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【書籍化】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)今年は7冊!
第二章

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269.悪い知恵はどこで覚えたの

 レオンが起きる前に確認したドレスは、お尻のところに裂け目があった。引っ張って、溜め息を吐く。


「やっぱり太ったのね」


「このドレスの採寸から、しばらく経っておりますので」


 作り直せば平気ですよ。そんな口振りのリリーに、眉尻が下がる。自分の腰をぽんと叩いた。やっぱり肉がついた気がするの。


「痩せた方がいいわよね」


「いえ!」


「このままで!」


 マーサとリリーが口を揃えて否定する。その剣幕に驚いて、私は目を見開いた。彼女らによれば、コルセットなしでドレスが着られるほど細いのは不健康らしい。今後はコルセットで調整しましょうね、と笑顔で迫られた。


 勢いに負けて頷き、窓の外へ目を向ける。ベルントの報告によれば、二人は離れで降りた。レオンはオイゲン様を怖がるかしら。会わせずに離れで預かってもらう手もあるけれど、できたら仲直りのチャンスを与えたいのよね。


 でも、レオンが怖がったり泣いたりするなら、会わせたくない。複雑な気持ちを整理しなくては……。


「奥様、明日のドレスはどれになさいますか」


 王宮でびりっとやるわけにいかないわ。ふんわりしたスカートのドレスを選んだ。色はラベンダーよ。ドレスを確認し、ベルント経由で王宮へ連絡が出された。色やデザインが重ならないようにするためね。王族とのお茶会は、事前の手配が大変ね。それなのに、二日後に設定なさるなんて。


 マルレーネ様のお顔を思い浮かべ、ふふっと笑う。そのタイミングで、レオンが目を覚ました。濡れタオルで顔を拭いて、飛びついたレオンを受け止める。ちょっとだけ、後ろが突っ張ってないか確認してしまった。また破れたら格好悪いじゃないの、笑わないで頂戴。リリーに目配せし、おやつの手配を頼む。


「え!」


「もちろん描くわよ。何がいいかしら」


 約束を守ってお留守番したレオンへのご褒美だもの。手を繋いで歩きながら、お部屋を移動した。今日はエルヴィンやユリアーナも離れにいるのね。なぜかお父様だけ残っていた。勉強部屋に入り、片付けをしていたお父様に挨拶する。


「じぃじ、おやちゅ」


「おお、分けてくださるのか。これは嬉しい。ありがとうございます」


 運ばれたのは、おやつ用の干し果物だ。干すことで甘みが増すし、噛みごたえがあってお腹に溜まるわ。顎も鍛えられるおやつなんて最高よ。レーズンを摘み、レオンはお父様に分けた。


 自分は……リンゴかしら。もしかして、好きな果物を食べて残りを人にあげていない? 私にはオレンジとレーズン。自分は絶対にレーズンを食べない。観察した私は、笑顔でレオンを手招きした。残しておいたレーズンを口元へ差し出すと、口が……開かない。


「あーんよ、レオン」


「んっ」


 口を開かず、やだと表明する。やっぱり苦手な果物を誰かにあげていた。悪い知恵をどこで覚えてくるのかしらね。

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― 新着の感想 ―
双子は子供たちだねの時とか、陰でコッソリ好き嫌いでおやつ交換とかしてそう。 それでなくても、普段の「あげる!」で喜ばれてるところにたまたま自分の嫌いな物をあげても相手が喜んだ(特にじぃじ)ことを体験し…
貴族的に 痩せている=不健康よりも 痩せている=食べる量が少ない=収入も少ない って捉えられると思う オマケで 太り過ぎ=体型管理が出来ない節操なし 丁度いい=マッサージ等での人を雇う余裕がある とも…
ユリアンさんかユリアーナさんか…wまさか、自分で思いついた!?なんにせよ、可愛い!
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