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【書籍化】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)今年は7冊!
第一章

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23.アレが妻か? ***SIDE公爵

 久しぶりに机の上が片付いた。執務室に運ばれる新たな書類も見当たらない。帰らない理由が消えたことに、眉根を寄せた。


「お疲れ様でございました」


 ようやく帰れると安堵の表情になる文官は、それでも交代制だ。三日に一度は家に帰っていたはず。にもかかわらず、嬉しそうに頬を緩める。どうやら、一般的に家に帰ることは好ましい行為のようだ。


 息子と顔を合わせても話すことはない。新しく迎えた妻も、特に用事はなかった。広い屋敷は親から相続したが、特に思うことはない。権威の象徴として、維持しているだけだった。


 あの空箱に帰っても、何もメリットはないが……。


「今日は公爵閣下もご帰宅なさるんですよね。奥様が安心なさいますよ」


 にこにこと告げられ、文房具を片付けて帰る支度を始めた彼らに、残るとも言い出しにくい。そうだなと相槌を打って、部屋を出た。心得たように侍従達が動き出す。王宮の廊下を出る頃には、馬車の準備ができたと報告が入った。


 着々と逃げ道が消えていく。面倒だが、顔を合わせなければいいか。あれだけ広い屋敷だ。妻となった女の家族は離れに住まわせる約束だし、特に問題はない。俺が屋敷の主人だ!


 気持ちを切り替え、歩き出した。嫌な思いをしたら、外へ出かける手もある。家令フランクから定期的に報告は上がっているが、現地調査だと思えばいい。馬車に乗り込み、クラバットを緩めかけて……手を止めた。部屋に戻るまで我慢だな。


 面倒なことだ。貴族に生まれたばかりに、思わぬ苦労を背負い込んだ。たいして離れていない屋敷の門をくぐり、見慣れた庭を眺める。金をかけて維持しているが、使わないのだから手放したいのが本音だ。しかし公爵である以上、ある程度の散財は義務だった。


 前の妻は適度に宝石やドレスに金を使ってくれたが、今度の妻はどうか。あまり質素な暮らしをされると、周囲の貴族とバランスが取れない。


 頭の痛いことばかりだな。舌打ちしたい気分で、停まった馬車から降りる。並んだ使用人達はいつも通り整然としており、少し苛立ちが収まった。


「おかえりなさいませ、旦那様。奥様は……」


「アレのことはいい」


 不機嫌に切り捨てる。数日の休暇をゆっくり過ごしたかった。心得たようにフランクは口を噤み、大人しく着いてくる。自室へ戻り、閉じこもった。何をして時間を潰そうか。





「きゃぁ!」


 甲高い子供の声に顔をしかめる。窓から外を確認すれば、花が咲く庭を数人の子供が駆け回っていた。あのどれかが息子レオンだろう。区別がつかずにじっと見つめる。


 黒髪がレオンか? となれば、周囲の子供達はどこかの子弟だろう。運悪く、騒がしい時に帰ってしまったようだ。カーテンを閉めようとしたところで、金髪の女性が走ってきた。


「あらあら、転んじゃうわよ」


 少しくすんだ金髪の女性は、日除けの帽子も傘もない。日焼けを嫌う貴族女性らしくない振る舞いで、子供達をまとめて歩き出した。レオンを抱き上げ、周囲に子供達を纏いつかせて。


「まさか、アレが?」


 俺の妻なら、公爵夫人だ。子供と庭を走り回り、日除けも怠るような女……しばらく社交に出せないな。舌打ちしたい気分で、今度こそカーテンを引いた。

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― 新着の感想 ―
お前妻にアレコレ言う資格無いだろ?って位ドン引きな旦那(;・∀・) もしかして自分は立派だと思ってるの?(´゜д゜`) 自分の都合で契約妻持ったくせにここまで邪険に扱うとか…ないわー(;・∀・)
[一言] 普通に無能そう・・・少なくとも組織の上に立つには使えない
[気になる点] 前に手紙を送ったとき妻が散財しすぎることに対しても文句を言っていたと思ったら今度は質素すぎても文句か、子供と遊んでいても文句だしそもそも子供自体が嫌いそうだな。親にまともに育てて貰えな…
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