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【書籍化】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)今年は7冊!
第二章

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148/700

148.約束を破ってしまったわ

 レオンとの約束を破ってしまった。夜中に足が痛んで、何度も目が覚める。夜明けまで寝ては起きるを繰り返し、その間に何度も後悔した。子供との約束は、大人とは違う。また後で、今度ね、は通用しないのだ。


「おはよぉ、おかしゃま」


 上から覗き込んだレオンが、へにゃりと笑う。いつもの天真爛漫な笑顔と違った。それが約束を破ったせいかも……と申し訳なくなる。


「ごめんなさいね、レオン。昨日はどんぐりを拾いに行けなかったわ」


 朝の方が痛みが楽だ。あの気休めみたいな薬草、意外と効くのかしら。身を起こそうとしたら、レオンが首を横に振った。目一杯、全力で左右に動かして、最後はふらついて倒れ込んでくる。


「おっと、危ない。おはよう、アマーリア。痛みはどうだ?」


 レオンを間に挟んで眠ったヘンリック様は、私が起きるたびに気にしていた。睡眠を邪魔して申し訳なかったわ。支えたレオンを膝の上に乗せ、よく似た顔でそれぞれに首を傾げた。


「ありがとうございます、昨日より楽になりましたわ」


 嘘ではなく本当に痛みが軽い。これなら数日で治るのでは? と期待を膨らませた。


「どんぐり拾いなら、エルヴィンが連れて行ってくれるそうだ」


 昨日の夜、提案があったみたい。レオンは興奮した様子で、身振り手振りしながら話し始めた。


「おかぁしゃま、の! ぼくがひろうの」


 こんなにたくさん、いっぱい拾うよ。伸び上がって大きさを示すから、楽しみにしているわと答えた。たくさん持って帰ったら、エルヴィンやユリアンに頼んで煮沸してもらわないと。それから最後に日干しもしたら完璧ね。


 以前に掃除でユリアンの引き出しを開けた記憶が蘇る。大量の虫が発生していて、引き出しの中身を庭にぶち撒けたのよね。悲鳴をあげるほど柔ではないけれど、さすがに驚いた。レオンだと泣いちゃうかも。


「おかぁしゃま、さびし?」


 僕がいないと寂しいかな。問われたら頷く。


「ええ、寂しいわ。レオンが大好きだもの。でもお母様は大人だから、お留守番ができるわよ」


 大きな目をぱちぱちと瞬きして、レオンは笑顔になった。


「ぼくがんがる、……ん? がんば、るね!」


 自分で言い直したところが、成長の証だ。嬉しくなって頭を撫でようとしたが、腰と肩の痛みに断念した。


「痛いのか」


「ええ、撫でてあげたかったんですけれど」


 無理でした。最後の部分を濁して曖昧に答える。レオンを覗き込んだヘンリック様が、何かを呟いた。聞こえなかった言葉はすぐに判明する。レオンが自ら近づき、後ろからヘンリック様が支えた。手が届くのだ。


 ヘンリック様に促され、少し浮かせた手でレオンの黒髪を撫でた。そのまま動かし、ヘンリック様の腕にも触れる。


「ありがとうございます」


「しばらくは絶対安静だ。勝手にベッドから出ないこと。何かあれば、このベルを鳴らしてくれ」


 用意されたベルを小さな籠に入れ、手が届く距離に置かれる。水もトイレも全部呼ぶように言われ、過保護すぎると笑った。でも心配されるのは擽ったくて嬉しい。


 ベッドで家族の穏やかな朝を過ごし、朝食も運ばれてきた。ぐうたら生活に馴染まないよう、気をつけなくちゃね。

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― 新着の感想 ―
手紙を受けとって1日経過 何書かれてたにしても 療養中で動けない『家族で看病、旦那様は奥様の介護中』でヨシ
ドングリ…虫さんが居なければ、小さくて丸っこくて可愛らしいんですがね(汗)ドングリを集めたくなる気持ち分かります。虫さんが居なければ! レオン君、ドングリいっぱい集めそう!かわいい! ヘンリックさん、…
おかしゃま気をつけないとダメだよ。 レオンたんは1度お母様を亡くしてるから。小さい時だから記憶が曖昧だとしても、大事な人の喪失の衝撃は残ってると思うよ。
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