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125 東ルート

バーバラからの戦闘が始まるとの報告を受け、私とギーガ、プーランはタツメの背に乗って、バーバラ隊が戦う戦場に向かうことになった。


バーバラ隊の戦力はこんな感じだ。


東ルート

兵力約1万 総大将バーバラ(ベビタンを含む)

ライアット隊長以下ランカシア帝国兵6500名(重装騎兵隊、魔道騎竜隊、補給部隊を含む)

アイリス隊長以下サンクランド魔法国兵3500名(補給部隊、ホバークラフト隊を含む)

支援治療部隊(クリストフ、ミレーユ)


タツメに乗って移動していたところ、上空でバーバラとベビタンに出くわした。ベビタンは飛行魔法が使えるので、専用の器具でバーバラを抱きかかえるように固定して、空中を移動している。ベビタンがパラグライダーのインストラクターのような感じだ。可愛らしい二人の光景に思わず笑みがこぼれる。


「よく来たのう。ただ、大したことはせんがな」


「でも、前回の戦いでも余裕だったんでしょ?ダグラス隊は指揮官を見付け出すのにかなり苦労していたからね」


「まあ、見ておれ。わらわとベビタンがいれば、そんな心配はないわ」


しばらくして、アンデットモンスターの大群が現れた。こちらも5万近い数だ。単純に5倍以上の戦力差がある。通信の魔道具(トランシーバー型)でバーバラが指示をする。


「魔法部隊、一斉射撃せよ!!」


「ライアット了解!!魔法部隊、射撃開始!!」


一斉におびただしい数のファイヤーボールがアンデットモンスターの集団に飛んでいく。バーバラ隊は総大将のバーバラを筆頭に魔法部隊がライアット、騎兵隊をアイリスが指揮しているようだった。


「指揮官の悪魔は、こちらが魔法を放つと魔法障壁を展開するのじゃ。それでいくら擬態魔法を掛けようともこちらに丸分かりということなのじゃ。それに同じ悪魔のベビタンはある程度の場所は分かるようじゃからな」


「バーバラ様、2時の方向に3体、10時の方向に4体います」


パッと見た感じだと普通のスケルトンやグールと変わりはないが、よく見ると部隊を指揮しているように見える。


「よし!!インビジブルアイスカッター」


そう言うと、ベビタンが指示した悪魔の指揮官の首がどんどんと刎ね飛んでいく。

私達が驚いているとバーバラが解説する。


「ただのアイスカッターを透明にしただけじゃ。魔法研究会のネタ魔法として開発したのじゃが、こんなところで役に立つとは思わなんだ。そこそこのランクの悪魔じゃから気付かれたら魔法障壁を張られるからな」


「バーバラ様、指揮官の半数は討ち取りました。残りの指揮官は撤退するようです」


「分かった。騎兵隊の者ども、出番じゃ。わらわの魔法の後に敵を殲滅せよ!!

インフィニティアイシクルランス!!」


無数の氷の刃がアンデットモンスターを襲う。指揮官がいない状態なので、アンデット達は大混乱だ。そこをすかさずアイリスを先頭に騎兵隊が突撃をする。

あっという間にアンデットモンスター達は殲滅された。


サンクランド魔法国兵を中心とした圧倒的火力、バーバラとベビタンの索敵能力、そしてランカシア帝国自慢の騎兵隊の打撃力が噛み合っている。

戦況が落ち着き、事後処理が終わったところで、軍議を行うことになった。


死者はおろか、重傷者も出していないので、みんな明るかった。


「戦況報告は以上じゃ。何かある者はおるか?」


私が質問をする。


「ベビタンに質問したいんだけど、悪魔について教えてもらえない?できれば対処法なんかも」


「分かりました。僕達悪魔はここと違う次元で普段は暮らしています。こちらの世界に来るにはこちらの世界の契約者と契約しなければなりません。契約には対価が必要で、大体が死者の魂ですね。契約者の寿命や体の一部なんてのもありますが」


「どれくらいの魂が必要なの?」


「呼び出す悪魔の格によって違ってきます。悪魔には下から、ベビーサタン、サタン、グレーターサタン、レッサーデーモン、デーモン、アークデーモン、デーモンロードの格があり、デーモンロードは正直ヤバいですね。世界が亡ぶレベルです。

悪魔は一度倒すと魔界に戻ってしまいます。再度呼び出すには再契約するしかありませんので」


ここでギーガが空気の読めない質問をして、場を凍り付かせる。


「ところで、ベビタンはどれくらいの格なんだ?それに対価ってどれくらいだ?」


名前がベビタンなんだから、最下層のベビーサタンに決まってるだろうが!!


みんな、俯いているところ、ベビタンが答えにくそうに答えた。


「一応、バーバラ様の助力もあり、サタンに昇格しました。契約時の対価は・・・子犬1匹です。エジルが言うには本当に実験で召喚したそうです。大した魔法も使えなかったので、エジルの元では主に雑用ばかりでした」


やっと空気の読めない質問をしたことが分かったギーガが言う。


「そ、そうか・・・あれだ・・・頑張れば昇格できるぞ」


「はい・・・」


微妙な空気になったところでバーバラが言う。


「話を元に戻すぞ。ベビタンの話では最悪のデーモンロードは召喚されてないようじゃが、アークデーモンが3体召喚されておるようじゃ。まだ姿は見ておらんが」


ベビタンが続く。


「アークデーモンも強力で、知能も高いです。御三家と呼ばれていて、残虐な奴らです。彼らが出てきたら、少数精鋭で戦ったほうがいいかもしれませんね。そうしないと多くの被害が出ます。アークデーモンはこちらで言うSランクの魔物以上の強さがあります。現在相手にしているのはほとんどがB級のレッサーデーモンかA級のデーモンです。

因みにデーモンロードはこのランクが当てはまらないくらい強いと思います。魔界でも見ることはめったにありませんので」


ゲームにはなかったが、ボスクラスとのパーティー戦があるかもしれないのか・・・出現したときの対策は考えておかないとね。


ここでアイリスが質問する。


「同じ悪魔なのに戦って大丈夫なの?魔界に帰っていじめられない?」


「魔界ではいつも、いじめられていたので、心配しないでください。それにこちらの世界で悪魔同士で戦うことは偶にあります。こちらの世界では契約のとおりに行動しなければなりませんからね。僕達がここに来る目的は、経験を得て、格を上げるためです。なので、こちらの世界でのいざこざは、基本的に魔界には待ちこまれません」


悪魔は悪魔で、複雑な事情があるようだった。


「クリス殿、戦後で皆、疲れておる。軍議はこの辺にしよう」


「そうだね。聞きたいことがあればまた、通信の魔道具でもいいし、こちらに来てもいいしね。それと差し入れも持ってきたからゆっくり食べてね」


そんなとき、ミレーユが声を上げた。


「ちょっと運用に納得がいきません。もっとライアット皇子の側に配置して欲しいのですが・・・」


「却下じゃ!!」


「そ、そんな・・・」


ここでクリストフが仲裁に入る。


「ミレーユさん、落ち着いてください。我々支援治療部隊が頑張ることで戦線が支えられているのですよ。陰ながら王子や王女を支えることが我々の使命ではありませんか!!」


「そ、そうですね。浅はかでした。バーバラ様、すいませんでした」


クリストフもミレーユの扱いが上手くなったものだ。

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