第13話 もう赤ちゃんプレイをしたいなんて言いません……
ミルクってどう出せばいいの!?
え、おっぱいから出るのは知っているけど、方法がわかんないんだけど!?
必死に踏ん張ればいいのかな?
それとも、思いっきり吸えば出てくるの?
わかんない。全然わかんないよ!
まだこの体になって3日目だよ!?
でも、フリーゼのために頑張らないとっ!
集中するんだ、ミース。
きっと私の気合が足りないだけなんだ。
全神経を胸に集中させろ。
おっぱいミサイルを宇宙まで飛ばす気でいくぞおおおおおお!!!!
うお――――――――!!!!
「いや、何か変なこと考えてへん?」
「変なことじゃないって! 待っててフリーゼ、すぐにお腹いっぱいにしてあげるからねっ」
「いやいや、落ち着き―て。あんさんから母乳が出る訳ないやろ」
「なんでやっ! 私がママとして半人前やからか!?」
「そういう訳やあらへんねんて。あと、混乱してうちのエセ関西弁がうつっとるで」
……はっ!
心の中の自分がトラ柄の服を着ていた気がする。
「イーリャン、私、どうすればいいの!? なんでもするよ!?!?」
「妊娠もしてへんのやから、出るわけないやろ。冷静になりーや」
「……あっ、そっか」
たしかに、そんな話を聞いた覚えがあるような。
「それにしても、どないしたもんかなぁ。誰かのお乳をもらおうにも、代替品を用意にするにも時間がかかってまう」
「んー、んー」
「なんや妖精、何か策があるんか? 口輪を解いたる」
「……ふう。喋れないって辛いネ」
「余計なことを言ったら、また縛ってやるさかい、覚悟しときぃ」
「イーリャンのお尻、意外と大きいよね、トカ?」
あっ。
「ほう。いい度胸やわー。いますぐそのカワイイお尻と口に爆竹でも咥えさせてやりましょか?」
「ちょっと、本気でやる気じゃなイ!? ママ、助けてー」
「今まで」
「そんナ!? もうネグレクト!?」
イーリャンがお尻の大きさにコンプレックスを抱えてることは知ってるから。
ちょっとあなたはお灸をすえてもらった方がいいです。あと、私を巻き込まないでください。はい。
「それであんた、母乳でも出せるんか?」
「うん。出せるヨ」
「はあ!?」
「もちろん、魔法でだヨ。成分がわかっていれば、お茶とあまりかわらないからネ」
「あっ、そうだよね」
一瞬ドキッとしちゃった。
「じゃあ、早速頼むわ。ミースもそれでええな?」
「うん。ミーちゃん、うんとおいしいのをお願いね」
「まかせといテ!」
おおー。
手からミルク出してる。
水の妖精の力って便利だなぁ。でも、あんまり頼り過ぎないように頑張らないと。
「これくらいでイイ?」
「十分や。じゃあ、布に入れて、絞りながら与えましょか。ミース、どうや?」
「え、私がやっていいの?」
「一応、あんさん、フリーゼのママのつもりやろ?」
「……ありがとう」
イーリャン、私をフリーゼのママとして扱ってくれるんだ。
本当に優しいなぁ。
「えっと、赤ちゃんってどう持てばいいの?」
「こう抱えれば安定するやろ?」
「おー。本当だ」
「それで、こうやって少しずつ絞って飲ませるんや」
「あー。かわいいなー」
フリーゼ、一生懸命ミルクを舐めてるの、癒し系すぎる。
いつもはクールで
赤ちゃんの時のフリーゼも最強すぎる。
「ミース、ちょっとええか?」
「なに?」
「ぶっちゃけ、今の状況をどう思ってるんや?」
「なんで今聞くの?」
「フリーゼがこんなんなってるタイミングしかできない話やからな」
確かにそうか。
フリーゼ、結構責任を感じて抱え込んじゃうもんね。
「結構楽しいよ」
「ほんまか? 無理してへんか?」
「無理かー。無理ってよくわからないからなー」
無理をしてる時って、その時は気付かないけど、後から気付くことが多くない?
「じゃあ、今の姿と前の姿、どっちがええんや?」
「今のところは今の姿の方が気に入ってるかも」
「なんでや?」
「うーん、なんていうか、フリーゼと接しやすくなったから」
男の姿のままだと、なんだか緊張とかがあった気がする。
本当に一緒に住んでていいのかなぁ。
フリーゼの将来に悪影響なことになっていないかなぁ、って。
でも、今はママとして接しているから、そんなことを気にする必要が無いなー、って思ってる。
「うちは元の姿の方が好きやったなー」
「え、意外。女装させられてばっかりだったのに」
「わかっていまへんなぁ。あれはかわいい男にかわいい服を着せて、恥ずかしがっているのを楽しむもんや」
「悪趣味だなぁ」
でも、性癖って人それぞれだよね。
「元に戻りたくないんか?」
「どうだろうね。今必死に生きて、人生を満喫することしか考えられないよ。男でも女でも、周りの人を笑顔にしたいなーってだけ考えるようにしてる」
「後悔しないように、やないんか?」
「後悔かぁ。後悔なんてしてもいいと思ってるから」
いっぱい反省して、悔やんで、地団駄を踏んで、後悔を糧にして前に進む。
そういう生き方が一番自分に合っていると思ってる。
「ミースってたまに大人びたこと言いよるよなー」
「まあ、これでも転生者だからね」
「……ん?」
「あっ、そっか。イーリャンにも言ったことなかったっけ」
「そんなけったいなことを言い忘れるなんてアホちゃいますか!?」
そうは言われても、私にとって転生者なのは当たり前なんだもん。
隠すようにことでもないし、ひけらかすことでもないんじゃないの?
「……はぁ。転生者ならもっと大人っぽくあってほしいもんやわ」
「ごめんねー。私、こんなんだから」
「まあ、そっちの方がミースらしくてええわ」
「ありがとう……でいいのかな?」
「大丈夫や。ちゃんと褒めとる」
「おぎゃああ! おぎゃあああああああ!!」
あっ。
またフリーゼが泣きはじめちゃった!
今度はなんで泣いてるんだろう?
「あー。これはおむつやな。ミース、交換してみるか?」
「うん、やる」
「よし、頼んだで」
よし、おむつを脱がせてっと。
うわー。結構すごいことになってる。
……あれ?
突然光りはじめたんだけど!?
まさかっ!
魔法が解ける予兆!?!?
今おむつ交換中なのにっ!
あぁ…………。
阿鼻叫喚ってこういう状況を言うんだ……。




