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【書籍化】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)今年は7冊!
第三章

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293.鍛錬ごっこの隊長と騎士様

 翌朝から、ユリアンは約束の仕事を始めた。レオンの身の回りを手伝い、鍛錬ごっこをすること。本物の鍛錬はまだ早いので、真似事だけなの。強くなれると聞いて、レオンは目を輝かせた。


 この頃お気に入りの絵本があって、私は昨夜それをループで読み聞かせた。立派な騎士様がお姫様を守って戦い、強敵を倒す英雄譚よ。他の本にしようと思っても、約束を持ち出されると弱い。読んであげると言ったのは私、ならば約束は守らないとね。


 レオンが眠ってしまうまで、八回くらい読んだかしら。絵本は子供向けだから、小説と違って話が短いの。苦労して成長して敵に挑むほど量はなくて、攫われたお姫様をすぐに助けに行き、キンキンカンカンと戦ったら倒して終わり。相手の強敵さが伝わらなかった。それでも絵を見る限り、騎士の二倍はある巨体の敵だから強そうだけれど。


 レオンはこのお話の騎士になり、お姫様の代わりにお母様を守ると言い出した。ヘンリック様とも相談したけれど、やっぱり鍛錬は早過ぎる。体が出来上がっていないし、何より全力で走ると転んだりする年齢なの。危険だと否定ばかりしたら、未来を潰してしまうし。


 子供の他愛無い願いと夢だから、諦めさせるのは可哀想だわ。そこでユリアンの登場よ。平民の子を引き連れるガキ大将だったから、年下の面倒を見ることに慣れていた。その上、レオンもユリアンに懐いている。危険がないよう、それっぽい鍛錬をしてあげてほしいと伝えた。


 正確には基礎体力作りね。私も同行して、散歩に付き合った。


「おしゃんぽ、ない。たんえん」


 これは鍛錬だと拳を握るレオンは、ユリアンと並んで歩く。ユリアンは歩く速度を変えたり、近くの茂みに隠れたり、上手にレオンを誘導した。何かを尾行しているみたいだわ。あれに似ているわね、先日の母猫と子猫……そろそろ落ち着いた頃かしら。


 ふっと思い出し、考える。子猫は何ヶ月くらいで親から離せるのか。考え事をしながら歩いていたので、立ち止まったユリアンにぶつかってしまった。


「ごめんなさい、ユリアン」


「いや、平気」


 片手をついて、上手に横へ転がって逃げたユリアンの動きに、レオンが目を輝かせた。


「ぼくも! いまの、ぼく、も!!」


 やりたいと全身で主張し、ぴょんぴょん跳ねる。歩いてきてぶつかってほしいと言われ、さすがに危ないからと内容変更させた。しゃがんだ私が、後ろからレオンを軽く押す。その合図で、横に転がる手筈だった。


 何度も失敗して、なぜかでんぐり返しが上手になっていく。そうするうちに、突然、なんて事なくできたレオンが歓声をあげた。甲高い声で「きゃぁああ!」と叫んで、ごろごろ転がる。


「レオン様ってさ、犬みたいじゃね?」


「ユリアン、それは思っても胸の内に秘めておきなさい」


 姉弟でぼそぼそと会話し、起き上がったレオンを褒めた。撫でる手が、さりげなく髪に絡んだ草を払い落とす。ぐるりと回ったユリアンが、ぽんと背中を叩いた。


「よし! ここで今日は帰る。レオン騎士様、隊長に続け!」


「あい! たぃちょ」


 いつの間にか役割分担もできていた。いい関係が築けているわね。私の運動不足解消のためにも、楽しんでたくさん歩かなきゃ。

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― 新着の感想 ―
10年後、そこにはサクサクと成長し、両親の教育の賜物で賢く優しく、未来の公爵として申し分ない人格を持ち、騎士としてもたしかな実力を付けたレオンくんの姿が。 そして、それを壁に寄りかかりながら…
可愛い隊長と騎士にホッコリ( *´艸`)猫作者さんをおんぶして小人も鍛えます。ユリアンとレオンの可愛さに癒されました(*≧ω≦)
可愛い…。犬みたいなレオン君…ヘンリックさんと親子なだけある!どちらも時折犬化する!そして可愛い! 鍛錬ごっこ!体力つきそうで良いですね!レオン君も満足しそうだし! アマーリアさんもたっぷり運動!…護…
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