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第十五話・錠剤分包、その一


 題名通り錠剤だけを分包する話です。

 薬が多種類ある、もしくは施設預かり、もしくは、一種類でも自分では薬が飲めない人用に一回分ずつ小分けします。そういう機械があります。病院に入院して、そこで薬をもらって飲まれたことのある人なら「あれか」 とわかると思います。病棟名、名前、用法(いつ飲むのか、例えば朝食後など)が印刷されたもの。その中に一回分ずつの錠剤が入っています。時には一つの袋に粉薬と錠剤が入っていたりします。

 包装紙は薬局によっていろいろです。院内薬局では病院名があるものも多いです。包装も透明なので中身がよく見えるものや、中身が全く見えないもの、半透明なものといろいろ。

 袋のサイズも変えられます。調剤薬局では患者によっては個人名が入るのを嫌がられますのでその時は名無しで用法だけで行きます。施設管理の患者さんには、日数も入れます。時には管理用のために錠剤名も印字します。機械の操作は自由自在です。なによりも印刷技能があがったのが大きい。昔はそんなの全然なかったです。今の時代は本当に楽になりました。

 一回分ずつ包装して日付も入れているのに、きちんと飲めない人もいます。訪問看護師や家族の協力を得られる場合は、大丈夫ですが、ケアプランなしの人は自室のカレンダーに貼り付けておくといいですよ、おはしのおき場所に入れておきませんか、などアドバイスをします。

 セルフネグレクトといって自分で自分の管理ができない人は、やはり服薬もきちんとできない。いずれケアマネジャーがついてプランをたててもらうのだろうと思いますが、これを嫌がる人も多い。できることは自分でやりたいと頑張る。その意志を尊重しながら、来局されるたびに声かけをして服薬をきちんとされているかなどチェックします。問題ありなら時に病院に連絡を入れて情報共有します。プライバシーを重んじ、患者の自立心を尊重しつつ医療につなぐというのは、そういうことだと思っています。



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