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【書籍化】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)今年は7冊!
第一章

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61.遮って話してはいけないの

 団欒の中心は話を聞くこと。まずは双子が勉強の進捗状況を報告した。もう少し頑張りましょうと告げて、エルヴィンを促す。ちらりとレオンを確認すると、窓の外に夢中だった。


 歴史の授業で覚えた部分を、自分なりの解釈で話す。覚えたことを口に出せば、考えが纏まりやすいし忘れにくいのよ。頷きながら説明を聞いて、最後に褒めた。我が家で繰り返してきた慣習に、お父様も口を開く。


 それぞれの伸びた部分と課題点、屋敷で気付いた小さなことを教えてもらう。今日は玄関ホールの大きな鉢植えが交換された。庭師が頑張って、離れにある鉢植えも替えてくれたらしい。洗濯物を干す下女の歌が上手だったと締めくくられた。


「素敵ね。旦那様は何かございましたか?」


「ああ。今日は……」


「おかしゃま! あきゃいおはな、あれ」


 興奮状態で駆け寄るレオンを受け止め、膝に乗せる。話を続けようとしたレオンの唇を、指先でぴっと押さえた。これは黙っての合図、そう教えている。遊びや絵本を読んだ際の「おしまい」と一緒だ。レオンはそう覚えていた。


 黙ったレオンにきちんと教える。


「今は、お母様とお父様が話しているの。終わったら聞くから少し待ってね」


「うん」


 レオンは順番を守らなかったから、最後よ。そう伝えると、納得した。ただ叱りつけたら、お話をしなくなってしまう。幼いからと優先していたら、ただの我が侭なクソガキ様に育つから要注意ね。


「ごめんなさい、旦那様。今日のお話を聞かせてくださる?」


「……いいのか?」


 視線がレオンに向けられる。膝の上で大人しくお座りし、両手をもじもじしていた。レオンは自分が悪いことは察したけれど、謝るべきか迷っているみたいね。


「構いません。順番を飛ばしたレオンが悪いですし、何より旦那様の言葉を遮ってはいけません」


 親子だから、という理由ではない。誰かの話を最後まで聞けない者は、友人も作れないから。そう付け加えると、旦那様は痛そうな顔をした。何か心当たりがあるのかしら?


「おと、ちゃま。ごめんちゃい」


 旦那様が迷っていると、ぺこりと頭を下げた。旦那様が話さないのは、自分が邪魔したからと思ったのね。頭を撫でて、頬にちゅっとキスをした。


「許すわ、謝れて偉いわね。レオン」


 にこっとして、レオンはその笑顔を旦那様へ向けた。ぱちぱちと瞬いて、旦那様はぎこちなく笑う。笑顔を作ろうとした旦那様に再度促した。ようやく仕事での小さなやりとりを話し始める。


 仕事場で文官達の顔色が良くなったこと。夜休めることが嬉しいとお礼を告げられたこと。今まで無理をさせたと謝ったこと。


「まあ。文官達に謝ったのですか? それは良いことをなさいましたね」


 自分の非を認めて謝ることは難しい。それも旦那様のように、階級が上なら余計に……謝らなくても済む状況だった。公爵なら王族以外に頭を下げる義務はないのに、きちんと言葉にする。今後の仕事が潤滑に進むでしょうと褒めた。


「なかなか出来ることではありませんな。さすが公爵閣下だ」


「……ありが、とう。その……」


 言いづらそうな旦那様は、迷った末に言葉を呑み込んでしまった。


「次はレオンの順番だったな」


 嬉しそうにレオンは話し始めた。さっき口にした赤い花のことは忘れたようで、おやつが美味しかったことを身振り手振りで伝える。皆で話を聞き終えたので、最後は私ね。

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― 新着の感想 ―
旦那様が、だんだん可愛く思えてきたw レオン君も旦那様もいい人と出会えた! 感謝と謝罪は大切! ちゃんとした団欒!
とても温かい家庭だ
家族団欒の報告会。小人も猫作者さんに報告します。報告内容は猫作者さんのブラシを小人職人に新調して貰った事です。
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