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【書籍化】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)今年は7冊!
第三章

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302/701

302.靴を脱いで遊べる場所

 フランクもベルントも、忙しいのに笑顔だわ。イルゼに至っては、感涙しているけれど……。それだけ、この屋敷は寂れる一方だったのね。使用人として掃除や手入れを丹精しても、どうしたって主人のいない屋敷は寂しい。


 いまは真逆で、ヘンリック様が毎日帰ってくる。跡取りであるレオンだって、元気に屋敷を走り回っていた。シュミット伯爵家が賑やかさを足し、女主人の私がいるからお茶会を主催できる。貴族の屋敷は立派で大きいだけでは、その価値が半減するのだわ。


 ご機嫌のパウリーネ様と談笑し、適当なところでマルレーネ様を理由に離れる。ご一緒してから、会場へ繰り出した。主催である以上、皆様に満遍なく声をかけるのは私の役目だわ。


「楽しんでおられますか?」


「はい! 絵画の鑑賞もできるなんて、感動しております」


 声をかけたご夫人は、先ほどから壁の絵に夢中だ。色をベースに選んだ絵画は、モチーフや手法もバラバラだった。鑑賞するご夫人に言わせれば、そこがいいとのこと。喜んでいただけてよかった。


「おかぁしゃま、るぅ、つかいた」


 とことことレオンが走ってくる。その右手は、しっかりとルイーゼ様と繋がれていた。疲れたと表現したわりに、ルイーゼ様は元気そう。喉が渇いたのか、座りたくなったのか。


「レオン様、あ……ルイーゼ殿下も。こちらでジュースを飲みましょう」


 ランドルフ様はユリアーナと仲良く現れ、一緒に行こうと誘った。ルイーゼ様の表情が曇る。なるほど、疲れたのは口実で……レオンと二人で遊びたかったのね。この年齢なら微笑ましいで終わる。屈んでから、ルイーゼ様の目を見て伝えた。


「ルイーゼ様と遊べると、レオンは楽しみにしていました。ランドルフ様やユリアーナとも、仲がいいのですよ。ご一緒したら、お友達が増えますわ」


 ルイーゼ様はお友達が少ない。マルレーネ様が嘆いていた通り、我が侭すぎるの。いまは気の合うレオンに執着しているけれど、他にもお友達ができたら気持ちが分散するはず。たまに玩具に執着する子、いたのよね。懐かしく思いながら、優しく伝える。


「うん、いく」


 あら、だいぶ言葉が上手になっているわ。レオンより一歳上だから、舌っ足らずは先に卒業みたい。


「ルイーゼ様、その髪飾り素敵ですね」


 ユリアーナのフォローで、ルイーゼ様が嬉しそうに笑う。お母様がつけてくれたと話しながら、空いていた手をユリアーナに伸ばした。するりと手を掴み、ユリアーナは子供用に用意されたスペースに向かう。


 貴族に靴を脱いで寛ぐ習慣はない。そのためキッズスペースを考案した際、イルゼから段差を付けて座れるよう提案された。寝転がってもいい、大きなソファーベッドのような場所だ。レオンは慣れた様子で靴を脱ぎ、上を走り回った。すぐにルイーゼ様が真似をし、ランドルフ様も靴下になる。


 ユリアーナは澄ました顔で端に腰掛けるも、双子の兄ユリアンに誘われて壇上に上がった。見ていた子供達は顔を見合わせる。靴を脱ぐのは叱られそうだが、なんだか楽しそう……迷った後、数人がレオン達に続いた。


 靴を脱いで遊ぶ子供達に気づいて、親が慌てるのは少し先になりそう。バレたら庇ってあげるから、心置きなく遊んだらいいわ。

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― 新着の感想 ―
チビッ子達が楽しくて何よりです(`・ω・´)ゞよし、此処で茶会を盛り上げる宴会芸を!!◯子の衣装を着て、ズラかぶって古井戸の被り物をした猫作者の上からぶら下がります。 くる、きっと来る……アマ姐さんな…
アマーリアさんさすが!ユリアーナさんもナイスフォロー!ルイーゼさん、友達出来そうですね!舌っ足らず卒業!レオン君はまだまだ先かな? キッズスペース!楽しそうですね!
キッズスペース! 安心安全に遊べる軽めの玩具や、ぶつかっても大丈夫な柔めの遊具が必要ですねぇ! よしよし、ルイーゼちゃま、こっちでオバチャンとお手玉やろうねえ。気にいったらいろんな布を併せて球を作ると…
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