第十六話・薬の在庫切れ
よくある話で、調剤の時に在庫がなく、医薬品の卸さんに取り寄せになる場合もあります。卸さんに発注する際、現在私は過疎地域にいますので希少薬だと取り寄せに時間がかかる場合があります。その場合、薬の到着を待てるかそれとも郵送希望かなどを聞き取ります。郵送希望の場合はもちろん薬局負担です。冷蔵庫保存の座薬や散薬や栄養剤などかさばるものも当然負担します。
現在の薬局はどこでも倉庫がぱんぱんです。どんな処方せんでも在庫があって何人分でも何日分でもさっと出せますよ、というところなんかありません。先に発売された薬(先発)と後で発売されたジェネリック薬(後発)で満員です。めったにでないものは不良在庫になっていずれ期限が切れます。すると廃棄になりますのでそれは経済的に避けたい。そういうわけでいざ出たら卸さんに取り寄せします。
もしくは近隣の薬局に頼んで一錠単位で小分けしてもらう。めったに出ない薬は患者さんも知っていて、明日取りに行きますのでヨロシクとおっしゃいます。麻薬などは間違いがあるといけませんので薬局から直接ご自宅までの配達になります。
取り寄せになったことで怒られたことはないですが、めったに出ない薬で「帰宅後すぐに飲みなさい」 と言われているのにと困った様子でいわれたことがあります。その時は事務さんが周囲の薬局に順番に電話をかけ、在庫があるところに直接行ってもらったことがあります。急ぎの場合は、卸に発注かけるよりも、そうした方が早い。逆に別の薬局から誘導されて「ここなら◎◎があると聞きました」 と来局されるときもあります。結局持ちつ持たれつですね。
ちょっと変わった話もついでに。
以前にも書きましたが、数年間動きがないし、あと半年で期限が切れるので別の支店にあげたら、その日の午後にその薬の処方せんを持参された患者さんが来まして、あわてて返してもらったことがあります。
「在庫ゼロにしたら動く!」
これは本当に不思議。
似たような話で「今日は患者が少なくてヒマね」 というと、夕方閉店間際に多くの患者さんが来局されて満員になったりはあります。病院の当直でも「今日は救急少ないからラッキー」 と声に出していうと、先輩から「やめて」 と言われたこともあります。言うと救急患者がいっぱいきて、しかも緊急手術で在庫がなかったりめったに出ない薬品が出たりするらしい。また某さんと当直を組むとややこしい処方や在庫切れが出てしまうことも経験しています。このあたりも本当に不思議です。在庫切れの話から奇妙な話に飛びました。おしまいです。




