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【完結】絶対に私は勇者パーティーに入りません!!~勇者パーティーに入ればバッドエンド確定の不遇なサブキャラに転生したOLの生き残りを賭けた戦いが、今ここに始まる  作者: 楊楊
第六章 勇者と魔王

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97 リルリランドの危機 2

私が闇落ちしているかどうかは置いておいて、とにかくリルリランドの危機を救わなければならない。ある程度の仕事に目途を付けて、リルリランドに向かった。

リルリランドでは住民総出で、防衛作戦に当たっていた。運用だが、比較的体が大きく力が強い種族はドーラとギーガが二つの部隊に分けて運用している。ダークエルフなどの弓や遠距離攻撃が得意な種族はミザリーがまとめ、戦闘に適さない種族は諜報活動や後方支援などで運用し、セバスが取りまとめている。


リルとリラはというと戦力分析のため、敵陣に潜り込んで諜報活動をしている。領主自ら敵陣に潜り込むなんてと思うかもしれないが、リルとリラよりも諜報活動が得意な者はいないのだ。ある程度、こちらの防衛体制が整ったところで、リルとリラが情報を持って帰って来た。


リルとリラの情報を聞くと私は少し憂鬱になった。


空からの攻撃も対処しなければいけないのか・・・・


襲ってくる戦力は、ギガンテス族とトロル族の巨人部隊と鳥人族を中心とした飛行部隊らしい。飛行部隊で牽制し、巨人部隊が数と力で蹂躙する作戦のようだ。

リルとリラが付け加えて言う。


「なんか、『絶対に許さん!!仇は討ってやる』とか言ってました。私達とは接点がないのに・・・」

「そうなんです。それとギガンテス達とかとは別の集団が色々と準備をしたり、煽ったりしてましたよ」



「ちょっと待って!!それってもしかしたら、ギガンテス族やトロル族達も騙されてるって可能性があるわね。もしかしたら、最初の工作が上手く行かなかったので、作戦を切り替えたのかも・・・」


ミザリーが言う。


「それなら交渉で被害を少なく抑えたいですね。諸悪の根源はエジルでしょうから」


セバスが言う。


「ただ、巨人族は頭に血が上りやすく、怒り出すと止められない感じなので、一直線に向かってくると思うのですが・・・」


「とりあえず、相手にも話を聞きたいので、なるべく人命に配慮した戦いをしましょう。そうなると・・・」


使用する武器を考えなければならない。殺傷力が低く、相手を確実に足止めできるものってあったかなあ・・・。それと、問題は飛行部隊の対策だ。バーバラ達がいれば魔法でどうにかなっただろうけど、無いものねだりをしても仕方がない。私は懸案事項を話す。


ミザリーが言う。


「それなら問題ありません。ライラさんから実験的な兵器をもらってますから。ネットランチャーというんですけど」


最初にライラが開発したのはボール型で、投げて相手に当たると網が中から出て捕縛できる魔道具だ。犯罪者の捕縛用で、開発したんだけど、それを弓に取り付けられるようにしてネットボールからネットランチャーに進化させたらしい。

弓の名手のダークエルフには最適の武器だろう。


「網に絡まって地上に落下して痛い思いをするかもしれませんが、それぐらいは我慢してもらいましょう」


後は地上の巨人部隊だが、これにはギーガが提案してきた。


「ギガンテス族の族長とトロル族の族長と俺で四天王の座を争っていたので、因縁があります。一騎討ちで二人まとめて打ち倒せば言うことを聞くと思います。あの二人は本当に馬鹿だから力で分からせないといけませんからね・・・」


「二人には勝てるの?」


「大丈夫ですよ、クリスさん。「パワーファイター」となって経験を積んだ俺に勝てるはずはありませんよ」


そういえばギーガは上級職をマスターしたんだった。以前のギーガとは違い格段に強くなっている。もうレナードと互角に渡り合えるくらいにはなっている。それに一対多の戦闘に限ればギーガが上だろう。「アースクラッシュ」という「パワーファイター」のマスタースキルを習得しているからだ。「アースクラッシュ」はハンマーなどの打撃系の武器で地面を思いっきり叩くと振動波で、敵が動けなくなるのだ。

人命を考えなければ、この状態でドーラの「殲滅の鉄球」と私の鞭攻撃を駆使すれば、あっという間に壊滅させられるだろう。


というか、ここまで魔王軍を強化してしまったことを考えると闇落ち判定されても文句は言えないかもしれない。


まあ、そんな話は置いておいて、こちらとして一番困るのは飛行部隊と地上部隊が連携して攻撃してくることだ。そうなればこちらも本気を出さなければならない。そうなれば相手方に死者が出るだろう。今にして思うが、バーバラやアイリス達が居てくれたらもっと楽だったのにな・・・・・


★★★


2日後、魔族の大群が攻めて来た。

しかし、幸運なことに飛行部隊と地上部隊が連携して攻撃してくるのではなく、飛行部隊が単独で攻め込んできたのだ。


冷静に考えれば、地上部隊と協力して攻め込んだほうが勝率が上がるはずなのに・・・・

鳥人達は口々に叫ぶ。


「卵を返せ!!」

「大切な女王様の卵をよくも!!」


言っている意味はよく分からないが、何か冷静にできない理由があったのだろう。

こちらとしては、地上戦力用に取っておいたドーラとギーガが使えるので有難い。ダークエルフが弓に取り付けたネットランチャーで、ドーラとギーガがネットボールを鳥人達に投げ付けて、次々と地面に落としていく。鳥人達の遠距離武器は投げ槍しかないので、こちらの方が圧倒的に射程距離が長い。ギーガにあっては網で相手を地上に落すというよりはボールの威力と衝撃で鳥人達を地面に落していた。それにコントロールも抜群にいい。本当に強くなったのだと思う。今なら勇者パーティーが相手でも瞬殺できるだろう。


しばらくして、鳥人達が全員地上に落ち、拘束された。ネットランチャーの網がそのまま使えるので拘束は楽だ。鳥人達の代表者にミザリーが尋問をする。


「なぜこのようなことをしたんですか?キチンと説明しなさい」


「ま、魔王ミザリーか!!よくも女王様の卵を!!魔王の風上にもおけん卑怯者め!!先代のピエール様に手を掛けたのも貴様らしいな!!

我らは貴様を魔王と認めん!!殺すなら殺せ!!」


「ちょっと言っている意味がよく分からないのですが・・・・」


「ここまできて白を切るつもりか?証拠はあるんだ・・・・・」


鳥人族の代表者が言うには、鳥人族の女王の卵が盗まれたそうだ。そして犯行現場には、「卵を返して欲しくば、1000万ゴールドを用意してリルリランドに来い」という犯行声明文が残されていたそうだ。そして、エジルの懐刀のゲマルがたまたま付近を通りかかり、卵を盗んでいる者達を発見し、犯人グループの何人かを打ち倒したそうだ。


言っていることは怪しすぎるし、言っているのがそもそもエジルの懐刀のゲマルだ。ゲームでは、ゲマルは工作員として暗躍し、どこか憎めないリルとリラと違って、やっていることがエグい。村一つを襲撃して村人を惨殺したり、ミザリーの故郷の村を襲ったのもコイツだ。ライラが大怪我を負った冒険者パーティーの裏切り事件もコイツが犯人ではないかと私は睨んでいる。


「それにゲマル殿が打ち倒したのはダークエルフとゴブリンとコボルトだった。それは俺がこの目で見たので間違いない。他種族、それもハーフと弱小種族が協力してこんなことをするなんて、リルリランドの者達しかありえない。これでも言い逃れをするのか?」


私はその代表者に言った。


「ゲマルとかいう奴が嘘を吐いていない証拠はどこにあるのでしょうか?それにその卵ですけど、ここの住人には必要のないものです。この町はハーフや弱小種族が安心して暮らせるというのが売りです。わざわざもめごとを起こす必要がどこにあるのでしょうか?」


「そ、それは・・・・」


代表者は黙り込んでしまった。

ミザリーが言う。


「これは女王の命令ですか?」


「いや、俺達の独断で来た。女王様には落ち着いて頭を冷やせと言われたが・・・・」


「だったら、一度頭を冷やしたほうがいいでしょうね。女王には私から連絡を入れておきます」


鳥人達も工作活動に引っ掛かったようだった。ということはギガンテス族やトロル族も同じようなものだろう。

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