表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)今年は7冊!
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

220/700

220.エルヴィンは真面目過ぎるの

 翌朝、すっきりと目が覚めた。あら……カーテンの外がやけに明るいわね。いつもより眩しい気がする。ヘンリック様は起きているが、ベッドに横になっていた。


「おはよう。アマーリア、レオン」


「おはようございます、ヘンリック様」


 挨拶を交わす私達を、忙しく交互に見た後、レオンはへにゃりと笑った。


「おはよう、レオン。眠れたかしら?」


 声をかけると頷き、起き上がって私の腹部に飛びついた。受け止めて黒髪を撫でる。少し寝癖がついているわ。手で梳いても戻らないので、マーサに任せましょう。額に触れたところ、昨日の熱はもう感じられなかった。一晩ゆっくり休んで、楽になったのかしら。


「おかぁしゃま。おとちゃまも、おぁよぅ」


 まだ眠そうだけれど、起きた方が良さそう。ノックの音がして、ヘンリック様が入室を許可した。肩にショールをかけた私が身を起こすと、レオンが慌ててしがみつく。


「一緒に着替えましょう。ほら、こっちよ」


 一緒という単語に、ほっとした表情でレオンが頷く。やはり口数が減っているわね。たくさんお話ししてくれるようになったのに、元に戻ってしまった。それでも笑えるならいい。天使の笑顔は健在だもの。


 顔を洗い、着替えを済ませ、寝癖を直してもらう。マーサが慣れた手つきで黒髪を整える間に、私も大急ぎで化粧と髪結いを終わらせた。レオンが不安にならないよう、鏡に映る位置をキープした。


 食卓に並ぶ朝食をいただき、今日の予定を確認する。音楽の授業はお昼寝の後に入っているが、それ以外は大丈夫そう。ヘンリック様は仕事が休みだと口にした。きっとレオンが心配なのよ。すっかりお父さんになったわね。領地関係の書類が届いたので、ヘンリック様は執務室へ向かった。


 レオンと手を繋いで勉強部屋に顔を出せば、ユリアンとユリアーナが文字の勉強をしていた。エルヴィンの姿は見えない。勉強が大好きな子なのに? お父様に尋ねると、今日は体調不良で寝ているらしい。


「昨夜、一人で反省会をしていたようだ。なかなか眠れなかったのだろう」


 半分は寝不足で、残りは疲れと悩みすぎの頭痛。肩をすくめるお父様に、なるほどと納得した。エルヴィンは生真面目な子で、悩みすぎてしまうのが欠点だ。過ぎたことをいつまでも考えてしまう。ああすればよかった、こうしたら避けられたと一人で悩んだのでしょう。


「あとで果物を届けさせるわ」


 リリーに伝言を頼んだ。この季節なら甘酸っぱい柑橘類がいいわね。ユリアンが書いた文字の間違いを、隣のユリアーナが指摘する。


「ここ、突き抜けたらダメよ」


「そうだっけ? ああ、ホントだ」


 仲良く勉強する二人を見て、レオンはちらりと部屋の一角に視線を送る。お絵描きの道具がある辺りね。


「レオンも絵を描く?」


「……うん」


 二人で一緒に準備をして、並んで机の前に座った。絵を描き始めると、残念な猫が「びじゃぁ」と鳴きそうな顔でこちらを見ている。おかしいわ、描いた通りの絵じゃない。描き直す隣で、レオンはクレヨンをがしゃがしゃと動かした。


 いつもと違う動きに首を傾げ、レオンの手元を覗き込む。黒で何人か描いた紙に、赤と青が散乱していた。隙間を片っ端から塗り潰している。


「レオン、これは誰?」


「……らなぃ」


 知らないと首を横に振り、むっと唇を尖らせる。そういえば、トラウマの判断に絵を描かせる手法があるとか。前世に聞いた話がよぎった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
2周目、感想。 『びじゃぁ猫』って意外と生まれたのは後だったんですね。 そーいえば画伯の最初の作品はウサギだったっけ?
エルヴィンお兄ちゃん、悩みすぎないでね 元気にたくさんお喋りしてシンバル鳴らすレオンくんに早く戻れますように。びじゃぁ
アマーリア夫人、相変わらずの画伯ぶりwww 良いですね、是非そのままでいてください。 レオン君の心、酷いトラウマでこれ以上ひび割れていかないよう、何とかなっていければと祈らずには居られませんね。 …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ