第五話「フードコーナーにて」
久々の更新でーす!!
天澄の話を聞くために、俺達は腰を落ち着かせられる場所へ移動した。
時間もそろそろいいところなので、フードコーナーへ。
少し早い時間帯だが、それでも結構席が埋まっている。なんとか五人で座れる場所を確保した。
とりあえず、全員ハンバーガーセットを注文し席に着く。
「それで? あたしらも居れてどんな話をするん?」
「なにやら真剣な様子……はっ!? まさか僕達付き合うことになりましたとか!?」
「いつまでそれを引っ張るつもりだ? 筒田」
などと突っ込みを入れるが、天澄はいつになく真剣な様子で黙っている。
その様子を見て、佐々倉が筒田の脳天に軽くチョップを入れる。
「さて、こころ後輩もさすがに察したようだから。話してくれるかな? ゆえり後輩」
「は、はい。えっと……実は、さっき昔の知り合い、というか。同級生を見つけたんです」
「ほー? それって入れ替わるように出て行ったギャル組?」
「おー、あのバリバリのギャル達? え? あの三人、ゆえりの昔馴染み?」
「いや、おそらく一人だろう。もし複数人だったら、同級生達と言うはずだよ」
紫之宮先輩の言う通りだ。
天澄が見ていたのは、三人の中の……後ろに居た少女だろう。
「俯いていた子です。名前は、伊口芹香。えっと、所謂幼馴染というか。家が隣同士で」
「幼馴染かー。うちと良みたいな感じね」
「うむ」
そう言って、互いの肩を抱き合う二人。
幼馴染……天澄にも居たのか。
「それで……」
そこまで言って天澄は黙ってしまう。
天澄から聞いた昔の話、そしてこの様子から察するに伊口芹香という少女はおそらく。
「天澄」
「だ、大丈夫。……芹香ちゃんは、いじめっ子の一人だったの」
「ほー」
「へー」
軽い反応だが、佐々倉と筒田の様子が明らかに変わる。これは怒り。静かに怒っている。
「……昔は、仲良かったの。でも、ある時から一緒になって」
「ふむ。これは予想だが、いじめを強制されていたのだろうね。真実はわからないが」
「た、たぶんそうだと思います。芹香ちゃんは、他の人達と違ってあまり楽しそうにしてませんでしたから」
自分もいじめられたくなければってやつか。
定番と言えば定番。
「でも、当時の私は全然気づかなくて……それで」
知っての通り、きんとなってグレてしまった。
「気づいたのはいつなの?」
「中学二年生の終わり頃」
佐々倉の問いかけに、天澄は答える。
「私が、悪さをし始めたらいじめとかがぱったりとなくなった。たぶん、一緒に悪さをしていた子達が原因だと思う」
「結果的にはいじめがなくなってよかったと言うべきか……」
うーむ、とうなりを上げる佐々倉。
確かに、いじめがなくなったのはよかった。
もし、そのままいじめが続いていたら天澄はどうなっていたか。とはいえ、素直には喜べない。佐々倉もそう思っているのだろう。
「悪さをしていたけど、結構仲がよかったんだよ? なんていうのかな。私みたいに周囲から浮いていた子達の集まり、て感じ」
「でも、ゆえりが真面目に生きようって言ったら即離れて行っちゃったんでしょ?」
「ぜ、全員じゃないんだよ? 私の生き方を認めてくれた子達も居たんだよ。でも、やっぱり自分もっては簡単にはいかないって」
むしろ天澄の決断力が凄かったんだろう。
今の天澄を見ているとちょっと疑ってしまうけど。……まあ、俺もそうだった。変わろうって思ったら即行動。
まあそれほどのことだったからな。俺がやったことは。
「でもさ、よく真面目になってからいじめを受けなかったね」
筒田の言葉に、確かにと俺達全員が思う。
「私もそれが不思議だったけど。たぶん……たぶんだけど。私のことを理解してくれた子達が陰でなにかしてくれていたんじゃないかなって」
恥ずかしそうに言う天澄に、俺達は。
「きっとそうだよ!」
「うんうん。きっとそうだ。美しき友情かなってな」
「いい友達を持ったじゃないか、ゆえり後輩」
「その友達は今なにを?」
「……わからない。私のことを思ってなのか。まったく連絡がないから」
ありえるな。
天澄が真面目に生きようとしているのを邪魔するわけにはいかないと。
「そ、それでここからが本題」
これまでは、伊口芹香との関係性。過去になにがあったのかを話してきた。
そのことを知ったうえで、これから話すのが本題。
注目が集まる中、天澄はふうっと一呼吸入れてから口を開く。
「私、芹香ちゃんと……仲直りしたい」
「仲直り、か」
つまり、天澄に対して俺達がやれることは。
「だ、だから。その」
「あいわかった! では、これより幼馴染仲直り作戦の会議に移行する!!」
「いえーい!!」
「わーわー」
「ええええ!?」
あまりの切り替えの早さに天澄は声を上げる。
が、すぐに周囲を気にして縮こまった。
「なにを驚いているのかな? ゆえり後輩」
「だ、だって」
あまりの即答っぷりに天澄は驚いている。
「だって、ゆえりは仲直りしたいんでしょ? その芹香ちゃんと」
と、筒田が言い。
「だったら、あたしらが協力しないわけないっしょ?」
佐々倉がふっと笑みを浮かべながら続く。
「その通りだ、ゆえり後輩。それとも、君は協力が必要ない、というのかな?」
少しばかり意地悪な言い方をする柴之宮先輩に対して、天澄は全力で首を左右に振る。
「なら、素直に受け入れろ。俺達は、友達だろ?」
「……うんっ。皆、ありがとうっ!」
俯きながらお礼の言葉を言う天澄の声は、震えていたが嬉しそうに聞こえた。




