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【書籍化】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)今年は7冊!
第一章

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65/699

65.天気がいい日は外へ出るのよ

 机の拭き取りは侍従にお願いした。ごめんなさいね、私がしたらいいのだけれど……ベルントに叱られちゃうの。


「汚してしまって……綺麗になるかしら」


 お願いしてはいけない、謝ってもダメ。貴族夫人って難しいわね。一般的には「片付けておきなさい」と命じるらしい。確認した侍従が、問題ございませんと請け負ってくれたので安心した。


 つい「お願いね」と付け足したくなるわ。レオンを抱き上げ、庭へ出る。ご飯もお昼寝も、庭に準備してもらった。リリーがレオンの靴を持って後ろにつく。お父様達も誘って、芝生がある東側へ向かった。


 事前に伝えたので、侍従や騎士が協力してテントを張ってくれた。護衛にも天幕を用意するよう命じたので、彼らも日陰で見守ることができる。この世界ではあまり聞かないが、熱中症や脱水もあると思うの。屋外で鎧なんて着用していたら、絶対に暑いわ。


 よいお天気で、空は青く澄んでいる。季節は夏に差し掛かる頃、暑さの増す時期だった。白い天幕の奥に野営用のテントがある。眠る時はテントの中、ご飯は天幕の下で食べる予定だ。地面の上に天幕と同じシートを敷いて、絨毯を重ねてもらった。


 降ろしたレオンが早くも走り回り、きゃあ! と興奮した声を上げる。


「うわぁ、ピクニックみたいだね」


 エルヴィンが嬉しそうに笑うと、レオンは立ち止まって首を傾けた。黒髪がさらりと揺れて、そのまま横に倒れちゃいそう。


「いくにっく? えるぅ」


 それなあに? 繰り返しながら疑問系にして、エルヴィンに駆け寄る。名前をきちんと覚えているのは、頭がいいのかしら。話し方が幼いレオンは、両手を前に出してエルヴィンへ走る。


 絨毯は平らに敷かれたとはいえ、芝生の上だ。床と違い、凹みもあるようで……躓いた。周囲が一斉に手を出そうとする中、距離の近いエルヴィンが受け止める。膝をついて座り、その上にレオンが飛び込んだ。


「びっくりした。ケガはありませんか? レオン様」


「あい! あぃがと!」


 自発的に礼を口にして、小さな頭が縦に揺れる。ぺこりとお辞儀のように動いた黒髪を、エルヴィンが優しく撫でた。


「よくできました。ご無事でよかったです」


「ありがとう、エルヴィン。助かったわ」


 レオンはエルヴィンの膝の上に座り直す。嬉しそうなので、そのままご飯を食べることにした。様子を見ながら離れた場所に座ろうとしたら、レオンが「ここ」と絨毯を指さす。隣がいいのね、笑って移動した。


 お父様や双子も揃ったところで、リリーとマーサにも座るよう命じる。ここで伝えてもダメなのよね。私の命令なら、同席はギリギリセーフ。屋外でしかも家族しかいない状況だから、問題ないと判断した。叱られたら、そう返すつもりよ。


 用意された食事は、手で掴んで食べられる物ばかり。きちんと手を拭いて、野菜から食べた。スティック状に切られ、小さなピンが刺さっている。中華の花巻に似たパンを開き、間にソースのかかった肉を挟んでもらう。


 侍従や侍女が同行するからできる食事ね。リリーが手際よくパンに挟んで用意し、飲み物はマーサの担当らしい。中央に置いたトレイをテーブル代わりに、しっかり頂いた。

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― 新着の感想 ―
エルヴィンはいいお兄ちゃんだー お礼を言えるレオン君も偉い 気になる言葉は教えてもらえるまで永遠に繰り返すちびっこのアレ(笑)
ホノボノピクニック!楽しそうで何より!レオン君も最初に比べてだいぶ走り回るようになったし!健康で元気に育っててなにより!
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