表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

9/42

第7話 異世界のお洗濯は命がけ!?

 新米ママ(自称)の朝は早い。



「……ふわぁ」



 …………頭、すんごい重い。

 なんかベッドが狭い? 簡単に脚が出ちゃうんだけど……。


 あー。そっか。私、昨日、フリーゼの魔法で……。


 うわ、胸にでっかいもの……ついてる……。

 触っても……ぽよぽよするし……。

 ……うーん、寝返りしづらい。



「ゆめじゃ……なかった……」



 ……ダメ。

 また寝ちゃいそう。


 いつもスッキリ……起きれる……のに……。

 疲れてる、のかな……?


 でも、起き……ないと……。

 フリーゼの朝ごはん、つくって……洗濯……して……それから……。

 


「…………ん?」



 なんか、異様に重い?

 これ、胸の重さだけじゃないよね……?


 何かが乗ってる……?



「…………へ?」



 なんで!?!?


 なんで、フリーゼが私の胸の上で寝てるの???

 しかも胸をわしづかみにされてるんだけど。

 どういう状況???


 えっと。

 すごくスヤスヤ眠っているけど、起こしていいよね……?



「……ん」



 あ、勝手に起きた。



「あのー。何のご用でしょうか?」

「……」



 フリーゼ、なんでじっと私の顔を見てるの?

 何か言ってよ!

 こっちだってリアクションに困るんだけど!?!?



「んしょ」



 あ、何事もなかったみたいに降りた。

 なんか猫ちゃんみたい。

 


「えっと、おはよう?」

「……」



 わーお。わざとらしく目をこすってる。

 


「どこ行くの?」

「もうひと眠り」

「あっはい。おやすみなさい」



 …………本当に自分の部屋に戻ってった。



「……いったいなんだったの?」



 うーん。

 フリーゼって時々よくわかんないことするからなぁ。

 気分屋というか、無口というか……。


 まあ、気を取り直して、いつも通りの生活を過ごそうかな。

 


 


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆





 その日の昼下がり。


 

「リーたあああああああああああああん! 魔法教えてえぇぇぇ!!!」



 私はフリーゼの小さな体に抱き着いていた。



「いきなり何?」

「もう限界なの! 我慢できない!! だから、水魔法を教えてっ!」

「洗濯場に行ってたんじゃないの?」

「その洗濯場が地獄だったのよっ!」



 本当に大変だった!

 もう2度と行きたくないっ!



「ねえねえ! 聞いて聞いて」

「はいはい」

「洗濯場には主がいるじゃん! あのお喋り好きなおばさん!」

「……あー」



 このアンファンスにおけるド級の変人——アンファンス三大妖怪のひとり『洗い場の主』。

 一見ただのおばさんなんだけど、それはすべて巧妙に仕組まれた罠。

 彼女の恐ろしさは、外見だけでは全くわからない!



「私、こんな姿でしょ? だから、物珍しさで声を掛けられて……」

「……あー」

「洗濯に行っただけでもうこんな時間だったんだよ!? お天道様真上を過ぎちゃってるんだけど!」



 もう最悪なんだけど!

 前までの姿なら、そんなに目を付けられることはなかったのに!!!


 話の内容は世間話ばっかりだし、あんまり興味がない人の話をいっぱいされるし、何回も同じ内容が繰り返し聞かされるし、私が相槌や返事をする隙すらないし!!!


 声が枯れても、自分で回復魔法かけてまた話すんだよ!? 怖すぎない!?

 話に聞いていたけど、まさかここまでなんて……。


 もうあの洗濯場に近づきたくない……。



「だから、リーたん」




「さっきからなんなの、その『リーたん』って」

「フリー(・・)ゼだからリーたん。せっかくだから、愛称で呼んでみたいなー、って思って」



 洗濯場の主が子供を愛称で呼んでいるのを聞いて、うらやましくなっちゃったんだもん!


 

「……ふーん。別にいいんじゃない?」



 お、満更じゃなさそう。



「それで、水魔法を教えてくれる?」

「……今までは覚えようとしなかったじゃん」

「まあ、あんまり必要性がなかったから……」



 なんか呪文とか魔力のコントロールとか、私には難しすぎたからなぁ。

 それに、武闘家の方が性に合ってたし。


 でも、今回は生活のためになんとか覚えたい!



「お願いっ! がんばって覚えるから!!」



 フリーゼにとっては退屈かもしれないけど、後生だから!



「うん。いいよ」 

「やったっ!」



 あれ?

 フリーゼ、どこか嬉しそう?



「それじゃあ、早速練習ね」

「よろしくお願いします、リーたん師匠!」

「リーたん師匠……?」



 お、なんかさらに上機嫌になった?

 よくわかんないけど、やった!

 

 まあ、この時の私は想像もできていなかったんだけどね。

 


 フリーゼの真の恐ろしさを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ