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第十話・コンタミについて



 調剤にあたり注意しないといけない事柄はそれこそたくさんあります。その中で今回は「汚染」 話です。院内感染予防は当たり前ですが、今回はその一つにコンタミの話を取り上げてみます。コンタミはウィキペディアによると、

 ⇒ ⇒ 英語の「コンタミネーション(日本語で汚染を意味する)」を略した言い方で、製品に混入した不純物のこと、または製品に不純物が混入することである。……とあります。

 調剤の現場においては主に散薬調剤時によく出る言葉です。今回はその話。


 散薬を一回分ずつ、小さな袋に均等に分ける機械。分包機といいます。分包機は大きな病院だと数台あります。しかし調剤薬局ならせいぜい一台、多くても二台。それがどういことかというと、「複数の患者の散薬を同じ機械を使って、調剤をする」 ということ。

 ここでいうコンタミは直近で調剤した薬が残って次の人の薬に混ざってしまうということです。想像するだけで恐ろしいでしょう。調剤の順番で前の人の粉薬が自分のに混ざってしまうのは気持ち悪い以上に健康被害があったらどうしようと思います。

 当たり前ですが、散薬調剤の前後は掃除。必ず掃除。分包機中、薬が直に触れるところは特に念入りに掃除します。たいていは分包機に備え付けてある掃除機……吸引機を使います。アレルギーなど予見される場合や極端に量が少ない粉薬は分包機別に分けたりもします。また業務終了後は分解掃除したうえ、消毒もします。

  直近の調剤が蛍光色や極端に色が濃い薬で、次の人のが真っ白な微粒だときちんと掃除したつもりでも、色がまざってしまうことがあります。これも調剤やり直しです。本来、院内調剤ならば順番がある程度決まりますが、外来だとそうはいかず、次にコンタミを起こしそうな薬を調剤したらすぐに次に行かず、丁寧に洗浄しないといけません。

 アレルギーがあると言う人は、微量でも症状が出ますので、でも、飲んでみないとわからない、という場合もすごく気を使います。何かあると大変だし、第一申し訳ないから。

 何のための資格で何のために働いているかわからなくなるのは哀しいです。コンタミは絶対にダメ。薬剤師はその当たり前のことは、毎日気合入れて防止します。

 コンタミも怖いが細かいゴミが入ったりも怖い。夜間は分包機用のビニール袋をかけておいても、田舎だと朝一番に分包したらちゃんと掃除したはずなのに、蚊のような小さな虫が入り込んだりします。言語道断ですが、一度だけ私はこれを経験しており、そこは朝一番でも乳糖で流して試験分包しないところだったので、私がいるときはやらせてもらいました。コンタミで前の人の薬が混じることはありえないが、それ以上にあり得ないコンタミもあります。患者の万一の健康被害はあってはならぬこと。調剤ミスを避けるためにも、分包機の手入れは念を入れても入れすぎることはないです。

 分包された薬に患者からゴミが入っていたとクレームを入れられたことがあります。つまりコンタミでないのに、コンタミだということ。これは錠剤の粉砕時に錠剤表面に印刷している文字のインクが残ってしまったときです。一ミリ以下の黒いゴミのように見えますが、その場合はきちんと粉砕前の現物と粉砕機のカップを見せて説明します。説明すれば納得していただけます。


 ついでに、コンタミではないですが、きちんと計っても分包の時に、予期せず散逸してしまうことがあります。もちろん最初からやり直しです。犯人は静電気。散剤によっては静電気を帯びやすいのがあります。分包機にきちんと収まらず入れる際に飛び散ってしまう。ひどい場合は分包の重量がばらばらになって不均一、調剤やり直しです。私はコランチル顆粒(胃薬)を分包機台を派手に飛び散らかしたことがありました。これはおそらく私自身が静電気体質もあるのではないか……冬場などは分包機に触っただけでバチンと音が鳴り痛みを感じることがあります。分包機と季節に相性があり、そういう時には輪ゴムを何重にも手首にひっかけて調剤しました。冬場、分包機に嫌われて手首に輪ゴムをぶら下げている変な薬剤師がいたら……それが私です……。



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