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【書籍化】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)今年は7冊!
第二章

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155/700

155.あの女が悪い ***SIDE国王

 ケンプフェルト公爵は変わった。以前は仕事も熱心で、サボったり手を抜いたりしない。真面目で、きちっとした男だったのに。


 妻をもらってから別人のようだ。仕事をこちらに押し付け、平然としている。定時で帰ると言い出し、日暮れ近くなると帰宅した。あり得ない。その後に届いた書類は誰が処理するんだ? 泊まり込みで対応してもらわねば、俺の仕事が増えるじゃないか。


 文官達が積んだ書類にうんざりする。このほとんどは公爵の分だった。俺の仕事じゃない。国王になってからずっと、インク瓶より高く書類が積まれたことはなかったんだ。公爵が結婚してから、こうなった。最初の数ヶ月は大人しくしていたようだが、本性を現したのか?


 とんでもない女狐を娶ったものだな。舌打ちして書類を見るが、資料がなければ判断できない。横へ積んだ。次の書類は先ほどの書類を処理した後の申請書だ。また後回しにした。気づけば、書類は右から左へ移動しただけ。まったく減っていない。


 資料がなければ作れない書類なら、一緒に資料も用意すべきだろう。イライラしながら文官を呼びつけた。叱ると、彼らはきょとんとした顔をする。それから平然と口答えした。


「陛下、普段から書類を処理しておられれば、頭に入っている内容です。国の税に関する重要な案件ですよ。王陛下が何も知らないなど……」


 語尾を濁したが「おかしい」と口が動く。そうなのか? 宰相を呼び出すが、彼も同じように顔を顰めた。


「陛下に処理できないなら、誰も手をつけられません。先代王も書類はきちんと確認しておられましたぞ。もしや……今まで誰かに押し付けておられたのですか?」


 驚いた顔で指摘され、慌てて彼らを外へ出した。これが国王が処理すべき案件? 国にとって重要な書類が放置されるなど。なぜだ、公爵が処理していたではないか!


 さらに腹立たしいことに、王妃までがあの女の肩を持つ。可愛い娘までが、お父様のせいでレオンが遊んでくれないと言い出した。俺の何が悪い? 王である俺に恥をかかせる奴は、全員不敬罪で処分してやる!


 公爵夫人を名乗る女に命令書を発行したところ、公爵から返事がきた。二度と妻に手紙を送るな、命令するなと書かれている。お前こそ何様のつもりだ。王家がなければ、公爵家も意味をなさないのだぞ! 頭に来てまた手紙を書くが、今度はそのまま突っ返された。


 開封した上で別の封筒に入れて返送された手紙を破く。そのやり取りも数回に渡り、公爵がいないことで書類はさらに溜まった。これ以上は無理だと命令書を作成する。


 休暇は中止だ、早く戻って書類を処理しろ。封蝋を押す前に、王妃に見つかった。眦を吊り上げたマルレーネは、俺の手から取り上げた封書に目を通し溜め息を吐く。


「王として最低限の仕事もできないなら、退位しかありませんね。宰相やお父様も見放していますよ」


 俺が見放される? 何を言っているのだ。お前もあの女と同じように、俺を馬鹿にするんだな!? 机を強く叩いた。

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― 新着の感想 ―
 馬鹿にしてるんじゃない。予想以上に馬鹿だったから失望しているんだ。
悪役令嬢物でざまぁされるはずの王太子がうっかりそのまま王様になっちゃったのよ(´・ω・`) って感じの愚王だな(ㆁωㆁ*) フルボッコにしたい…サンドバッグにこの愚王ください(ㆁωㆁ*) めっさストレ…
馬鹿視点、馬鹿が、無能でポンコツでアホで無責任で仕事押しつけ野郎だった…!自分の駄目さが分かってない。愚かな王。マルレーネさん、馬鹿のお守り、お疲れ様です!
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