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【書籍化】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)今年は7冊!
第二章

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252/701

252.新しい王宮の人事発表

「年下と年上、どちらが好きかしら」


 ふふっと意味ありげに微笑む貴婦人……ユーリア様が怖いわ。捕食前の肉食獣みたいよ。ユリアーナは私の陰で、静かに頭を下げる。礼儀作法はイルゼ達に教わったから、それなりに覚えたはず。


「どちらも好きですが、いまはお姉様を追うので手一杯です」


 どういう意味? きょとんとした私の腰に手を回したヘンリック様が「なるほど」と唸るように呟いた。返しとして意味が通っているの? 私に社交は無理みたい。全然わからないわ。


「姉である君の真似をするのに忙しいそうだ」


 ぼそっと通訳され、そのくらいなら私も理解できたけれど、と首を傾げる。嬉しそうなユーリア様がさらに追撃しようとしたところで、ラッパの音がした。びっくりして肩を揺らしてしまう。


「あら、陛下方がお見えね」


 リースフェルト公爵夫人のパウリーネ様が、話を打ち切るように扇を揺らした。その勢いで扇が畳まれる。バルシュミューデ公爵が、ユーリア様の肩を抱き寄せて何かを囁いた。会釈して離れるご夫妻を見送り、残ったリースフェルト公爵夫人ともう一度挨拶を交わす。


「パウリーネと呼んでくださいね。私だけ仲間外れになってしまうわ」


 柔らかな口調で名前呼びの許可をくれたパウリーネ様も、侍女が呼びにきて離れる。何かあるのかしら。


「新しい体制を組むにあたり、役職が増えた。その関係だろう」


 ヘンリック様の短い説明の意味は、すぐにわかった。


 王太后マルレーネ様は、カールハインツ陛下のエスコートで玉座に座る。本来なら王妃殿下が腰掛ける席だが、カールハインツ様はまだ独身だった。王太后陛下の夫である先代王も崩御なさったので、この形に落ち着いたようだ。


 ラッパで注目した貴族に、新しい人事が公表される。王女ルイーゼ様の教育係にユーリア様が決まり、夫であるバルシュミューデ公爵も外交関係の役職を得た。リースフェルト公爵が地方経済の立て直しを発表する。


 王宮内の人事も大きく変更され、新しい王の治世に向けて舵を切るのだろう。これは皆様忙しくなるわね。他人事のように考えていると、ヘンリック様が穏やかに切り出した。


「今回の改革で、俺の仕事は半減する。今までの形がおかしかった。すべて俺の署名で国が動くなど、危険でしかない」


 独裁者になろうと思えば、いつでも国を乗っ取れる状況だったのね。王家に等しい権威を持つフォン・ケンプフェルト公爵であっても、権力が集中しすぎだ。権力が分散すれば、互いに監視し合うから偏りが減る。


 でも、そんな問題より大切なことがあるわ。


「では、定時で屋敷に帰れるようになりますね。よかった、レオンも喜びます」


「アマーリアは?」


 即座に問い返され、ぽっと赤くなってしまう。レオンも、と言ったではないですか。普段は察してくれるのに、意地悪するなんて。顔を背けたけれど、答えないのは悪い気がした。


「レオンも、私も……です」

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― 新着の感想 ―
可愛らしいアマーリアさん!ヘンリックさん良かったですね!ちゃんと愛されてますよ!
イチャイチャいいねぇ
最初の質問。正直、意味が分からないのですが、自分の親族・派閥から婚約者を斡旋して、盛り返した伯爵家を取り込んでケンプフェルトとも懇意になろうとした? でも「どちらも〜、お姉様を〜」の応えからして、婚約…
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