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逆襲聖女~婚約解消?わかりました。とりあえず土下座していただきますね♡~  作者: てんてんどんどん@★見捨てておいて コミカライズ開始★


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56/69

55話 評価が下がったはず!(どうみてもフラグ)

 会場が騒然とした。


「おい、魔物がいるなんて聞いてない! 何とかしろ!」

「早く逃げなきゃ!!」

「だから野蛮な北部なんて来たくなかったのよ! 何が聖女よ!」

「出資した壁が壊されてる! どうしてくれる!!」


 パーティー会場は混乱を極め、人間の醜さむき出しの罵声がリネアとウィルへ飛ぶ。


 カミラは、その光景を見て震えた。


(――ああ、これ。これが見たかったのよ。

 リネアが追い詰められて、罵倒されて、泣き叫ぶ姿。最高じゃない)


 投資した建築物が目の前で破壊された。

 貴族たちの中に「信用」が崩れる瞬間を刻みつけられる。


 情報を隠してこっそり直すなんて不可能。

 これでイメージダウンは確実。アンヘルの立場は守られる。


(皇妃になるのは、この私よ。あんな妾の子なんかじゃない)


 そんなことを考えていた、その時――


「皆さん、落ち着いてください!」


 ウィルが声を張り上げたが――


「落ち着いていられるか!! いくら出資したと思っているんだ!!」

「は、早くなんとかしてっ!」


 パニックの声が広がる。


 その中で。


「落ち着けと言っているのが聞こえないのか!!」


 ウィルの怒号が会場を震わせた。

 あまりの迫力に、騒いでいた貴族たちは息を呑む。


「ここは北部の最前線だ!

 このような戦いなど日常茶飯事!

 それでも彼らは戦い、帝国の盾として任を果たしている!」


 貴族たちの顔色が青ざめる。


(いいわ。その調子。プライドの高い貴族に喧嘩売って嫌われなさい……!)


 だが――ウィルは続けた。


「思い出せ! 其方らは誇りと矜持で帝国を守ってきた貴族だろう!

 危機にある今こそ、誇り高い貴族として行動せよ!!」


 その言葉には、逃げ出したい貴族の心を反転させる力があった。


 ウィルは剣を抜き、外を指す。


「静粛に。

 ワームが出現することは想定済みです。

 対処も終わっています」


 会場の空気が変わる。


「おお、さすがだ!」

「魔龍を倒しただけある!」

「こんな時に慌ててどうする!」


 貴族たちがざわめきから信頼へ変わっていく。


(ちょっと!? もっと混乱しなさいよ……

 まぁ、ワームで壁が壊れたことは事実だし……評価は下がったはず……!)


 そう思った瞬間――


 田園に浮かぶ巨大な魔方陣が光を放った。


「皆様。

 北部の新しい田園の完成に立ち会っていただけたこと、光栄に思う」


 いつの間にか会場のバルコニーに現れていたギーブが、光に縁取られるようにワームを背に掲げる。


 光が爆ぜ、ワームが魔方陣に引きずり込まれる。

 幻想的な光の粒が会場を包む。


 その場にいた者たちは後に語る。


「あれほど美しい光景を見たことがない」と。


 ***


(な、なによ……どうなってるのよ!!!)


 ワームが封印されていく光景を見て、カミラは歯を噛みしめる。


 ワーム召喚は魔族の使い魔の提案だった。


 高い金を払い、ワーム誘引の魔道具も買った。

 それなのに――


「先ほど皆様にお配りした“泡砂糖”と同じ要領です。

 精霊を閉じ込める技術を応用し、ワームを拘束し地下に封印します」


 ウィルが説明すると、貴族たちの歓声が上がった。


「モンスターが生む魔力は大地を豊かにします。

 またワームの縄張りの匂いにより、魔物も寄り付かなくなる。

 城壁は壊れましたが、再建すればいい。

 皆様の投資は無駄になりません」


「なんてすばらしい!」

「投資しただけのかいがあった!」


 ウィルの説明に喝采が沸き起こった。


(なによ……何なのよこれ……!

 これじゃあ……私が道化じゃない!)


 悔しさに震える。


(あの使い魔……私を騙したのね!!)


 カミラは踵を返し、魔族が紹介してくれた使い魔のいる場所へ向かった。

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― 新着の感想 ―
リネア達に美味しい宣伝のターンになっちゃいましたね! カミラ、残念(>_<)
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