表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍化】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)今年は7冊!
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

183/700

183.楽団結成はまだまだ先ね

 予定通りレッスンに訪れた音楽教師三人に、事情を説明する。王妃マルレーネ様とユリアンがピアノで、数ヶ月で陛下になるカールハインツ様はエルヴィンとバイオリンを演奏する。教えていただく立場なので、まずはこの二人を大至急仕上げてほしい、と。


「私は若君と練習で問題ありませんね」


 ヨハンはさっさと離脱を宣言した。そういえば、両方とも弦楽器だったわ。青ざめるアルノーが気の毒になったのか。ビアンカがピアノの練習相手に名乗りを挙げた。彼や彼女らが王族と演奏するわけではないが、生徒のレベル不足は解決したい。そんな意気込みが感じられた。


「ユリアン、頑張ってね」


「もちろんさ、僕ならすぐ上達するよ」


 やけに自信満々だ。実際、朝から夕方までピアノに夢中で、上手に勉強をサボっている。お父様が嘆いていたわ。バイオリンの指使いを基礎から確認するエルヴィンは、堅実に一歩ずつ上達するタイプね。ゆっくりだけど着実に実力は上がっていく。


「自信がなくて……」


「素人なのは王家の方々もご承知のはず。誠意をみせれば大丈夫です」


 誠意をみせろって、嫌な言葉だわ。何かをせびるときの常套句じゃないの。遠い目になるが、この世界ではそういう使い方をしないみたい。誰も気にしていなかった。


「ぼく、いっちょ、に……いく」


 エルヴィン達と一緒に王宮へ行きたい。レオンは遊びに行くつもりね。我が侭王女様は、自分より歳下に対して優しいようで、あれこれと面倒をみていると聞いた。侍女達が微笑ましく感じているなら、嫌な思いはしていないのね。


 もしかしたら父親である陛下に我が侭を口にしても、他の人にはしない可能性も……。いろいろ考えながら、私もハープに触れた。まずは指の痛みに慣れるところから。お琴の爪やギターのピックなど道具を使いたいけれど、邪道かしら。


 将来的にはちゃんと弾きたいけれど、今は音を出すだけで手一杯だし。ちょっとくらい、ズルをしたいわ。担当のアルノーが忙しそうなので、代わりにヨハンに尋ねた。ビアンカはユリアンの指導で手が離せない。


「爪の代わり、ですか」


「ええ、指に嵌めて使う道具や摘んで使う何か。あったら助かるわ」


「……考えたこともありませんでした」


 ギターのピックは手に入ると言うので、手配してもらうことにした。今日のところは、仕方ないので自前の爪で頑張りましょう。意外と音が小さくて苦労しているの。強く爪弾けば痛い。


 ぎぃぃいいい! 甲高い音がして、思わず耳を手で覆う。振り返った先で、ヘンリック様がヴィオラと格闘していた。ベルントが何か告げると、持ち方を変えてまた弓を引く。今度は弱々しい音が出た。


 ケンプフェルト楽団の結成は、かなり先になりそうね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 ヨハン は 危機 を 回避 した !  ビアンカ は ヨハン を 睨んだ !  アルノー は ヨハン を 睨んだ !
楽団結成への第一歩!音を出すだけで大変そうな楽器がチラホラ(汗) 指に何かつけて弾くハープ!その演奏スタイルが流行ると良いですね!楽になりそう!
爪とピックで、すっごい昔の話がふっと脳裏に浮かび、思い出しました。 大石昌良さんというアーティストがいるのですが、代官山のライブハウスで爪について直接お話させてもらいました。私は箏なので爪を使うのです…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ