15.炎属性魔法実習②
授業時間になると見たことのない教官がやってきた。
「おはようございます。私は魔法教官のマイザー。レンデリウム公爵家ゆかりの者です。王賓クラスを担当できることを誇りに思います」
王賓クラスを受け持つだけあって、なかなか腕の立ちそうな女性教官だ。
身に纏うオーラが生徒たちとはまるで違う。
俺たちにも一瞬だけ視線を送っただけで、特に何も言ってこない。
「では、まずは皆さんに炎属性の魔法を使ってもらいましょう」
わずかにざわめきが起こった。
なんで今更、炎属性の魔法を……という顔をしてる生徒が多い。
しかし、マイザー教官殿は慌てることなく話を続ける。
「攻撃魔法の中でももっともポピュラーで、破壊力を上げやすいのが炎属性です。それは何故なのか……リード様、お答えいただけますか」
「炎属性は、水属性を除いたさまざまな属性と組み合わせることで威力を上げたりなにかと応用の効く属性だ。土属性ならばマグマ、風属性なら熱風などを生み出せる」
リードの解答に他の生徒たちが驚いている。
どうやら知らない生徒が多かったみたいだ。
「そのとおりです。さすがは王太子」
「リード様、さすがですわ!」
「あなたこそ我らがセレブラントの誇りです!」
教官殿が笑顔で頷くと、他の生徒たちからも賞賛の言葉とともに拍手が贈られた。
「当たり前のことを答えたまでだ」
そうは言うがリードは満更でもない様子だ。
「……うーん?」
確かに今のでも正解と言えば正解なんだけど。
なんでリードともあろう者が、あんな間違いを?
マイザー教官殿も指摘しないし……。
なんて考えて拍手に参加してなかったら、リードに見咎められた。
なんか、またいらぬ不興を買ってしまったかも。
「……ところでマイザー教官。実技テストで不壊の大岩を壊した者がいるという話を小耳に挟んだのだが」
マイザー教官殿が目を見開き、一瞬だけこちらに視線を送った。
学院長から事情を聞いてるっぽいかな?
まあ、確かに生徒じゃないし人類裁定としてもセーフだ。
「リード様、その話は……」
「どうせならその者に手本を見せてもらうというのはどうかね?」
リードが目の前やってきて俺の肩を叩き、挑発的な笑みを浮かべた。
「派手な魔法でうまくパフォーマンスしたようだが、この授業では頭を使わんとな?」




