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竜に育てられた最強  作者: 原案・監修:すかいふぁーむ 執筆:epina
フルドレクス魔法学会編

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97.魔法学会③

「よくぞ、フルドレクスにお戻りになられました。ラウナリース王女殿下」


 こころなしかライモンドさんは嬉しそうだった。

 今までフルドレクスで出会ったどの人よりも、ラウナを歓迎しているように見える。


「いろいろと手違いがあったようで申し訳ありませんでした。どうも()()、私には間違った日程をわざと伝えていたようで……ひとまず他の方々に自己紹介をさせていただきます。私はライモンド・レーン。魔法学会十二賢者のひとりです」

「セレブラント王太子のリードだ」


 ライモンドさんはリードにも深く礼をした。


「あなたがリード様でしたか。御噂はかねがね。セレブラント始まって以来の天才と聞き及んでおります」

「よしてくれ。私などまだまだだ……」


 リードがちらりと俺のほうを見た。

 ん、自己紹介しろってことかな?


「えっと、アイレンです」

「ミィルでーす」

「殿下のご学友ですね。ようこそ魔法学会へ。お名前は存じ上げませんが殿下とリード様とご一緒に留学されているぐらいですし、優秀でいらっしゃるのでしょう」

「いやー、ははは」

「えへへー」


 ミィルとふたりして頭を掻いた。

 久しぶりに知らない人に褒められたから頬が緩んじゃうな。


「お話ししたいことは多くございますが、先にご説明をさせていただきます。本日皆様は大賢者様の推薦で、魔法学会への加入を認められました。なんでも魔法学会の秘密資料の閲覧したいとのこと。しかし、それには准賢者以上の資格が必要となります」

「えっと、ちなみに今の俺たちは……」

「平賢者だ」


 俺の呟きにリードがぼそっと答えた。

 ライモンドさんが頷きながら話を続ける。


「皆さんが准賢者の資格を得るには王族の直接推薦を得るか、十二賢者に研究を認められる必要があります」

「じゃあ、ラウナが許可を出せばいけるってことー?」


 ミィルが無邪気な質問に、ライモンドさんは首を横に振った。


「それは……残念ながら今となっては無理なのです」

「なんでー?」


 あ、ミィルはラウナが政争で負けたって話を知らないのか。

 リードが首を横に振る。


「ミィルさん。ラウナリースには、もはや王族としての権力がないのです」

「申し訳ありません。それさえできれば、話は早かったんですが……」


 ラウナが本当に申し訳なさそうにしているけど、ミィルはあっけらかんと笑う。


「えー? 別に謝らなくたっていいよ。研究だって完成してるんだし! あたし、ラウナがすごく頑張ってたのだってちゃんと見てたよ?」

「ミィルさん……!」


 思わぬ言葉にラウナが感激していた。

 このふたりもすっかり仲良くなったよなー。


「それなのですが、本当なのでしょうか? 反属性混合(アンチダブル)の実用化という話は」


 ライモンドさんが聞きずらそうに声をひそめる。


「ああ、本当だ。ここにいる全員で成し遂げた」


 リードが鷹揚に頷き返して、俺のほうを見てきた。


「アイレン、お前もさっきから黙っていないで何とか言ったらどうなんだ」

「えっ。だって今回の俺は見てただけだし……」

「お前がいなければ、そもそも始まってすらいなかったことだ。反属性混合(アンチダブル)を最初に披露したのはお前だろうに」

「な、なんと……こちらの若者が!? てっきり、リード様かラウナリース王女殿下の発案かと……」


 ライモンドさんの俺を見る目が一気に変わった。

 そんなふうにジロジロ見られると、何とも言えない気分になるなぁ。


「いえ、もちろん疑うわけではないのですが、常人である我らには俄かには信じがたい話でして。それ故、私以外のほとんどの十二賢者は……」

「なるほど。大賢者の推薦だから一応学会に入れたが、研究内容を信じていないから相手にする気もないというわけか」


 リードが不敵に笑った。

 研究内容が見る前から認められないなんて悔しがってもいいと思うのに、むしろやる気を増している。

 ライモンドさんがコホンと咳払いした。


「はい。そういうことですので、大変心苦しいのですが、皆様にはちょっとしたデモンストレーションにお付き合いいただきたく……」

「でもんすとれーしょん?」


 ミィルが聞き慣れない言葉を聞いて小首を傾げる。


「はい。公的な場を設けますので、十二賢者の子弟と簡単な腕試しをしていただきたいのです」

「ほう? フルドレクスでは、そういうやり方は廃れているとばかり思っていたが……」

「いえいえ。対外的な目のある国立魔法学校はともかく、学会のほうは旧態依然とした組織ですよ。むしろ何一つ変化がないからこそ、大賢者様は出て行ってしまわれた……私はそう感じています」


 ライモンドさんがしょんぼりしてる。

 大賢者。確か大昔から生きてる人で、魔法学会を作った人だけど……いろいろあって出てっちゃったって話だったっけ。

 それでも大賢者の推薦状が有効ってなるんだから、今でも影響力があるのかな。

 

「そういうことなら話は早い。アイレン。久々に、アレをやってみる気はないか?」


 リードが愉快そうに笑いながら、俺に変な話題を振ってくる。


「アレ? アレってなんのことさ?」

「フッ……もちろんお前が人類(われわれ)にしてきたことをだよ」


 ますますわからない。

 俺がいったい、何をしてきたって言うんだろう?

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