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【完結】絶対に私は勇者パーティーに入りません!!~勇者パーティーに入ればバッドエンド確定の不遇なサブキャラに転生したOLの生き残りを賭けた戦いが、今ここに始まる  作者: 楊楊
第三章 行き詰った勇者パーティー

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42 トンネル開通式 2

トンネル開通式の前日、ランカシア帝国の皇帝夫妻及びサンクランド魔法国の国王夫妻がムリエリアに到着した。ランカシア帝国の担当がサマリス王子、サンクランド魔法国の担当がムリエル王女だ。二人の紹介で皇帝夫妻と国王夫妻に挨拶をする。


「そなたがクリスティーナ嬢か・・・降りかかった不幸に負けず、それでもダグラス王子を支えようとした姿勢は称賛されるだろう。戦えなくなったとはいえ、武人は武人だ」


武を誇る。ランカシア帝国の皇帝に褒められた。


「娘が世話になっておる。剣しか興味のなかったアイリスがこうも変わるとは・・・」


「彼女は優秀ですよ。それに晩餐会ではもっと驚くことになりますよ」


サンクランド魔法国の国王でアイリスの父親にも、当たり障りのない挨拶を交わす。


そんなとき、ロトリア王国の国王が声を掛けてきた。


「クリス殿、ところで面白い余興があるとのことだが・・・・」


「はい、企画や運営はこちらのアイリス王女にしていただきました。大変楽しめる中身となっていますよ。それにアイリス王女の優秀さが分かると思います」



★★★


VIP達を専用の観覧席に案内する。

それと同時に音楽が鳴り響き、アナウンスが響き渡る。


「赤コーナー!!破壊的な筋肉を持つパワーファイター!!レッドオーガの入場だ!!」


赤色のマスクを被り、ビキニアーマーに身を包んだ大柄な女性が入場して来る。

実は中身はドーラだ


「青コーナー!!スピードとパワーを兼ね備えた万能ファイター!!セクシーブルーの入場だ!!」


青色のマスクを被り、こちらもビキニアーマーを身に付けているのは、リンダだ。


なぜこうなったかというと、様々な事情が複雑に絡み合ったからだ。


ドーラとリンダの決闘騒ぎだが、まず、二人の立場から考えてそのまま決闘をさせるわけにはいかない。それに本気の決闘でどちらかが命を落としても馬鹿らしい。なので、素手による戦いで決着をつけることにしたのだ。

公然の秘密として、レッドオーガはドーラ、セクシーブルーがリンダということはムリエリアの市民達は承知している。また彼らには、ドーラとリンダが揉めていたのはこの一戦を盛り上げるための雰囲気づくりということにもしている。

国内の貴族達にとっては、覆面を着けた怪しい女性が、余興として、素手で戦うくらいにしか思っていないし、当のリンダは決着が付けられればそれでいいとのことだった。


「今回のルールを説明します。60分1本勝負、60分で勝敗がつかない場合は引き分けとさせていただきます。そして、今回レッドオーガ選手とセクシーブルー選手の体重差がかなりありますので、公平を期するため、セクシーブルー選手には「ヤマダ商会」が提供する身体強化薬を飲んでの戦いとなります」


普通にやればドーラの圧勝なので、そうなればリンダも立つ瀬がない。なので、リンダを説得し、身体強化薬を飲ませることにした。これで、力やHPなどのステータスはほぼ互角となった。それと瞬殺だけは避けてくれと一応ドーラには頼んでいる。


試合開始のゴングが鳴るとリンダが一気に間合いを詰めてドーラを殴りつける。

因みに今回の会場はプロレスやボクシングのリングを参考にしている。


リンダはロープ際までドーラを追い詰めた。しかしドーラはロープの反動を利用して、体当たりを喰らわせてリンダを吹っ飛ばす。リンダはリングに叩きつけられたがすぐに起き上がった。以後は、リング中央で激しく打ちあいが続く。

30分程、そんな攻防が続いていただろうか、両者の消耗が激しいことからレフェリーの判断で3分間のブレイクタイムを取ることとなった。ドーラはまだまだ余裕があるみたいだが、リンダは肩で息をしている。

そんなとき、リンダに近付く者がいた。


リルとリラだ!!


私は嫌な予感がしたことから、国王達に気付かれないように「隠密」のスキルを使って。リングに近付く。


「リンダさん、これを飲んでください。3分だけですが、物凄く筋力がアップするんです」

「そうです。リンダさんが負けると私達は大損ですよ」


「いやしかし、私は正々堂々と・・・」


「ルール的には問題ありません。身体強化薬を飲んで公平にするってことになってますから」

「そうです。勝てばいいんですよ。勝って勇者パーティーの力を示さないと!!」


結局、リンダは追加で身体強化薬を飲むことにした。


遅かったか・・・。多分あれは、研究中の新薬だ。かなり、能力がアップするが、副作用が大きい、それに今の状態で飲んだら・・・・



試合が再開される。

リンダが雄たけびをあげると、リンダの筋肉がどんどんと膨張する。そして、悲劇が起こってしまった。

ビキニアーマーが張り裂けた。

会場は騒然となる。リンダはその場にうずくまり、状況を把握したレフェリーとドーラがリンダを観客から隠すように立ちはだかった。

セコンドも唖然としていたが、すぐに動き出し、リンダにタオルを掛けた。


結局、試合は没収試合となった。観客は「試合も盛り上がったし、いいものが見られた」と言って喜んで帰っていった。



私はというとリルとリラを訓練所に連れて行き、鞭で滅多打ちにしている。


「ヒッ、ギアー、もうやめてください。魔が差しただけなので・・・」

「リンダに今月の給料全部を賭けたんで、仕方なかったんです」


コイツら碌なことしやがらねえ!!


「しばらく反省してもらうから、3ケ月間、給料は5割カットね」


私は訓練所を立ち去った。後に響くのはリルとリラの悲鳴だけだった。




★★★


リルとリラのせいで、大変なことになったが、何とか収まってくれた。サンクランド魔法国の国王もランカシア帝国の皇帝も「初めてのことはハプニングが付き物だ」と言って大笑いしてくれた。両国ともに身体強化薬が完成したら是非販売してほしいとの依頼を受けた。

件のリルとリラだが、リンダに賭けた理由は単にオッズが高かったからだという。ムリエリアではドーラの強さは広く知られていることから、大儲けを狙ったそうだ。

それとドーラとリンダだが、よく分からないが和解し、仲良くなっていた。拳で語り合ったことがよかったのかもしれない。



肝心のトンネル開通式だが、予定通り執り行われ、トラブルもなかった。

ムリエリアで式典を終了した後、VIPを含めてトンネルで向こうの大陸に渡る。そこでも式典が行われ、帰りは、氷結魔法で海を凍らせて帰ってくる。

今後のことだが、トンネルが開通しても海を凍らせて通行することは観光資源としても有用で、週に一度、執り行うことになった。そして、月に一度は逆から凍らせてほしいとの要望があり、今回は記念すべき第一回目となったのだ。


氷結魔法はバーバラだけでなく、ミレーユも一緒に放つ。


「いいぞ!!氷結姉妹!!」

「妹もお姉ちゃんも頑張って!!」


いつの間にか、そんなユニット名が定着していた。

まあ、ミレーユならこれくらいはできるか。


ミレーユはロトリア王国の宮廷魔導士団に所属する女性で、プレイヤーの選択によれば、勇者パーティーに加入させることができる。魔法のスペシャリストといったキャラで、氷結魔法に特化したバーバラと比べると威力は多少劣るが、全属性が高レベルで使えるので、どちらをパーティーに入れるかで、プレイヤー間で意見が分かれるところであった。


ていうか、ミレーユまで来てたのか・・・・。これは戦力が集中し過ぎて、逆に怖い気がする。

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