第十二話・処方せんの重さ
処方せんの内容で「重い」「軽い」 を表現することがあります。一部の薬局での話ですが、結構あるあるだと思うので書いてみます。
大体想像つくと思いますが、「軽い」 処方せんは単純な調剤で終わるものです。たとえば湿布だけ、もしくは痛み止めだけのことをいいます。調剤なんて誰でもできるじゃないのと言われるアレです。
「重い」処方せんは調剤に時間がかかるものをいいます。薬剤が多種類ある、もしくは全部粉薬で日数が九十一日分ずつ、錠剤からすべて粉薬にする粉砕調剤指示があるものなどをいいます。
薬局側が勝手に、重いの軽いのと言っているだけです。もしかして気を悪くされる人がいるかも……それだったら申し訳ないです。もちろんその局内だけの俗語のようなもので、服薬する患者をからかったり悪意があるものではありません。その点はどうかご理解ください。
時間がかかる処方内容は一瞥してすぐにわかります。先に書いた処方で「粉砕指示」 があれば、錠剤でもすべて粉にします。その種類が多いほど、処方が重いとなりますが患者にはもちろん言いません。しかし、「出来上がりに時間がかかります」 と説明します。調剤に時間がかかることを言うわけです。
過去を思えばこの重い軽いは病院の中にある薬局、つまり院内薬局ではまったく使わなかった。入院中は重い処方で当たり前だったりするから。
これを言うのは一部の調剤薬局ですね。繰り返しますが悪意はありません。時間がかかる処方を出来上がりをにらんで調整するのはどこでもやるため、この処方せんは重いから先に作ろう、逆に後にしよう、となる。そういった薬を飲む患者さん、もしくは取りに来る家族やヘルパーさんはたいてい常連なので、FAXで先に処方せんをおくっていただき、現物は数時間後や夕方に受け取りに来ていただく。もしくは家まで配達します。
時間がかかっても待合室で待つとおっしゃる人は遠方や当日の昼から飲まないといけないなどの事情があります。もちろん、すぐに調剤に取り掛かります。
軽い時でも、湿布一袋差し出してすぐ終わり、は、ありません。調剤自体は一瞬で終わっても、医療事務的な入力や保険証番号確認はあります。新規の患者さんは問診やアンケートで過去の病歴を聞き取ることもあります。総じて病院で待ってやっと診察が終わったと思っても、薬局でもまた待たないといけない……申し訳ないことです。体調が悪いという申出があると、それなりの配慮はしますので遠慮しないでほしいです。
待合場所にはテレビや新聞、雑誌、絵本、飲み物にセルフのお茶を用意しています。ちなみに令和二年三月以降、コロナウイルス感染防止のため娯楽品や飲水機はすべて取り外しました。今はテレビしかありません。スマホをお持ちの方はゲームを楽しみながら待たれています。時間つぶしにちょうどいいみたいで、昔のように、いらいらされたりはないです。こちらも助かっています。
粉砕調剤の話がでましたので次に続けます。




