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【書籍化】契約婚ですが可愛い継子を溺愛します【コミカライズ進行中】  作者: 綾雅(りょうが)今年は7冊!
第一章

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123/700

123.温かいんじゃなくて熱い

 部屋の片付けまで済ませてくれたと聞いて、お礼を奮発しようと決めた。王妃マルレーネ様付きの侍女達が、協力を申し出たらしい。てきぱきと荷造りをするリリーとマーサの隣で、部屋を整える。きっとマルレーネ様のお詫びでしょうね。


 こちらのお詫びは有り難いので、お礼の手紙に……そうね、何か添えて送りましょう。国王陛下に関しては、すでに現時点でもやらかしていた。手紙を携えた使者が到着したのだ。返事をもらうまで帰ってくるなと命じられたようで、玄関脇で困り果てていた。


「ベルント、使用人部屋に空きがあれば泊めてあげて。お気の毒だわ」


 ありがとうございますと感謝の声に続き、拝まれてしまった。苦笑しながら、こちらこそと言いたくなるのを呑み込んだ。私達が帰ってきたから、派遣されたんだもの。見捨てて外で寝ろとか言えないわ。


 リリーとマーサには、明日の休暇と特別支給のご褒美を告げて休ませた。荷物を整理すると言い出したので、それは他の侍女に明日任せると説明する。がくりと肩を落としたので、彼女達にもう一度伝えた。解任や落ち度があったわけじゃなく、労いの気持ちなのよ、と。


 言葉を尽くせば、誤解なんて消えるわ。明るい表情で引き上げる二人を見送り、ベルントと歩き始め……慌てて方向を変えた。


「いけない、ヘンリック様とレオンが待ってるのよ」


 自室へ引き上げちゃうところだったわ。母親が息子との約束を守らないなんて、天使に泣かれちゃう。ヘンリック様のお部屋の前には、フランクが立っていた。今日は何故か胸の前で手を組んで、祈るような姿勢ばかり。何か心配事があるのかも。


 彼に促されて、間接照明の薄暗い部屋に入る。ヘンリック様は、目を輝かせた。本当にレオンと同じで、素直な方よね。これで公爵閣下として仕事ができるんだもの。仕事中はよほど表情を引き締めているのでしょう。


「お待たせしました、あら……レオンは眠っちゃったのかしら」


 真ん中で両手を広げて眠るレオンは、私がベッドに入ると胸元に潜り込んできた。肩にヘンリック様の手が触れ、驚いて顔を上げる。


「上掛けが……」


 きちんと掛かっていなかった。口の中でもそもそと告げ、そのまま横になってしまう。手は私の肩の近くにあり、上掛けを押さえている形だ。そんなに寝相悪くないと思うけれど……お昼寝の時に蹴飛ばしたかしら。


 ヘンリック様の手は大きくて、当たり前だけれど温かい。肩に触れた手のひらが、じわりと熱を伝えてきた。


「っ、ヘンリック様! もしかしてお熱が!!」


 レオンがいるのを忘れ、がばっと身を起こす。手を伸ばして額に触れれば、やはり熱かった。退室したフランクかベルントを呼ばなくちゃ。慌てた私はベッドから飛び出し、扉を開けて駆け出す。


 後ろを追いかけてきたヘンリック様に気付くのは、フランクと合流してからだった。


「ヘンリック様、寝ていてください。あ! レオンが一人になってるわ」


 大急ぎで取って返し、目を覚ましたレオンを抱きしめる。泣く前でよかったわ。


「ヘンリック様は?」


「おとちゃ、ま?」


 ふらふらと戻ってきたヘンリック様は、フランクに叱られながら横になる。看病は私がするので、準備だけ整えてもらった。念の為、フランクとベルントが交代で廊下に控える予定だ。


 大変なことになったわ。心労が原因だったら、王宮に乗り込んでやるんだから!

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― 新着の感想 ―
ヘンリックさん…体調不良ですねw大変ですwきっと、馬鹿陛下のせいですねw間違いない!決して、アマーリアさんが天然とか!鈍いとか!ヘンリックさんの初めが酷すぎて、そっち(恋愛的な熱)だとカケラも分かって…
はじめまして。 旦那さん、親子三人、川の字になって寝るのが、幼い頃の夢だったのかな?と思ったけど、心細かったのか。 主人公やさしいなぁ。子供たちのかわいさと共に、毎回癒やされています。ありがとうごさい…
お熱(×_×;)おとちゃましっかり!
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