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竜に育てられた最強  作者: 原案・監修:すかいふぁーむ 執筆:epina
フルドレクス魔法学会編

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93.浜辺の大魔法②

「さーて、とっ! みんなリフレッシュできたみたいだし。そろそろやろっかー!」


 みんなでひとしきり泳いだりボール遊びをした後――何故かリードは頑なに海に入ろうとしなかったけど――ミィルが大きく伸びをした。


「ええと、何をですか?」


 ラウナが怪訝そうな顔をする。


「何って、海に来た目的を果たすんだよー」

「休むことが目的だったのでは……?」


 リードの確認にミィルが考え込むようなポーズを取って答えた。


「うーん。それが一番大事なんだけど、今のまま研究を再開してもなかなか進展しないと思うんだー。なんていうかこう……ふたりとも属性のことを堅苦しく考え過ぎてるから」


 あー、そういうことか。

 ミィルの意図がなんとなくわかった。


「どういうことでしょうか?」


 ラウナが首を傾げる。

 リードもミィルの意図を図りかねているのか眉根を寄せていた。


「えっとね、えっとね。うーん、だめだっ、なんて言っていいかわかんない! アイレン、パス!」

「そこで俺に振るのか!?」


 まあ、わかることだからよかったけど……。

 リードとラウナ、ふたりの視線が自然と俺に集まる。


「んー、要するにふたりとも属性はこうじゃなきゃいけない! みたいなイメージが強すぎるんだよ。火はこう、水はこう! みたいなの。そうじゃなくって、もっとふんわりでいいってミィルは言いたいんだと思う」

「ふんわり! そう、それ! あたしが言いたかったやつー!」


 俺の解釈を聞いたミィルが我が意得たりとばかりに喝采をあげた。

 どうやら合ってたみたい。


「火も水も最初っから火と水なんだから、きっちり構築しようなんて考えなくたっていいの! 精霊に頼るなら尚更ね! だからイメージはふんわり!」

「うーむ、ふんわりとは……」

「ふんわり、ふんわりですか……」


 どうやらリードとラウナは余計に混乱してしまったようだ。

 まあ、そのあたりのニュアンスって他人に伝えるの難しいよな。

 最初の頃の俺も師匠たちの言ってることがさっぱりわからなくて、なにかと苦戦してたし。

 

「そういうわけで、あたしは今から海に向かって水属性の魔法を使うから、見てほしいの!」


 ミィルが元気よく腕を振り上げる。


「ミィルさんの魔法を見せてくれるのですか!?」


 魔法の披露と聞いて、いつかのごとくラウナが目を輝かせた。


「そうっ! そのために海に来たんだもん! あたしはリリ姉じゃないから火属性は無理だけど、水属性だったら協力できるから。実際に見てもらった方がいいかと思って」

「ぜひ! お願いします!!」


 魔法が大好きなラウナが前のめりだ。

 フルドレクスに来てから元気がなかったから、ああいうキラキラした笑顔は久々に見るかもしれない。


「ミィルさんの魔法か。王賓クラスではアイレンばかり目立っていたが、たしかにミィルさんもかなりの使い手だったな……」

 

 リードがセレブラントでの学院生活を思い返してる。

 言われてみればミィルは自分の得意分野である水魔法の腕前をそこまで披露してなかった気がするな。


「一応、今から見せるのは人類から見たところの無詠唱……竜王族術式ってやつだよ。それと、あたしはアイレンみたく人類術式に直すみたいな器用なことはできないから、なんとなく感じ取ってね! それじゃあ――」


 ミィルが海に向かって両手を掲げた。

 周囲にゴウッと風が巻く。


「こ、この魔力は……!」

「前に見せていただいたときと同じ……ミィルさんと周囲の魔力が一体化していくかのよう!」


 おー、ミィルは相変わらずすごいな。

 ここら一帯を全部自分の魔力の流れに取り込んでる。

 水竜系の竜王族は他にも何人かいるけど、これほどの芸当はミィルにしかできないだろう。


「そーぉれっ! ざぱぁーん!」


 ミィルが最後の仕上げに万歳の要領で両手を元気よく振り上げる。

 すると――


「海が割れましたーっ!?」

「こ、これはすごい!!」


 見学していたふたりのコメントどおり、海が真っ二つに割れた。

 水平線の向こう側まで海底が露出していて、その左右には割れた海水が壁のように突き立っている。


「魔力の流れがっ! 海がミィルさんになってたみたいな! 海はミィルさんだったんですか!?」


 興奮したラウナが意味不明なことを口走る。


「えへへーっ! そうそう、あたしの半分は海だよー!」


 ミィルは自慢げに笑いながら腰に手を当てた。

 彼女は海竜と水竜のハーフだから、半分は海っていうのはそういう意味だろう。

 ちなみにミィルがその気になれば、この一帯に津波を起こすこともできる。

 このくらいなら彼女にとっては朝飯前だろう。


「ミィルさん……お言葉ですが、さすがに我々には……」


 リードがそこまで言いかけたところでハッと何かに気づいたかと思うと、俺のほうを振り返った。


「いや、待った。もしかしてアイレンにもできるのか?」

「え? ああ、うん。今のぐらいなら俺でも何とかなると思うよ。ミィルと違ってすごく疲れると思うけど」

「本当ですかっ! アイレンさんの魔法も見せてくださいっ!!」


 ラウナが詰め寄ってきた。


「できるのか……そうか、お前にはできるのか。ならば私もやれるようにならねば!」


 リードまでずずいっと迫ってくる。

 えっ……ひょっとしてこれ、俺もやる流れなの?


「アイレン! ふんわり! ふんわりだよ!」


 ミィルまで。

 どうやら俺もやらなくっちゃいけないらしい。

 どうしよう。俺はミィルと違って水竜じゃないから、すっごく疲れるんだけどなあ……。

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「お前はサボってばかりいる!」と勇者に追放されたけど、俺のバフ抜きで大丈夫なのかな? ~全部が全部もう遅い。勇者を見限ってついてきた仲間たちは俺の『全自動支援』スキルで世界最強の英雄になれます~
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