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竜に育てられた最強  作者: 原案・監修:すかいふぁーむ 執筆:epina
セレブラント王都学院編

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18.炎属性魔法実習⑤

 炎属性はリードが披露した通り、属性混合の応用によって威力が向上する。

 ただ単に炎属性の弾を飛ばすだけならファイアーボルト。

 土属性と混ぜて燃える石礫(いしつぶて)を射出すればファイアーバレット。

 風属性で空気を操って火力を向上させればヒートフレイム。


 だけど、俺がやろうとしているのはそのいずれでもない。


 準備段階として両腕をしっかり加護でコーティングしてから、炎属性の魔力を集める。

 赤熱化した両手から魔法の炎が燃えあがった。


「えっ……あいつ今、詠唱したか……?」

「いえ、聞こえなかったわ……」


 次に手のひらを合わせるようにして魔力を圧縮。

 このとき土属性の魔力を一瞬だけ混ぜて、射出するための単分子の弾体(バレット)を形成。

 手のひらの下部分はしっかりとくっつけたまま、指の方だけを開いていく。

 このとき竜の口をイメージして、対魔標的へと向けた。

 発射前段階として風属性の魔力を手の周囲に纏わせて火力を上昇させる。


「なんだ……あいつはいったい何をしようとしている!?」


 熱風を手で防御しながら、リードが何かを叫んでいた。

 マイザー教官殿が答える。


「……驚きましたね。アイレン君が混ぜ合わせているのは土属性と風属性です」

三属性混合(トリプル)だと!? そんなこと、王家でも一握りの者にしか……」

「ええ、できません。そもそも術式からして、あれは我らが使用している魔法とは違います」

「馬鹿な……」


 へえ、人類は三属性混合(トリプル)とか呼んでるんだ……なんかかっこいい。

 でも、この魔法で使う属性は四つなんだよな。


「……バスターキャノン!」


 最後の属性の役割は起爆剤。

 凄まじい爆音とともに単分子弾体が打ち出される。

 狙い(あやま)たず超高速の砲弾は対魔標的を撃ち抜いた。

 本来なら後ろの壁まで貫通するところだが……。


「んっ!!!」


 標的を支えていたミィルが瞬間的に加護を強化して、貫通を防いでくれた。

 めり込んで行き場を失ったエネルギーが命中箇所を中心に破裂して、標的を木っ端みじんに打ち砕く。

 だけどもちろん、ミィル自身には傷ひとつつかない。


「よし、うまくいったな。ありがとうミィル」

「どういたしましてー!」


 バスターキャノンなどなんでもなかったとでも言わんばかりに笑顔で手を振るミィルに、こちらも手を振り返した。

 俺はマイザー教官殿のところに戻って戦果を確認する。


「それでどうでした? ちゃんとできたと思うんですけど」

「ええ、属性を混ぜ合わせる技術に関しては見事でした。ですが、今の魔法では皆さんのお手本としては何の参考にもなりません」


 えっ、そんなー!


「な、なんだ。あいつてんで駄目だったみたいだな!」

「それはそうよね。威力はあったみたいだけど、ミィルさんが止めてしまった程度だし」


 一様に驚いていた生徒たちがいつもの調子に戻って笑い出した。

 マイザー教官殿が手をパンパンとはたく。


「そういうわけですので、皆さんはまず炎属性に土属性を掛け合わせたファイアーバレットの練習をしてもらいましょう。できる方は前へ。アイレン君とミィルさんは向こうで見学していてください」


 何人かの生徒たちが挙手すると、マイザー教官殿の指示で俺と入れ替わりに対魔標的のほうへと走って行く。

 仕方なくミィルといっしょに指定された壁際まで下がって、実習教練を始めるみんなを眺めた。


「うーん、何がいけなかったんだろう?」

「さー?」


 うーん…ミィルの直感でもわからないんじゃ、どうしようもないな。

 ふたりして悩んでいると、そこにひとりの人物がやってきた。

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「お前はサボってばかりいる!」と勇者に追放されたけど、俺のバフ抜きで大丈夫なのかな? ~全部が全部もう遅い。勇者を見限ってついてきた仲間たちは俺の『全自動支援』スキルで世界最強の英雄になれます~
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