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【書籍化】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)今年は7冊!
第三章

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299/701

299.ゆで卵の丸呑みは危険

 お茶会の朝は忙しい。私は肌を磨き、着替えて采配に立ち回る必要があった。レオンは欠伸をして二度寝しようとする。可哀想だけれど、慌てて起こした。


「レオン、今日はお友達が来るのよ。ランドルフ様と遊ぶでしょう?」


「あちょぶ!」


 王太后マルレーネ様の参加を聞いて、招待状を受けた貴族の九割が参加を決めた。残る一割は、ご家族に不幸があった家とその親族だ。こればかりは仕方ないわ。


 フランクやイルゼが厳選したお客様なので、特に問題はないでしょう。ヘンリック様も支度のために別室へ移動し、用意された軽食を口に入れる。のんびり食堂で食べている時間はなさそう。


「おかぁ、しゃま! これ、あーん」


 カットしたゆで卵を、レオンは笑顔で差し出す。口紅は最後にしましょう。食べている間に落ちちゃうわ。


「ありがとう、レオン」


 お礼を言って口に入れ、美味しいと褒めて喜ぶ。きゃっきゃとはしゃぐレオンは、自分の口にも卵を入れた。


「レオン、大き過ぎるわ」


 すぽんと口に入る卵が心配になり、ぽんぽんと背中を叩く。背中のボタンを留めていた侍女リリーも、慌てて協力した。すぐに、口からぽこんと卵が飛び出した。少し齧ってあるけれど、やっぱり吐き出させて正解だわ。大き過ぎるもの。


 けほっ、咳き込んだレオンが声をあげて泣く。可哀想に、苦しかったのね。背中を撫でながら、レオンが落ち着くまで抱き締めるつもりだった。


「奥様、私が代わります」


「ありがとう、マーサ。でも大丈夫よ」


 レオンは私の息子だもの。泣いているのに、お茶会の着替えなんてできない。他の準備を任せ、私はレオンが泣き止むまで抱っこしていた。


「大丈夫か? その……入室しても構わないなら……」


 ノックと一緒に、おずおずとした口調でヘンリック様が声をかける。「いいです」と答えかけ、ぴたりと動きを止めた。私の背中、ボタンを留め切ってないわ。察したリリーが動き、ショールをかけてくれた。


「構いませんわ、ヘンリック様」


「失礼する……やはり着替えの途中だったか」


 申し訳なさそうに視線を逸らし、それでも私に近づいた。涙は止まったが、まだしゃくりあげるレオンに腕を伸ばす。


「レオン、おいで。アマーリアは着替えと準備がある。俺と一緒にいよう」


「おとちゃま……うん」


 迷ったけれど、レオンはヘンリック様の腕に飛び込んだ。抱き上げられ、まだ目元が赤いのに手を振る。お茶会なんて放り出して、一緒にいてあげたいのに。貴族という肩書きは、こういう場面では面倒ね。


「すぐに支度をするから、待っていてね」


「うん」


 ヘンリック様にお願いし、手を振るレオンに応えた。扉が閉まると、大急ぎで化粧直しと着替えを進める。髪を結い上げ、髪飾りで留めた。姿見の前で全身を確認する。問題ないわね。


「二人とも、ありがとう。急いで準備をしましょう」


 汗をかくほど動き回らないでください。そう言われ、指示を出すだけにしようと思ったのに、あちこちで手を出してしまったわ。

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― 新着の感想 ―
ゆで卵、うっかりで詰まらせなくて良かった!でも、危なかった!セーフ! レオン君には、四分の一くらい?八分の一くらいが良いかな?ヘンリックさん、優しいパパ!
>「レオン、おいで。アマーリアは着替えと準備がある。俺と一緒にいよう」 一人息子を放置し続けて、結婚式当日に妻を放置して仕事に行ったヘンリック(n回目)が、距離が縮まっても息子とどう接したらいいか分…
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