表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
そのガーゴイルは地上でも危険です ~翼を失くした最強ガーゴイルの放浪記~   作者: 大地の怒り
ファラの町編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/180

オークション2

本日二話目です、ご注意ください。



「それでは本日のオークションを開催します」


 レッサーデーモンの司会の男がオークション開始の挨拶を告げる。


 司会の合図とともに、早速テントの中からゴブリン奴隷を連れた出品者らしきフェアリーの女が出てきて、ステージの中央に立つ。


 とてもシュールな絵図だ。

 お二人さん、どういう関係だよ。


「本日最初の出品物はゴブリン奴隷の雄7歳、一族の特徴でもある手先の器用さは折り紙付きです。戦闘能力は低いですが、家事手伝い等に一人いかがでしょうか?」


 フェアリーがゴブリンをアピールする。

 拡声石を使用しているので、会場全体まで声が届く。

 

 ゴブリンというとダイダリアン達を思い出すな。

 あいつら元気にやってるかな。


 以前関わりがあった事もあり、ゴブリン奴隷を見ると少し複雑な気持ちになる。




 やがて雄ゴブリンのアピールが終わり、いよいよ入札タイムだ。



「最低入札金額は五万ゴールドとさせていただきます、それではどうぞ!」


 レッサーデーモンの男が声を掛けると、方々から声が上がる。


「五万六千!」

「六万五千!」

「八万!」

「十二万!」


「十二万ゴールド、もう他にいらっしゃいませんか?」


 進行役の男が他に入札者がいないか周囲を確認する。


「それではゴブリン雄奴隷十二万ゴールドで落札です」


 落札したのは筋骨隆々なドワーフの男だった。

 家事ではなく鍛冶の手伝い用に購入したのだろうか……


 そんな感じでトントンとオークションは進んでいく。

 出品商品は奴隷、食品、マジックアイテムがメインで、出品された中には俺と同じように部位欠損したオーガの奴隷もおり、落札されていた。


 オーガは戦闘で腕を失ってしまい、仕事もなく、食べるものも食べられず、身売りしたらしい。

 悲惨だが、この大陸ではこういったことは良くある、先ほどのゴブリンも似たようなものだった。


 失った部位を再生可能な回復魔法レベル5「ハイヒール」。

 リーゼクラスでないと使えない。

 俺の場合は強烈な呪いつきなのでそれでも治らないんだけど。


 よって大抵の場合は傷ついたままだ。

 

 それでも主人に気に入られれば治して貰える場合もある、自分を買い戻して再起することも可能らしい。

 

 奴隷といっても、この街においては最低限の保障はされているとのこと。

 しっかりと食事を与え、奴隷の心身を正常な状態に保つことが主人に義務づけられており、奴隷を魔法や薬の実験体にするなど、非人道的な行為は禁止されている。

 性的な行為についても同様だ。

 互いに同意が必要である。


 ゆえに奴隷たちはそれほど悲壮感漂う顔はしていない。

 

 ただ他の場所ではこれほど奴隷の扱いは甘いものではないらしいが……


 これも領主であるレイの意向だろうな。



「おお、いよいよ次だよ、僕が興味を持った商品は……」

「え?」


 ハイエルフのレイにして興味深いと言わせる商品か。

 どれ程のモノなのか、少し期待してしまう。

 

 俺の期待を裏切らないモノならいいんだが。

 少しは楽しませてくれよ。



「それでは次の商品に移りたいと思います、こちらの商品です」


 司会のレッサーデーモンが紹介に入る。


 出品者のケットシーの男が剣を装飾の派手な鞘にしまった状態で、両手に抱えてステージへと現れる。


(剣? 別に剣なんて珍しく、多少高価そうだけど)






 ステージ中央にきたケットシーの男が豪奢な鞘から剣をスッと引き抜く。

 刀身部分が徐々に露になっていき、衆目に晒される。



(別段変わった所を見えないが……)


 どこにでもある剣、俺はそう思っていた。

 ところが……


 男が剣に魔力を込める……すると




 カっと刀身部分がまばゆく光輝いた。


 まばゆい光がステージ周りを照らす。

 会場全体が昼かと見間違うほど強烈な光だ。



(ま……まぶしい、何だあの剣は?)


 込められた魔力に反応し、剣の格が一気に膨れ上がった。


 成程、レイが興味を持つのも頷ける。

 凄まじい力をあの剣からは感じるぜ。



 一体あの剣はなんだというのだ?

 

「なぁレイ、あれは?」

「凄いね、僕もこれ程の剣だとは思わなかったよ」

「あの剣は何だ? この位置からでも相当なモノだというのがわかるぞ」

「あれは……これから、(司会)が説明するよ」


 そうだな、やれやれ取り乱してしまったぜ。

 気をとりなおして、司会の説明を待つ。

 まぁ聞かなくても、あの剣に相当な魔力を秘めた素材を使用してるのは理解できるけど。


 さて……一体どんな素材を使用して造られた剣なのか。









「次の商品はこちら、ファラ山脈に棲む雷真龍ラザファム(・・・・・・・・)の鱗を用いて作成されたライトニングソード、最低落札価格は五百万ゴールドから!」








「………あ?」





 雷真龍ラザファムの……鱗?

 雷真龍ってあの雷真龍だよな?

 同名の人違いということはさすがにないだろう。


「うぉぉぉ!! 雷真龍の剣、すげぇ欲しい!!」

「なんだあの刀身の輝き、やべぇんだけど!!」



 オークション参加者達の興奮した声が次々とあがる。

 ほとんどの客がこの商品目当てに来ていた様子だ。



(うわぁ~~)



「これは二百年前、ある金髪の美青年から雷真龍の鱗を手に入れた武器商人が……」

  


 そして出品者のケットシーによるアピールタイムがこれまで同様に始まる。


 金髪の美青年て、人化したあいつ(ラザファム)だよな?


 妻に捨てられ、山に引きこもって堕落した生活をしてきた雷真龍ラザファムがこの二百年仕事もしないでどうやって生きてきたか……

 疑問に思っていた事だった、思いもしない形で知ってしまった。


 身を削る思いでお金を都合したってそういうことかよ。

 自分で自分の鱗をはがして売り飛ばしたのか。



 

(何やってんだよ、アイツは……)




「ね……君にとっても興味深い商品だろう?」


本日追加更新するかもしれません。

あと一話でオークション編は終わりです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ