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なめこ太郎/666文字奇譚  作者: 閉伊卓司
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四国の爺ジ

 このまえ家で留守番してたら四国の爺ジから電話があって「おお、裕太じゃないか久しぶり。近いうちにそっちへ遊びに行くからな」って言われた。やったラッキーって思った。俺には岐阜の爺ジ、熊本の爺ジ、四国の爺ジと三人の爺ジがいるけど、いつもニコニコして気前の良い四国の爺ジが一番好き。だが母にそのことを伝えたら「誰それ?」って変な顔された。なに言ってんの、四国の爺ジだよ、ほら、いつも黒い山高帽かぶって、右手にステッキついて。でも母は「そんなひと知らない」の一点張り。「そもそも、あんたにお祖父さんが三人もいるわけないでしょ」だって。まあ、言われてみれば確かに不思議ではある。岐阜の爺ジは父方の祖父、熊本の爺ジは母方の祖父。じゃあ四国の爺ジは? そういや四国に親戚いるとか聞いたことないし。念のため父や姉にも確認してみたけど「おまえ夢でも見たんじゃねーの」ってバカにされておしまい。ひょっとして俺の妄想が生みだした人物か。

 でも四国の爺ジに関する記憶は鮮明にあるんだよな。熊本の婆バが亡くなったときには黒紋付でやって来て通夜から火葬まで神妙に立ち会っていたし、ゴールデンレトリバーのチャオが死んだときには泣いてる俺をはげまして一緒にお墓まで作ってくれた……。

 その話を友達にしたら「でもさ、なんで香川の爺ジや愛媛の爺ジじゃなくて、四国の爺ジなわけ?」って突っ込まれた。まあ、それもそうだ。で、別のやつが「おまえそれ四国じゃなくて、ほんとは死国なんじゃねーの」って言うから、なんだか急に怖くなってきた。

 ……やべえ、近いうち遊びに来るって言ってたよな。



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