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【書籍化】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)今年は7冊!
第二章

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273.食事の時間は集中しないと

 全員揃っての夕食ではないため、レオンは空いた席をしばらく眺めていた。何か言うかしら。じっと待つと、大人しく戻ってきて膝に乗りたいとせがむ。以前も何回か三人だけで夕食を食べたので、今日は違う日と納得したみたい。


 膝に座らせ、一つずつ食べさせた。両手にカトラリーを持たせることは忘れない。手元のお皿に取り分け、それを口に運ぶ。この動きを何度も見せることで、レオンは大きいお皿から取った食べ物が口に入ると覚えた。


 もぐもぐしながら、手を動かす。自分で刺そうと努力したので、たくさん褒めた。大人の真似をしたがるのが子供だから、私がフォークを操れば同じことをしたくなる。子供でも刺しやすい胡瓜を選んだ。


「私に頂戴、あーん」


 口を開けて待てば、小さな取り皿の上で二、三回刺す。うまくいかないので、ヘンリック様が隣で見本を示した。食べ物の上にフォークを置いてから、ぐっと力を入れて刺す。レオンは上からえいっと勢いよく刺そうとするので、胡瓜が転がってしまうの。


 ダイス状にカットされた胡瓜へ慎重に狙いを定め、上に置いてから真っ直ぐに力を入れる。簡単そうで難しい作業に、レオンは真剣に取り組んだ。親指がフォークの上を覆って押さえているけれど、この辺は後で覚えていけばいい。突き刺さった胡瓜に、レオンの目が輝いた。


「れきた! あい、あーん」


 一度閉じた口を、レオンの合図で開ける。胡瓜はこの上なく美味しかった。そう伝えてぎゅっと抱きしめれば、嬉しそうに笑う。顔を上げた先で、ヘンリック様が凝視していた。やっぱり、自分もしてほしいのよね。


「レオン、ヘンリック様にもできる?」


「できゆ」


 ご機嫌で二つ目の胡瓜攻略に取り掛かる。今度はコツを掴んだのか、最初よりすぐに刺さった。慎重に持ち上げ、落ちないことを確認したレオンは「あーん」とヘンリック様へ差し出した。


「ん、これはうまい」


 ヘンリック様の褒め言葉に、レオンは頬を押さえて笑った。美味しいの仕草ね。


 確かにご飯を食べるときに、雑念は不要だわ。謝罪を一緒にしたら、オイゲン様もゆっくり食べられないわよね。今頃ユリアンが大量に食べさせていると思うけれど、痩せてしまった体を元通りにしてから帰したいわ。


「これ、たべゆ」


 言葉も上達してきたし、レオンは自分から話すようになった。以前は短かった言葉も、助詞が入り形容詞が増えて、いずれは大人と同じように話せるわ。この発音できない未熟な感じが可愛いけれど、いつまでも子供でも困るし。


 いえ、いっそ永遠に三歳でもいいわね。そういえば、レオンの誕生日っていつかしら。ヘンリック様の誕生日も聞いて、お祝いを準備しなくては。そうそう、エルヴィンの誕生日が来月だった。頭の中に暦が浮かび、私は数ヶ月先の楽しみを思う。


 うちの家族って、ほぼ全員春の生まれなのよね。効率重視でまとめて祝っていたけれど、今年はバラバラにお祝いしましょうか。きっと皆も喜ぶわ。考え事を遮るように、レオンが促す。


「おか、しゃま。あーん」


 いつの間にかレオンが肉団子を突き刺している。差し出された大きさはピンポン玉サイズ、断る野暮はしない。どんとこい! 応じて口を開けたが、流石に大き過ぎてしばらく苦しかったわ。

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