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【書籍化】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)今年は7冊!
第三章

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282/700

282.王女らしからぬ振る舞い

「ルイーゼ、呼ぶまで待つように伝えたでしょう?」


 後ろの侍女が頭を下げ謝罪する。しかしルイーゼ様は足を鳴らして、不満を訴えた。その姿は一国の王女殿下ではない。まだ四歳だけれど、我が侭を通すことに慣れてしまったのね。気に入らないことも騒げば通せる、と先代王の振る舞いで覚えている。


 これは確かに厄介ね。レオンがきょとんとした顔で振り返った後、私の胸にぎゅっと抱きついた。顔を埋めて嫌々と首を横に振る。


「れぉ、いっちょ」


「やだ」


 忖度のない幼子だからこそ、本音が素直に口をつく。思わぬ返事に、ルイーゼ様は不思議そうに首を傾げた。何を言われたのか、わからないようだ。


「ルイーゼ様、レオンはいま無理なようです」


 伝えた途端、足をバンバン鳴らして怒りを露わにした。驚いたレオンはさらにしがみつき、そちらを見ようとしない。最初の頃は「るぅ」と呼んで、仲良く遊んでいた。


「おやめなさい、お茶会に参加しなくて結構。下げなさい」


 マルレーネ様の厳しい声に、うわぁああ! と泣き声が重なった。空を仰いで大泣きする姿は可哀想だが、ここは親の教育方針に口出しすべきではない。


「この国に王女はいないようだ」


 それまで黙っていたヘンリック様が立ち上がり、ひょいっとルイーゼ様を担いだ。レオンを抱き上げるときと違い、まるで荷物を持つように。軽々と運んでいく。途中で侍女が手を差し出すが、首を横に振った。


 私を振り返り「少し席を外す」と言い残し、堂々と温室を出ていく。


「大丈夫かしら」


「ケンプフェルト公爵なら平気よ。ときどき、ああして叱ってくれるの」


「まったく知りませんでした」


 書類を運ぶ文官が、王女とぶつかったことから始まった。謝らない王女に、ヘンリック様がこんこんと言い聞かせた。ルイーゼ様が泣いても、謝るまで許さなかったとか。あの人らしいわ。


 仕事をする文官と遊ぶ王女なら、文官が優先だ。ヘンリック様の言いそうなことね。そもそも王女殿下の過ごす奥宮と、文官が仕事をする区域は違う。相手の領域に入ったら、そのルールに従え。それができないなら入るな。その説教の最中に通りかかり、マルレーネ様は感心したという。


「お仕事の話をなさらないの?」


「実はここしばらく忙しくて」


 昨日も報告会ができなかった。それに王室のあれこれを、吹聴する人ではないから。寝室で話す内容でもない。結果、呑み込んでいるのなら……気遣ってあげないと。


「バルシュミューデ公爵家の皆様がご到着なさいました」


 ユーリア様はご子息を二人連れ、両手に花で入られた。


「リースフェルト公爵家の皆様でございます」


 すぐにパウリーネ様が公爵様と腕を組んで現れる。その後ろから、執事らしき男性の手を借りたご令嬢が顔を見せた。八歳ならユリアーナと同じ年齢、淑女の振る舞いに憧れる年頃かも。まだ婚約者がいる年齢ではないので、家族か上級使用人のエスコートがマナーね。


 これで参加者は揃ったみたい。ユーリア様はともかく、パウリーネ様は要注意ね。お付き合いに最適な距離を見極めないと、危険な気がするの。

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― 新着の感想 ―
リースフェルト公爵家って、以前、王妃様のお茶会でレオンを赤ちゃんって言ってた男の子がいましたよね? 今回はお留守番かな?この家の子育てもいろいろありそう…
ヘンリック様、もしや王女殿下を俵担ぎ?www
息子を放置して気にも留めず、妻を結婚式に置き去りにし初夜もしなかったとは思えない、良い大人(父親)としての対応(n回目、マジで完結まで言いますよ!) 純粋に家族が大切なのものになったこと、子供の未来…
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