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【書籍化】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)今年は7冊!
第二章

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222/701

222.音楽で心を癒す

 音楽は心の傷を癒してくれる。お昼寝を終えたレオンは、シンバルをじっと見つめた。先生達が楽譜を用意して、演奏を聞かせてくれる。ヨハンは木琴を、ピアノを弾くのはビアンカで、アルノーもバイオリンを鳴らす。どの楽器も全く違う音なのに、重なって綺麗な曲となった。


 明るくて気分が前向きになる曲を聴いて、レオンはシンバルを叩く。打ち鳴らした途端、照れたように笑った。ここからは各自、習っている楽器に取り組む。ヨハンはレオンのシンバルの鳴らし方を、いくつか実演してみせた。大喜びのレオンは震わせたり、軽く触れさせたり。様々な音を楽しむ。


 ビアンカは、ユリアンのピアノの実力を確認すると、すぐに新しい課題を与えた。いつの間にか、ちゃんと曲が弾けるようになっていたの。驚いたわ。音楽の才能があるのかも。


 ユリアーナはフルートに苦戦中。お父様が付きっきりで音を辿らせる。私のハープが上達していないので、ほっとしちゃうわ。一人取り残されたら寂しい。そう思ったけれど、私より酷い人がいたわ。


 ぎぎぎぃ……背筋がぞわりとする悲鳴を響かせたのは、ヘンリック様だった。触らないと楽器は上達しないと聞くけれど、本当にそうね。初心者のまま、ぎこちなく音を出す。ただ誰もヘンリック様のヴィオラを否定しなかった。


 音を出さないと上手にならないですよ、アルノーはそうフォローする。彼より先行しているが、まだ曲を弾くには早いエルヴィンはバイオリンと格闘中だった。こちらも数回に一度、楽器が悲鳴を上げる。


 オーボエの音に合わせ、フルートがドレミを奏で始めた。いろんな楽器の音が響く部屋は、学生の吹奏楽部みたい。上手な人も初心者も、遠慮なく音を出して楽しむ場所よ。一部の使用人が加わったことで、楽器の保管室も用意された。


 使用人達は申請すれば、楽器を借りられるの。高額だから購入して始めるのはハードルが高い。最初は借りて、気に入れば購入や注文すればいいと考えた。フランクは使用人に対してお金を使うなど……と渋い顔をしたけれど、イルゼが賛成する。


 使用人達から、練習時間の給与を返上してもいいから……と頼まれて承諾した。意外なのは、リリーは木琴を扱えたの。マーサは楽器の心得はなくて、イルゼはピアノが弾けた。レオンは嬉しそうに、使用人達の音に合わせてシンバルを鳴らす。皆が微笑んで合わせてくれるので、楽しいみたい。


 気晴らしの意味でも、楽器を習わせてよかったわ。ここに猫が加われば、もっと賑やかになりそう。レオンのための環境を整えるのは、わくわくする。この子の可能性をどこまで伸ばせるかしら。


「おかぁしゃま、ぼく、おと……する!」


「ええ、一緒に演奏しましょうね」


 止まっていた手を動かす。ハープの弦は硬い。指で丁寧に音を辿りながら、レオンのシンバルに耳を傾けた。ふふっ、明日は指が痛くてカトラリーを落とすかもしれないわね。

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― 新着の感想 ―
シンバルの天使復活♪よかったね
楽しい音楽…。悲鳴を上げるヴィオラwこれから、ですね!皆で和気あいあいと!ホノボノしてて素敵です!
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