表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)今年は7冊!
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

37/699

37.楽しかったのに台無しよ

 お祭りへ行く準備を整え、護衛騎士を連れて馬車に乗り込む。公爵家の家紋が入った馬車は、私とレオン用で執事ベルントが同乗した。家族には別の馬車が用意される。


 扉を閉める前に、留守番のフランクによく言い聞かせた。私達が戻る前に、前公爵を屋敷から追い出すこと。旦那様へは事後報告で連絡すること。承諾して恭しく頭を下げるフランクの見送りで、馬車はゆっくり動き出した。


 お祭りがあるから、街の中心街まで馬車が入ることは出来ない。手前にある馬車置き場で降り、歩いて移動だった。馬車を守る衛兵がいるが、御者も残る。一緒に行かないのかと問うレオンは、屋敷での怯えた姿が嘘のよう。


「彼はお仕事なの」


 きちんと説明する私に頷き、抱っこされたレオンは右手を振った。バイバイの仕草に、微笑んだ御者も小さく手を振り返す。大喜びで、レオンは両手を振った。


「落ちちゃうわ」


 抱っこし直し、レオンの顔を正面に向ける。たくさんの人に目を見開いて驚いた顔をするレオンだが、泣き出すようなことはなかった。きょろきょろと忙しなく周囲を見回す。


「お姉様、私は飴が欲しいわ」


「僕はあれがいい」


 ユリアーナはきらきらした飴細工に夢中で、ユリアンは木製の剣に興味を示した。両方立ち寄り、それぞれに買い与える。レオンは苺の飴を口に入れ、ご機嫌だった。蝶々や花の豪華な飴は、べルントが纏めて購入する。


 綺麗な蝶々の飴を口に咥えて、揺れた際に刺さったら大変だもの。屋敷に戻ってゆっくり眺めたり味わったりできるよう、多めに選んだ。使用人へのお土産にしてもいいし。


 木製の剣はレオンのお気に召さないみたいね。隣に並ぶ木製の馬に大喜びだった。これも購入してベルントに預ける。


「おう、ま!」


「屋敷に帰ったら遊んでいいわ。今は我慢ね」


 木製の玩具って意外と重いのよね。落としたら可哀想だし、人にぶつかったら困るわ。後でと言い聞かせ、さらにお祭りを楽しむ。貴族が遊びに来ることが多いみたいで、街の人は慣れていた。護衛が取り巻く私達に会釈しながら、そっと避けてくれる。


 治安がいい証拠だわ。小粒の金平糖に似た砂糖菓子やアクセサリー、鏡、花。いろんな品を見て歩いた。大道芸の人もいて、美しい声で歌う女性の周りは一際大きな輪が出来ている。


 回り切るには広過ぎる会場で、大通りを抜けて一つ隣の通りへ抜けた。ここから戻って、馬車置き場へ向かおう。はしゃいで興奮するレオンが疲れる前に終わりにしたいわ。もう少し遊びたかったくらいの方が、楽しい思い出になるもの。


 メインの大通りより落ち着いた人の波を抜ける私は、ベルントの叫びに立ち止まった。


「奥様っ! 旦那様が」


「え?」


 足を止める私の肩を、男性の手が掴む。しかし、その手は執事ベルントではなかった。


「旦那、さま?」


 ほとんど顔を合わせた覚えのない夫が、鬼の形相で私を睨んでいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] えーなにー?義父を追い出したことで怒った?それとも家庭教師のこと?それとも公爵家の跡取りをこんな所に連れ出すなとか?めんどくせーなー
[一言] 育児は好き勝手やってるし、祖父を追い返したり煩わしい事をしてるからかな。 割と仕事の余裕がないのでストレス溜まってそうな旦那だけに当たり散らさないか怖いですねー。
[一言] クズはそろそろ地獄へ逝って 奥様、物理で反撃だぁw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ