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第22話 簀巻きにされて領主邸へドナドナドーナ

「……逃げられなかった」



 なにこの人。

 めちゃくちゃ動きが素早かったんだけど。


 あっさり捕まって、今は簀巻(すま)きにされて引きずらています……。


 体にまったく力が入らないし、秘孔とかそういうのを突かれたのかな?


 リーたんは……ベビーカーみたいなのに乗せられて、丁重に運ばれているし。

 悔しさのあまり涙目になってるじゃん。


 うわ、周囲の村人からの視点が痛い……。

 お願い、そんなかわいそうな目で見ないで……。消えたい……。


 うまくこの女性の隙をついて逃げだせないかな。



「ミースさん、これ以上私の手を(わずら)わさせないでくださいよ?」

「……はい」



 無理。

 この人、フォレッタよりおっかない。

 大人しくしておこう。



「……はあ」


 

 私たち、このままどうなるのかなぁ。

 やっぱり不敬罪? 首ちょんぱ?


 意外と短い人生だったなぁ。

 なんとかリーたんだけでも生かしてもらえるようにしないと。


 

「大丈夫ですよ。我が主は心が広いですから」

「なんで心が読めてるの!?」

「あなた、随分顔に出ていますよ?」



 あらやだ。

 私の表情筋、素直すぎ……!?



「逃げる時も顔に出ていたから、すぐに対応されたのか」

「それは違います。フリーゼ様の同居人は奇人変人で有名ですから、逃げるぐらいのことは予想の範囲内です」



 え、私、アンファンスの中だとまともな方じゃないの?

 そんなに変な行動をしているつもりないんだけど!?


 リーたん、私、まともだよね……? そうだよねっ!?

 ちょっ、気まずそうに目をそらさないでっ!



「そろそろ領主邸が見えて参ります」

「あの、私、この格好のまま謁見するんですか?」



 簀巻きにされているのですが。


 

「大丈夫です。後でちゃんと解いてあげますから」



 いや、その笑顔怖いんだけど!

 逃げようとしたこと、予想以上に恨まれてない!?



「あと、やっぱり私って不敬罪とかそういう……」

「大丈夫ですよ。主は面白いものが好きですから」



 この人、私を『面白いもの』扱いしてるんですけどっ!

 ちょっと! リーたん、なんでそんなに頷いてるの!?


 あと、ミーちゃんはそんなところにいたの!?

 リーたんの帽子の中は居心地よさそうね!?



「ちょっと! 助けてよ、ミーちゃん」



 小声でも会話できる。

 これぞ親子!


 

「ダイジョーブダイジョーブ。この人、敵意ないヨ?」

「そうかもしれないけど、領主様がどう考えているか……」

「いざって時は任せテ! アンファンスぐらい、水に沈めてあげるカラ!」

「それはやめてっ!」



 アンファンスの方が大事に決まってるじゃん!

 

 ミーちゃんが暴走しないようにしないといけない。

 他には領主様に不敬なことをしないようにして、リーたんの命だけでも助けてもらうようにお願いして……。

 注意事項多いな!?

 頭パンクしそう……。



「着きました。こちらが領主邸です」

「おー」



 まあ、何度か見たことあるんだけど。

 アンファンスでも外れの方にある豪邸。

 私じゃ天地がひっくり帰っても住めなそうだし、今のうちに目に焼き付けておこう。

 

 でも、正直チーパオ商会の方が大きくて豪華だし、どうしても微妙な気がしちゃうなぁ。



「あそこは我が主への嫌がらせ目的で作られましたから」

「へー」



 心を読んでくるのには、もう突っ込まないわよ?



「それでは、お入りください」



 おー。

 なんていうか、質素ながらも質のいい豪邸って感じ。成金感があまりない。

 

 あ、リーたんは興味なさそう。

 そうだよね。魔法関係ないもん。

 ミーちゃんは目を輝かせて、


 うーん、どっちもかわいい。


 こんな装飾たちより、娘たちの反応を見る方が眼福(がんぷく)眼福(がんぷく)

 


「それでは、まずは準備をしませんと」



 ちょっとっ! 

 この人、なんで服を脱がそうとするの!? 

 なんか興奮してない!?


 いつの間にかメイドに囲まれてるしっ!

  

 誰か助けてえええええええええ!!!




 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 


「……あの、お名前はなんでしたっけ」

「私の名前なぞどうでもよいではありませんか。メイド長とでもお呼びください」



 いつの間にか自分もメイド服に着替えてるし、この人、全く底知れない……!

 さっきまでのラフな格好は村の中で目立たないようにしていたのかな。


 

「私、なんでこんな格好を……」

「大変似合っておりますよ?」



 キレイなドレスを着せられちゃった。

 社交界に出るみたいなやつ!

 フリフリでめちゃくちゃかわいいし、女子の憧れみたいなやつ。

 

 でも、コルセットが苦しいんだけどっ!

 それに、スカートなんてチャイナドレス以来で恥ずかしいし……。

 こんなにヒラヒラの服、私が着ていいの?

 おかしいことになってない?


 

「……うぅ。なんでこんな目に」

「領主様の目を、あんな(きた)らしい服で(よご)すわけにはいきませんから」

「ひどいっ!」



 確かにちょっと汚れていたけど、あの服は気に入ってたのに……。



「それでは、ミースさん、フリーゼさん、ミーちゃんさん、主のいる来賓室にお越しください」

「あ、ボクもナンダ」

「当然でございます」



 ミーちゃんも関わる話ってこと?

 やっぱり不敬罪……?

 


「あの、私たちは何のために呼ばれたんですか?」

「それは我が主の口から説明されます」



 うわ、めっちゃ怖いんだけど。

 ドキドキする。



「それでは」



 ごくり。

 大きな扉が開くのが、異様に遅く感じちゃう。


 領主様。

 『辺境の英雄』と呼ばれている人。


 一体、どんな人なんだろう。



「フリーゼ様、ミース様、ミーちゃん様をお連れしました」

「うん、ご苦労」



 わー。

 すごいイケメンだ。


 まるで絵本の中から出てきたみたい。

 優しそうで、微笑みが光って見える。



「ようこそ来てくれたね」

 


 こんなにかっこいい人がこの世のいたんだ。


 でも、幻想的というか、少し疲れているように見えるような……?


 

「……わー」



 …………え。

 リーたん、なにその顔。

 顔が赤いし。

 目がちょっとトロンとしてるし。

 まるで恋する乙女みたいな……。


 ………………………。


 あ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~。


 はい。

 そうですか。


 わかりましたよ。


 目の前のイケメンは、王子様とかじゃ全然ない。

 私の娘にちょっかいを掛ける害虫だ。


 けっ!

 覚悟しやがれ!

 この女殴ってそうな優男がよおぉっ!


 不敬罪も上等だごらああああああああ!!!!

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