

「システムがリバイバルできない手段が必要です。専用のスタンドアローンシステムごと暴走過熱して破壊する方法とか?」

『セイフティ働くからちょっと難しいかなー』

「ソフト的な手法に限界があるとすればハード的な手法も視野に入れないといけませんか」


 行き詰まる。その間もルオーは追ってきた部隊の迎撃を担当するパトリックやゼフィーリアの援護をしていた。意識がこちらに集中するのも限界がある。


「場所がわかれば僕が撃つのは?」

 ハードの破壊を考える。

『最奥部だから無理ぃー。それに、その気になれば要塞メインシステムに間借りして運用する方法もあるー。スタンドアローンにできなくなるだけー』

「そうですか。別のシステムも並列同居してるんですね」

『軌道を外れても、本星を一周した程度で戻ってくるかなー。時間にして一日も稼げないねー』


 その時間で軌道艦隊五十隻を敗退に持ち込むのは奇跡に近い。このチャンスをお試しの手法で済ませるのはあまりに惜しいし現実的ではない。


「もしかしたら、システムをどうにかするより、物理的に端子突起(ターミナルエッジ)を破壊したほうが早かったかもしれません」

 ルオーは推進機のほうに言及する。

『それも現実的じゃないー。これだけの人工物を自由に飛ばす端子突起(ターミナルエッジ)だよー? サイズ的にアームドスキンと変わらないし、予備含めて数も膨大ぃー』

「うーん、この戦略的に有利な位置をキープするのに、とんでもないコストを掛けてるんですね。それはそうか。防衛の要って認識なんでしょうし」

『ロウザンガラクと大規模軌道艦隊の両構えで安泰って戦略だねー』


 通常ルートにはロウザンガラク、それ以外の奇襲には軌道艦隊で対処できるという構想での戦略といえよう。コストは掛かるが、パイロット含め運用には優しい。宇宙要塞ほどのスペースがあれば、要員のメンタルに配慮した定期配置転換も不要になる。


「軍事拠点として活用することも考慮すると、国軍の中心と思って構わないでしょう」

 それが定点にあるのは拠点として最も有用である。

『それだけ対策してあるって考えるべきだったかもー。今のところ、穴っぽいところもなくてー』

「読み取りも進めてます? なら、詳細解析する時間を作るのが僕の役割ですね」

『そうしてー』


 ルオーも半ば提案をあきらめる。いくら彼が戦略家の顔を持っていても、システム構築知識には精通はしていない。素人の思いつき程度の提案しかできないと覚ったようだ。


『頑張っててー。どうにかするー』

 焦りはないが、それなりに時間を要する。

「複雑だねぇ」

『ベクトル制御システムそのものがめっちゃ複雑な代物だしー』

「ちょっと突付けば壊れそうなのに壊れないのかぁ」


 視覚化している詳細解析をクーファも見ている。かなりの速度で流れていくパラメータは、常人は目で追うのも不可能だと思われる。


「んー!」

 猫耳娘が指さした。

『なんかあったー?』

「気がするぅ。勘だけどぉ」

『ゆっくり戻してみよー』


 彼女にしても、なんらかのヒントが欲しい。緊張を強いられている青年に報いるにはそれが藁をも掴むようなものでもいい。


『メンテナンス領域ぃー?』

 クーファが示したのはそれだった。

「アームドスキンと一緒ぉ? 時々手直ししないと駄目な気がするぅ」

『確かにそうー。ハード面だと消耗部品もあるからー。交換時のバランス調整領域だねー』

「交換しながら使うのぉ? 推進部のとこ、アームドスキンもできれば入れたくないって言ってなかったぁ?」

 記憶を掘り起こしている。

『言ったよー。重力波(グラビティ)フィンだと特に不安定になるからー』

「じゃあ、どうやって交換するのぉ?」

『それは一度パージして……』


 いきなり重要なワードが出てきた。瞬時に確認作業を始める。


『システムを生かしたままメンテナンスコードがあればー』

「記録のほう出してぇ。中の人の操作記録残ってないかなぁ」

『消し忘れあるかもー。これだー!』

 ネックになるのはやはりヒューマンエラーだ。


 ティムニは要となる鍵を手に入れた。

次回『恩讐の道(3)』 「あいつがモテてるの初めて見た気がするぜ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
更新有り難うございます。 クゥさんが伏兵過ぎた!?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ