表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)今年は7冊!
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

300/700

300.主催としてのお出迎え

 招待した貴族は、二十八にも及ぶ。三つの家が身内の不幸で欠席した。公爵家といえど、お茶会の主催である以上はお出迎えをする。用意された長椅子に腰掛けて……だけど。


「本当に平気なの?」


「爵位の差は奥様が思っておられるより、大きく価値がございます」


 家令にそう言われたら、私に反論する余地はない。だって知らないんだもの。さすがにマルレーネ様や二つの公爵家の時は、立ってお迎えしないとね。


「レオン、いらっしゃい」


「うん……いいの?」


「ええ、もう平気よ」


 先ほどの記憶が鮮明なのか、迷ってヘンリック様を振り返る。長椅子に腰掛けたヘンリック様のお膝で、手を伸ばす私と後ろの父親を何度も確認した。私が大きく頷けば、ぱっと花が咲くように笑顔になる。


「やはり母親には敵わないか」


 ヘンリック様は口調ほど残念そうではなかった。口元は緩んでいるし、どこか嬉しそう。私が同じ立場なら、ショックを受けてしまう場面よ。首を傾げるも、理由がわからないので後回しにした。


 夜会の入場と違い、到着時間は爵位と関係ない。玄関先で侍従が家紋を確認して連絡し、ベルントが読み上げた。まずは子爵家、次いで侯爵家、それから伯爵家。座ったままの私達に、丁寧に挨拶して広間へ向かう。何だか変な感じだわ。


「王家の馬車が到着なさいます」


 膝の上のレオンを抱いて、すっと立ち上がった。この頃、レオンが重くなった気がするわ。ふらついた私を、ヘンリック様がすっと支えた。文官のような仕事なのに、がっちり逞しい腕が腰に回される。


「そろそろレオンも、自分で立たないといけないな。騎士として母上を支える準備をしなくては」


「……ぼく、できゆ」


 騎士になる、その言葉はレオンにとって効果が高かった。ユリアンと鍛錬ごっこしている影響もあるわね。下ろしてと腕を叩かれた。大人ぶる息子が頼もしいし、とても可愛くて愛おしいけれど……同時に寂しいのよね。


 下ろしたら、私とヘンリック様に手を繋ぐことを求めた。前言撤回、まだ子供だったわ。安心しちゃった。


「お招きありがとう、アマーリア夫人」


「ようこそお越しくださいました、マルレーネ様。私がご案内しますわ」


「あら、いいのよ。主催ですもの、ここにいらして」


 からからと明るく笑い、マルレーネ様は背を向ける。その右手はルイーゼ様と繋いでいた。可愛いワンピース姿のルイーゼ様は、レオンに小さく手を振る。レオンは笑顔で手を振り返した。


 仲直りできそうな二人を見て、王弟となったローレンツ様が会釈した。母と妹の後を歩く彼は、もう立派な騎士ね。微笑ましく王家の皆様を見つめた。


 すぐにリースフェルト公爵夫妻の到着が告げられ、ほぼ同時にバルシュミューデ公爵家の馬車も止まる。重要なお客様同士が被ってしまったわ。パウリーネ様は前回のお茶会のことなど忘れたのか、笑顔で挨拶して広間へ足を向けた。


「ね? 本当にあの方は忘れてしまうのよ」


 こないだ言った通りになったでしょう? 得意げに笑うユーリア様も見送り、さらに到着する侯爵家を始めとした招待客を迎えた。結構、数が多かったわね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
そういえば、300話おめでとうございます!
> 可愛いワンピース姿のルイーゼ様は、レオンに小さく手を振る。レオンは笑顔で手を振り返した。 え、再教育の効果が早い!以前の登場の様子からは顔見せ早々に「レオン!あちょぶ!!」って言ってまた拒絶され…
レオン君、大人への第一歩!と思ったらwまだまだ可愛いお子様!何だか安心!いずれは騎士で紳士でマザコンで素敵な侯爵様になるんでしょうね…。まだまだ可愛い幼子だけど! ルイーゼさん、今回はマナー大丈夫かな…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ