表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/50

第四十三話・有名人の利用


 患者と同じ病気の有名人の例を出して説明すると、患者によっては服薬や食事療法の指示を守ってくれやすい。今回はその話です。


 たとえば某有名人の急逝の原因はあなたと同じ病気ですという。すると、その人を知っている患者は身を乗り出して真剣に話を聞く。医師は、おもむろに有名人と同じ症例の画像のうち一番重症なのをとりだす。それからその患者本人の病像もとりだす。それらをシャウカステン上で並べる。シャウカステンはレントゲンフィルムをかけ、後ろから光をあてて読影するための機器です。今は全部パソコンですませるので、パソコンの画面で説明する医師も多いです。

 ともあれ、こう説明する。

「これは、あの人と同じ病気で亡くなられた人のマルマルの臓器の画像です。ほら、ここ見て。ここのところ。これ血栓ね。結構大きい。二センチはあるね。これが脳まで飛ぶと脳ヘルニア起こして即死します。そうならないために手術しましょう」 もしくは「血栓をつまらせぬために薬は忘れずに飲みましょう」 という。亡くなられた有名人と説明用に病像を使われた患者には申し訳ないですが、医療従事者はこの世で生きている人のために働いています。

 有名人税という言葉がありますが、現在も生死にかかわらず有名人の病気が、その患者向けアイコンのようになっていることはある。

 薬局でも患者さんから「だれそれさんと同じ病気だけど、あの人は良くなったよね。あの人の薬と同じかどうかわかりますか」 と聞かれたことがあります。いや、有名人の処方内容はわからないし、仮に知っていても言いません。だけど、生還された有名人のように助かりたい、同じ薬を飲めばよくなる、もしくは同じ医師にかかりたいという気持ちはわかる。


 そういったわけで、健康食品会社は宣伝に、有名人を起用する。有名人に「私も飲んでます」 と言わせる。あの有名人がすすめるからと客になってくれるのを見越している。

 それと同じです。医師の説明で、そういう有名人のオーラというか、イメージ効果を見越してその有名人が生きていようが死んでいようが利用するのはあります。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ