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【書籍化】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)今年は7冊!
第三章

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295/700

295.ユリアーナの大切な宝物

 お茶会の準備は順調だし、問題も起きていない。レオンは運動のお陰でよく眠れているようで、食事の量も増えていた。よかったわ、ほっとしながら筆を置いた。


 お絵描きし終えた紙を、フランクが回収していく。そういえば、いつも彼が回収するけれど……どうしているのかしら。レオンの絵に関しては捨てないよう伝えてある。どこかに保管しているのよね。


 気になって尋ねたところ、ヘンリック様の書斎の一角に絵を保管する場所が作られたらしい。そこへすべて収蔵している……え? すべて?


「レオンの絵のすべて、よね」


「はい、若君の絵はもちろん奥様の作品も全て……」


「私の、絵も」


 ぼそりと繰り返し、考え込んだ。気に入って保管してくれるなら、すごく嬉しい。でも父や弟妹の反応を見るに、微妙な絵と思われているのよ。それを大切に保管……もしかして、ちゃんと見ずに集めているのかも。


「先日も奥様の……猫? の絵を大切そうに眺めておられました。口元が緩んで、それは幸せそうでございましたよ」


 フランク、なぜ「猫」に「?」を付けたの。確実に猫で、他の動物には見えないわよ。でも……そうなのね。ヘンリック様は筆頭公爵家の当主だし、きっと絵画を見る目も肥えているのだわ。


 認められたのだと嬉しくなり、レオンを抱き上げてくるくる回った。


「きゃぁ! おか、しゃま……いいこと?」


「ええ、素敵な出来事よ」


 一緒に回るレオンが笑顔を振りまいた。背中に羽が見えるようだわ。可愛いレオンを抱きしめて止まり、天使を地上に下ろした。うっ、調子に乗って回り過ぎてしまったわ。少し気持ち悪い。


 ヘンリック様の帰宅時間まで、あと少し。お父様達がこちらへ向かってくるのが見えた。扉を開けて待つ侍従に会釈したお父様が、私に微笑みかける。近づいて、そっと教えてくれた。


「仲直り成功だ」


 ユリアンはご機嫌で鼻歌、隣のユリアーナは小さな袋を抱えていた。後ろからエルヴィンが意味ありげな視線を向ける。そう、上手に仲直りできたのね。エルヴィンに肩を叩かれ、促されたオイゲン様がぺこりと挨拶した。


 ここ数日、お茶会の支度で本邸が忙しく、夕食も別だった。その間に、ユリアンも驚くほど二人は仲良くなったらしい。ユリアンをレオンの相手で借りてしまったから、エルヴィンがあれこれと世話を焼いた。その結果、正反対の性格の二人は意気投合したのよ。


「あにゃ……それ、なぁに?」


 胸元へ抱え込んだ包みは、レオンの気を引いたみたい。声をかけられ、ユリアーナは屈んでレオンの前で中身を広げた。


「大切な宝物よ」


「たきゃら……もの」


 緊張した面持ちで中を覗き、レオンはぱちぱちと瞬きした。昼間、ユリアンと選んだショールが入っている。おそらくブローチも一緒だろう。


「きれぇ、らね」


 綺麗だと褒めただけで、レオンはそれ以上言わなかった。場の空気を察したというより、意味がわからないようね。首を傾げて私を振り返るから、人差し指を口の前に立てて「しぃ」と合図をした。同じ仕草をして、レオンは笑う。


 秘密の共有よ。

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― 新着の感想 ―
アマーリアさんの絵もしっかりと保管!その内皆さんにお披露目しそうw…それはそれで良いですね! 嬉しくてレオン君と一緒にクルクル回るアマーリアさん…可愛い!本当にこの作品全体に可愛いが渋滞してます!
レオン画伯展覧会だけじゃなくて、アマーリア画伯(ガチ)展覧会も同時に開催されてしまう
ユリアーナちゃんの宝物、ユリアンの心こもったプレゼントですね( *´艸`)小人も猫作者さんにプレゼントでも……小人シーフードヌードルと、激辛黒ラーメンのカップヌードルを献上します。幻の黒唐辛子なのでお…
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