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【完結】絶対に私は勇者パーティーに入りません!!~勇者パーティーに入ればバッドエンド確定の不遇なサブキャラに転生したOLの生き残りを賭けた戦いが、今ここに始まる  作者: 楊楊
第六章 勇者と魔王

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88 人材育成 2

次の日からリルとリラ、ギーガ、ミザリーの研修をスタートさせた。

リルとリラ、ギーガは新人研修の要領で行った。私も商社時代に何度か担当したことがある。上司からは「早く学生気分を無くさせろ」と指示され、ちょっと厳しくすると新人が「辞めます」と言ってくる。すると上司が「そこまで厳しくしろとは言ってない」と怒ってくる。


辞めたいのはこっちだ!!


まあ、今となってはいい思い出だ。私が担当した新人達も今では研修担当者になっている。そのうち私も研修担当者に「早く学生気分を無くさせろ」と指示する立場になるのだろうか?


まあ、そんなことはさて置き、新人研修は徹底したスパルタ方式にした。辞める心配がないからね。

分刻みのスケジュールを作り、それを守らせる。訓練所での基礎訓練、魔物討伐訓練のほか、バーバラに頼んで魔法の授業もしてもらった。それにギーガには転職もさせた。予定としては「重戦士」、「拳闘士」をマスターした後に「パワーファイター」という上級職に転職させる。

転職のとき、ギーガのジョブが「鬼棍棒」という謎のジョブだったので、デブラス副神殿長は首を傾げていたけどね。

まあ、四天王が転職するなんて全くの想定外だろうし・・・


それに幹部として必要な事務処理能力も身に付けさせることにした。リルとリラを散々甘やかしてきたことを後悔したからだ。いきなり報告書は書けないので、毎日日記を書かせることにした。リルとリラは文句を言っていたが、鞭打ち刑にして無理やりやらせることにした。

日記は酷い内容だったが、三人の心境が分かり、ある意味面白かった。私も三人の日記にコメントを書いて返却している。交換日記をしている感じだ。

それで、早い段階でギーガの為人も分かった。これはある日の日記だ。


ギーガ

僕は間違えていました。もっと強い人はいっぱい居るし、頑張らないと四天王になれないと分かりました。全力で訓練やお仕事頑張ります。それとここには綺麗で強い女の人がいっぱい居ました。

棍棒に例えるとドーラさんは大きくて固い棍棒、アイリスさんは固いけど、軽い感じの棍棒、クリスさんは、得体の知れない禍々しい恐怖の棍棒といった感じです。三人の誕生日には高価な棍棒をプレゼントしたいと思います。


クリス

頑張ろうという気持ちは分かりましたが、女性を棍棒に例えてはいけません。それに何人もの女性を口説くのはよくありません。プレゼントするなら自分の趣味を押し付けるのではなく、その人の気に入りそうな物をプレゼントしましょう。



ギーガは真面目で頑張り屋だが、圧倒的に常識が欠如している。それと威張り散らすことが威厳を示すことだと勘違いしているところはリルとリラと同じだ。

まあ、少しずつ指導して、四天王として相応しい人物にしていこう。


一方、ミザリーはアイリスの補佐ということにして、アイリスの仕事を手伝いながら、魔王として相応しい能力を身に付けさせることにした。アイリスは言う。


「私が指導するんですか?しかも魔王を?絶対無理ですよ」


「アイリスなら大丈夫よ。今の時代、すぐに若手が新人を指導するなんて常識よ」


「そういうことならやるだけやってみます」


アイリスとミザリーも相性がよく、仲良くやっているようだった。そこに私も加わってランチを食べに行ったり、休日に買い物をしたりと、意外に楽しい感じでやっていた。



★★★


研修は上手くいっていた。心配事といえば、セバスがまだ帰ってこないことぐらいだが。


「ギーガ、今日の予定は?」


「はい、午前中は訓練所で訓練、午後からは物資の搬送、夜は「ルイーザの台所2号店」で接客業務です」


「よろしい。リルとリラ、それぞれの注意点は?」


「訓練ではサボらない、物資の搬送は早く確実に」

「ルイーザさんを怒らせない」


「そこは「キチンとした接客をする」でしょ。それができれば、結果としてルイーザさんは怒らないと思うけど・・・」


実はバーバリアに冒険者ギルドができた関係で、アリレシアにあった「ルイーザの台所」の系列店ができることになった。軌道に乗るまではルイーザさんも店に出る。


「じゃあ、今日も頑張ろう!!夜はみんなで食べに行くからね」


リルとリラは見た目は狐獣人と魔族のハーフの可愛らしい美少女だ。真面目にしていれば嫌われることはまずない。少し我儘を言っても許されてしまう。それが良くなかった。私もヤマダ商会のみんなも、知らず知らずのうちに甘やかしてしまっていた。ここは心を鬼にして厳しく接することにした。そんな理由から、リルとリラに当初から厳しく躾けてくれていたルイーザさんに指導をお願いすることにした。


ギーガはやっぱり頑丈で、力が強い。それに不器用だけど、言われたことは一生懸命に頑張るので、力仕事の現場では重宝されている。後は事務処理能力を高め、部下を指揮できるようになれば、四天王としてやっていけるだろう。


一日の業務を終えて、アイリス、ドーラ、ミザリーと合流する。ミザリーのことをどうするか、未だ決めかねているので、ムリエル王女やバーバラには声を掛けていない。ドーラに声を掛けたのは魔族とのハーフで元犯罪組織のリーダーだったので、いいアドバイスがもらえると思ったからだ。

「ルイーザの台所2号店」に入るとルイーザさんに席に案内された。私はルイーザさんに三人の様子を訪ねた。


「ギーガは真面目にやっているけど、ちょっと不器用で融通が効かないね。リルとリラは相変わらず、こっちが見てないところではサボっているけどね」


何となく想像がつく。

しばらくして、ギーガが料理を運んで来た。


「こ、これは魔王・・・じゃなくてミザリー様、これは俺・・・じゃなかった・・・私がお作りしたグレートボアの角煮です。グレートボアも私が先日狩った物で、3日前から煮込んでます」


ギーガの作った角煮を食べた。三日間煮込んだだけあって、口に入れた瞬間にとろけた。それに味付けもいい。

ミザリーが言う。


「これは凄く美味しいわ。魔王領で売り出してもいいと思うくらいよ。最近クリスさんから聞いているけど、頑張っているらしいわね」


「は、はい。立派な四天王になれるように頑張っております」


ギーガはミザリーに褒められて嬉しそうだ。

一方、リルとリラはルイーザさんに怒鳴られていた。


「何つまみ食いしてんだい!!」


「ギーガの角煮が美味しかったので味見を・・・」

「そうです。大切なお客様のために毒見を・・・」


相変わらずだった。


「ところでミザリーさん、ギーガとリルとリラは今後どうしようとお考えですか?」


「そうですね。ギーガはこのまま心を入れ替えて頑張ってくれるようならすぐに四天王に復帰させようと思います。ただでさえ信頼できる臣下は少ないですからね。リルとリラの四天王入りはとりあえず保留ですね。ただし、領主という立場もありますので、「魔将」と幹部工作員の地位はそのままにします」


アイリスが言う。


「まあ、そうなりますよね。ギーガさんは真面目ですからいいとして、リルとリラはすぐに調子に乗りますからね。四天王にした日には『私達は四天王で偉いんだ!!』とか言って威張ってくると思いますよ」


私もそう思う。しばらくこのまま、真面目に研修をさせよう。


それからは雑談が中心だった。他愛のない話しばかりで女子会っぽくなってきた。そんなとき、ドーラが少し浮かない顔で言ってきた。


「相談ってほどじゃないんだけど、ちょっと心配事があってね。「謎の盗賊団」のことなんだけど、メンバーが増えてね。サマリスとリルとリラの三人にクリストフが加わったんだけど、更に人数が増えてね。ギーガとミレーユまで入ったんだ」


「なぜそうなるの?」


「それが分からないんだ。ギーガはリルとリラにしつこく勧誘されて入ったみたいだけど、クリストフが入ったのも謎だし、ミレーユなんて謎過ぎる。

アタイの今までの人生を振り返ると上手くいっているときほど、悪いことに巻き込まれるんだ。だから「謎の盗賊団」が何かやらかすんじゃないかって心配でね。いい奴らばかりだけど、今までも子分達が頑張って何かをしようとしたことで、最悪の結果になったからね・・・・」


メンバー的にもちょっとヤバい気かがする・・・・


「分かったわ。これは私自ら調査します」


「悪いねえ。杞憂だといんだけど・・・」

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